高い空、乾いた空気、そしてひろがる一面の芝生。芝生の秋、である。
ちょっと枯れた部分が出始めて全体に乾燥してフカフカする秋の芝生。ピクニックするもよし、寝転がるもよし、スポーツだって、読書だって、食欲だって芝生の上でなら満たせる。秋を合わせ技で堪能できるのが芝生なのだ。
秋晴れの1日、都内の芝生をハシゴしてきました。
(text by 古賀 及子)
まずは公園へ
芝生でくつろぐというとやはり公園。東京都公園協会ホームページで「広い芝生のある公園」とカテゴライズされている公園の中から、まずは小金井公園から行ってみます。
実はこの小金井公園、高校のころ演劇部だった私が友人と稽古で使っていた思い出の公園だ。体育館が有料で開放されていて、その剣道場で稽古した。
ええと、えらくアングラな芝居をやっていました。女子の二人芝居で、私は雑誌を破って丸めて食べ、もう一人の子は「spa王」のミートソース味を顔に塗りたくり続けるという、確かそんな内容。……何を考えていたんだろう。今となっては飲みの席で披露しづらいタイプの思い出話だ。17歳だった。食べた雑誌は確か苦かった。
「はーいっ、小金井公園に着きましたー、頑張って歩けた人ー?」 「はーーいっ!」
はっ! 幼稚園児とおぼしき子供達の声で我にかえった。今日はそんなドロっとした思い出をたぐるのではなく、爽やかな芝生の堪能が目的だ。
10月の平日とあってか、園内は遠足らしい幼稚園の子達の団体がそこらじゅうではしゃぎまくっていた。
「いんいちがいちー、いんいちがいちー」 「でーんでーん! どーりゃー!」
大人にはサッパリの子供語がそこらじゅうから聞こえる。公園内には芝生の広場は何カ所かあって、そこかしこで子供がコロコロ転がっていた。私も負けずに寝転がるぞ。
さて、今回は、まわった芝生の心地を★をつけて比べてみることにした。座り心地、寝心地、走り心地の心地3点で自分なりに評価してみたい。
走り心地
芝はフカフカしていて乾いていて、秋のピクニックにもってこいのコンディション。全体的に平面がボコついてはいるが、日当たりのいい場所に寝転がっていると寝てしまいそうだ。ああ、芝生、芝生。
私が寝転がるまわりには幼稚園の一団いなく、とても静か。代わりに20人ほどの中高年の男性方が、小さくてゴムで飛ばす飛行機で遊んでいた。大勢が黙々と飛行機を飛ばしては落ちたところに拾いに行き、また飛ばす。
みなさん余りにも夢中なので気になって声をかけてみると会社をリタイヤした方が中心の趣味の集まりだそうで、雨さえ降らなければ毎日何人かは来ているらしい。
「多いときには100人ぐらいが集まって飛ばしているよ。こうやて、引っ張って離してとばすの。ほらっ(実際飛ばして見せてくれた)あっ、今のはちょっと上手くいかなかった」
へー。公園ていろんなコミュニティがあるものだ。バンバン空に飛ぶ飛行機をながめつつ、また芝生に寝転がっていたら、本当にちょっと寝てしまった。
今日はハシゴだ。次の芝生が待っている。お尻から根が生える前に急いで移動します。