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はっけんの水曜日
 
ハノイの満月、楕円の花環

翌日、起きてホテルのモーニングを食べに行く。店員の女性が、早口の英語で何か言う。「え?」と困っていると、隣のテーブルに座っていた女性が、
「タマゴはどんな焼き方がいいかって、言ってるんです」と助けてくれた。
「オムレットプリーズ」と言いながら、ありがとうございます、と答える。そんなのが聞き取れなかったのか私は! つーかもうちょっとゆっくり言ってくれてもいいのに! と少し赤くなった。
「日本人の方なんですか?」
「ええ。……この宿って欧米人が多いから、日本の人の観光の方、ひとりって珍しいです。どうしてこちらへ?」
「あ、『地球の歩き方』見て、てきとうに決めちゃったんですけど」
「ハノイにはいつ着かれたんですか?」
「昨日ですー」

20代くらいの若い彼女は、国際会議の準備のために、ハノイに滞在しているのだと言った。

「ふええ、国際会議。すごいですねー」
「いやあ、もう大変です。なんか、ベトナム人の仕事のやり方がねえ。
当然済んでると思ってた仕事が済んでなかったり、かと思えば逆に、あれまだやってないのかなーって仕事が、とっくに済んでたり。でも報告してくれないんですよ。わけわかんないですよー、ははは」
「へえ〜ほんとに大変そうですね……。ところで昨日って、何かのお祭りだったんですか?」
「お祭り?」
「旧市街のほう、ずーっと縁日が立っていて、フーセンとか売ってて……」

私は彼女に、デジカメの画像を見せた。

「いつもこんなんなんですか?」
「いやいや、違いますよ、これお祭りですね。……ああ、確か、中秋節って、満月のお祭りだったような。こっちでは、コドモのお祭りなんですよ」
「へえ、子供の。……しかし、ベトナムって、こんなに中国文化圏だったって、ぜんぜん知りませんでした」
「ねー、中国ですよね。ベトナム語は、中国語からの流れの言語を、無理矢理アルファベット表示したものらしいですよ」
「へえ〜。……ベトナム語、ペラペラなんですか?」
「いや、私は英語しか出来ないんですけど
「あ、そうなんですか」

ベトナムのエリートって、英語が出来ないと話にならないんだろうなあ、と思いながら、とりあえず日本人女子に会えてホッとした。

さあ、ハノイを歩きたおそう。

しかしハノイの足下は悪い。首都だけど、あちこち工事してる。
ちなみにホアンキエム湖周辺は、インターロッキングブロックで埋めつくされていた(私はブロック屋の娘なので、そういうトコが気になってしまった……)。


これこれ。よく日本の地方都市も使ってます。

そして段差をうめる鉄の部品、これが凶悪。


これで3度コケた。右ひじはすりむいた。

ハノイはバイクの量がすごい。ホーチミンよりもすごい。とにかくノーヘル、3人乗りもアリで、信号もほとんどなく、交通ルールはないに等しい。ベドナム全土では、1日に35人、交通事故死しているんだそうだ。私が滞在した1週間の間でも、クラッシュしたバイクを2回、実際に軽くぶつかった現場も2回、白いチョークで人型が書いてある場面を1回見た。でも女の子は美肌を気にしてか、マスクと帽子は必須。帽子くらいでは頭蓋骨は守れないと思うのだが……。
最近まで戦争してた国なので、交通事故なんか恐くないのかもなあ、とちょっと思った。……が、きみら穴掘るの得意なんだから地下鉄作りなさいよ地下鉄! そうじゃないと観光もうまくいかないきゃらっ! 交通を整備しなきゃだめだきゃら! とも思った……。


バイクがぶつからないように、木が白く塗ってあった。



おかしやさんの前で、でかい月餅を売っていた。確か中国でも、中秋節に月餅を食べるという話を聞いたことがある。巨大月餅の中には、月に見立てた卵の黄身が入ってるらしい。
一瞬買おうかと思ったが、食べ切れないことが明白なのでやめておいた。

 

雑貨屋の前に猫がいた。ベトナムにいた猫はおおむねスリムで、わりと愛想がよかった。ちなみに犬は、なんだかおびえている様子のが多かった。なぜだろう。猫が乗っていたダンボールには、日本発の猫キャラが。

 

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