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ゲストの日曜日
 
モノレールの車窓から

みなさんは沖縄に鉄道が走っているのをご存知だろうか。都市型モノレール「ゆいレール」だ。ゆいレールは沖縄の空の玄関口那覇空港から歴史の街首里までを結んで運行されている。開通して1年、ゆいレールは観光客だけでなく市民の足として確固たる地位を築きつつある。

なんてえらそうなこといっときながら実は筆者はゆいレールのことをほとんど知らなかった。そこで今回、筆者みたいな初心者にもわかるように、ゆいレール沿線ガイドを勝手に作成したいと思う。世界の車窓からゆいレール版といった感じでバーチャルな沖縄探訪をお楽しみ下さい。それでは出発進行!

(text by 安藤 昌教


これが噂の「ゆいレール」

沖縄唯一の本格的な鉄道

「ゆいレール」は那覇空港から首里までを一気に結ぶ沖縄唯一の鉄道だ。戦前には沖縄にも鉄道が走っていたらしいのだが、沖縄戦の戦火に焼かれてしまい、以来復活することはなかった。ちなみにゆいレールというネーミングは沖縄の言葉ゆいまーる(助け合い)からきていて、人と人地域と地域とが結び合って発展していこうという意味で名付けられている。ゆいレールはまさに地域密着型の待望の交通手段なのだ。

それにしても特に目的地もなくカメラ片手に電車に乗る、という状況はかなりマニアの域に踏み込んではいないだろうか。入ってくる列車をホームの正面でファインダー越しに待ち構えながらふとそう思った。

那覇空港〜壷川駅 −那覇市のベッドタウン−

那覇空港から那覇市の中心部へと向かう沿線にはマンションやら大型スーパーやらが立ち並び、生活の便のよさそうなベッドタウンという雰囲気が漂っている。車窓には延々と市街地が映るこの区間だが、日本最南端の赤嶺(あかみね)駅や興味深い看板の立ち並ぶ奥武山(おうのやま)公園駅など、各駅にはそれぞれに特色がある。そうそう、壷川(つぼかわ)駅には駅弁があると聞いたのだけど残念ながらお目にかかることができなかった。

那覇空港を降りたらモノレールのりばまでは動く歩道で直結。重い荷物を持っていても安心です。
ゆいレール全景。電車と違いレールを挟み込むようにして並べられたタイヤが駆動して走るのでとても静か。騒音もほとんどありません。
空港駅でゆいレール一日フリーパスをゲット。一日何度でも乗り降り自由で800円。今日は乗るぞー、という気分の日には買っておいて損はない。
この区間は自衛隊の駐屯地にも面している。広大な敷地内をファミコンウォーズみたいな集団がジョギングしていた。鉄のゲートが物々しい。
沿線には新築のマンションが立ち並ぶ。建設中のマンションを眺めながら一服する土建屋さん達。ねじりハチマキが職人っぽいです。
日本最南端の碑、ではなくこれは立て看板。ゆいレールができるまでは鹿児島県の西大山駅が最南端だったのだが、赤嶺駅があっさり記録を塗り替えた。
奥武山公園駅。公園と駅、都会ならばホームレスの溜まり場になりかねない黄金のラインナップだ。
奥武山公園内のグラウンドでは野球の試合が行われていた。この他にも50メートルプールやテニスコート、弓道場なんかもある充実した公園だ。
車窓からも見える豚の丸焼き専門店の看板。一頭2万5千円より承ります、とのこと。記念日には豚の丸焼きを。
ペリー内科へは徒歩2分。実はペリーは浦賀に来航する前に沖縄に寄航しているのだ。沖縄とペリーとの意外な関係性を再確認。
壷川駅は戦前にも鉄道の駅があった跡付近に建てられている。その時代を知る世代にとっては感慨深いものがあるに違いない。
壷川駅からはすぐ横を流れる国場川を望むことができる。この広い橋を渡ると対岸は奥武山公園だ。


いつの間にか次の駅に着いている

ゆいレールの駆動元であるタイヤは空気圧が制御されているため、乗っていてもほとんど振動を感じない。筆者は高校の通学に単線の列車を利用していたのだが、よく寝過ごして最終の駅で方向転換するときの「ガタン!」という振動で目を覚ましていた(そして遅刻を確信する)。ゆいレールで通勤や通学をしている人達はこの快適な列車の中で、どうやって目を覚まして降りるのだろうか。昼くらいまで起きずにぐるぐる回っている高校生とかいないだろうか。

ゆいレールは音もなく那覇市の中心部へと向かいます。


 

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