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特集


ひらめきの月曜日
 
かわらで煎餅を焼きながら


いざ、かわら で かわら煎餅を

本日のハイライト、かわら で かわら煎餅だ。ミッションの完遂になみならない意欲を見せる父におされ、手早く準備する。

レシピは本やネットで見かけた瓦煎餅や小麦粉煎餅の作り方を参考に、お菓子作り好きの友人にアドバイスしてもらって野外でも作れる極限まで簡単な方法を探った。

材料
 砂糖 80グラム
 卵 2個(全卵1個、卵黄のみ1個)
 小麦粉 50グラム

作り方
まず砂糖と卵を混ぜ、よく混ざったら小麦粉を投入。まんべんなく混ぜて、後は焼くだけ。

混ぜるだけとあって下準備までは恐ろしいほど簡単だった。やっぱりキモは醤油煎餅と同じく焼きのときの火加減のようだ。


またフライパンで

先ほどのように焦がして失敗するのを避けるため、またフライパンで徐々に火力を確かめながら作業する。火加減担当は父、ひっくり返すのは私。

娘「タカシ(中2の弟。私たちが出発したとき家でご飯を食べていた)も誘えばよかったかね」
父「いや、俺は誘ったんだけどな」
娘「……あ、そういや断られてたよね」
父「うん……」


………

娘「あれ、しつこく誘えば来たよね」
父「だよな」

ホットケーキの要領で表面にプツプツ気泡が立ったら裏返すのだが、少しでも遅れると焦げる。今度は2人係で1枚だ。生地が柔らかいのでひっくり返すのもそっと、箸でピリピリめくるようにして返しす。

父「おっ、そろそろいいんじゃないか?」
娘「よし、とっ(少しづつめくる)、とっ、とっ、えいっ(ひっくり返す)」


そうしてようやくひっくり替えされた1枚目

父「よし!」
娘「よし!」

焼き上がると、最初柔らかくても、冷ますとすぐに固くなる。瓦煎餅というよりもピーナツ煎餅やたまご煎餅みたいな形の煎餅ができた。

食べてみると、小麦粉せんべいのあの甘い香りがぶわっと広がって、バリバリ音がした。ああ、瓦煎餅だ。河原で瓦煎餅ができた!


河原を背景に、瓦せんべい! かわら!煎餅!

瓦煎餅、とは

感動して父に半分渡すと、バリバリ言わせて食べながらもう次を焼き始めていた。

父「瓦せんべいって、本当は瓦の上で焼くから瓦せんべいなのか?」
娘「いや、違うよ。瓦の形してるからだよ」
父「じゃあ、これも瓦の形にしなくちゃまずいんじゃないか?」
娘「あ……!」

瓦せんべいはもともと神戸の老舗のお菓子屋の銘菓。初代店主が社寺の瓦マニアで、それが高じてせんべいを瓦の形に焼き上げたのが始まりだそうだ。まったく忘れていたのだが、瓦せんべいは瓦の形をしていなければ瓦せんべいではないのだ。

本物の瓦せんべいは鉄製の型に流し込んで焼く。今から鋳物屋さんに型を注文する時間はないので、アルミホイルでそれらしい型を作ってみることにした。


型にくっついてまるで瓦型にならず

父「……だめだな」
娘「……じゃ、じゃあもうフライパンの上で自力で四角く伸ばして形作るしかないね」


瓦…?

父「………」
娘「………」

無理に四角くしようとしたのが災いして、続々と妙な形の煎餅が焼き上がっていく。結局、作り出された煎餅が以下の写真である。



変わった形ぞろいですが 味は本当においしい

これが妙に美味しかった。材料の配合は間違いなかったということだろう。形はイビツでも心は瓦。「まあ、お腹に入ったら一緒だから」親子でそう肩をたたきあった。

全ての生地を焼き上げ、帰り支度をしていると、私たちが来る前からいた隣の親子は帰る頃になってもまだ遊んでいた。バーベキューセットの上では延々肉やら焼きそばやらが焼かれ続けている。

父はそんな隣を羨ましげに眺めていた。「河原で煎餅だけ焼くってのは、楽しいのか?」いやそんな、いまさら。私は煎餅だけでも十分楽しかったよ?!




あとで調べたところによると、店売りの瓦せんべいには、焼きたての柔らかいうちに丸いものに押しつけて瓦のように反らして成形している物もあるそうだ。それだったら河原でも簡単にできそう。

懲りずに河原で焼くシリーズは続けていきたいとコッソリ思っています。何かリクエストがあったらお知らせ下さい。今度は誰と焼こう。

河原はバウムの時と同じ所。竹も健在でした

 

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