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チャレンジの日曜日
 
身近な疑問を解決したい!

疑問2。

おかきのサラダ味ってぜんぜんサラダの味がしない。なんでサラダ味なの?



あっさりはあっさりだが『サラダ味』はいかがなものだろう。両隣の『海老味』と『黒こしょう味』は納得なのに。どう多めにみても野菜の味はしません!



亀田製菓、東京支社のある半蔵門線水天宮前駅。地味な駅です。まだ夕方なのに薄暗い。

作戦通りおかきを持って会社に乗り込む。

隅田川を渡る。

え? このビル? ビルというかマンションに近い造りだ。ちょっと帰りたくなる。

亀田製菓さんに取材敢行!

亀田製菓さんに取材敢行!
体もあったまってきたところで二つ目に疑問にチャレンジです。実はこの『サラダ味』の疑問が一番の難所だと僕の中では思っています。なぜなら

・お客様相談センターなどではなく、民間企業のオフィスを訪ねるため。
・なんだかクレームっぽい疑問ではないか。
・本社ではなく、支社であるため、回答に時間がかかるのでは。(亀田製菓の本社は新潟)

アポなしでいったら怒られるんじゃないかなー。なんて思いつつもそこは23歳特有の『捨てるもののない、守るもののない強さ』を持って突入することにしました。何事もチャレンジですよね。悪意はないんだし。

悩んだ挙句亀田製菓のおかき(もちろんサラダ味)を持っていって、訪ねることにした。これなら僕はお客なわけだし、それほど邪険には扱われないだろう。

水天宮前駅から隅田川を越えたところに、亀田製菓東京支社がある。

隅田川を越えるとがらりと風景が変わる。大きなオフィスビルは中層の雑居ビルに、道端の大きな看板公告はオレンジ色のドライバー用のミラーに変わっている。

要するに都心から下町に変わるってことだ。

地味な街できょろきょろやってると、不意に調べておいた住所と同じ番地のビルが現れる。
ビルには大きな看板や来客者用のポップなどもなく、ただ郵便ポストに『3F 亀田製菓株式会社』とあるだけだ。おそらくユーザーは誰も訪れないのだろう。

エレベーターに乗り降りする際にS急便さんの配達員と乗り合わせる。きまずい。本当に、何の変哲もない、普通のオフィスだ。

勇気を振り絞って中に入る。一番手前に座っていた女性は電話中で、ほかのスタッフも僕に気づく様子はない。僕はここに存在しているのだろうか?


しばらく待っていた廊下。

しばらくすると電話を終えた女性がやってきた。

女性「どちらさまですか?」
梅田「あ、いつも亀田製菓のお菓子を食べているものなんですが」
女性「ありがとうございます。」
梅田「ひとつお伺いしていいですか?」
女性「(疑いと戸惑いの目で)はい」
梅田「亀田製菓さんのお菓子でよくサラダ味ってあるじゃないですか? あ、これなんですけど。(あらかじめ買っておいてた上記のおかきを手にする) これってサラダの味しませんよね。なんでサラダ味なのかなーと思って、えへへ」
女性「はあ」
梅田「知りたかったんで伺った次第です。すみません」
(まるで時が止まっているような沈黙が訪れる)

女性「少々お待ちください」


写真が撮れなかったので道中で撮った隅田川の美しい風景をご覧ください。

女性は上司と思われる男性に事情を話している。目があったので、一応頭を下げる。きまずい。「困ったなあ」「誰かいないの」などの声が聞こえる。やがて男性がこちらに向かってきた。

男性「はい、なんでしょう?」
梅田「あ、さきほどの女性にもお話ししたんですがかくかくしかじか……」
男性「クレームですか?」
梅田「いや、クレームでは決してなくて、素朴な疑問です」
男性「困ったなあ、今わかる人いないんですよ。とりあえずここに住所とメールアドレス書いておいてくださいよ。あとで連絡します」



名刺をいただいたら肩書きに支店長と書いてあった。あ、俺は支店長さんにサラダ味についてクレームまがいのことをしゃべってたんですね。お騒がせしました。で、なかばあきらめていたんですが、翌日ちゃんとメールが来ました。以下そのままお知らせします。


梅田一彦 様

いつも弊社商品をご愛顧いただきまして厚く御礼申しあげます。
昨日お問い合わせをいただきました「サラダ味」の意味について、
メールにてお答え申しあげます。

弊社では「サラダ油」を使用して「塩」で味付けをした製品に
「ソフトサラダ」「将角サラダ」「サラダうす焼」などと銘々して
おります。

「サラダ油」がまだ高価だった昭和30年代の半ば、サラダ油をから
めて、塩をまぶしたせんべいが作られました。
その頃の時代の背景として、日本が高度成長期を迎えた頃で、欧米の食文化が浸透してきた頃でもあり、純日本風の「塩味」とするよりは洋風の「サラダ味」とした方がおしゃれではないかと言うことで名付けられました。

それまでのしょうゆ味のせんべいに比べて、高級でハイカラなイメージで人気を呼び、以後米菓の定番の味として親しまれています。
ご参考までにサラダ油とは、不純物などを取り除くために良く精製された油のこと。

それまでの食用油に比べて、匂いやにごりがなく、あっさりとした風味で、あげたり、焼いたりするだけでなく、生でも食べられる、つまり野菜サラダに使えるという意味で、「サラダ油」の名前が付いたそうです。


亀田製菓さん、詳細に及ぶ丁寧な回答ありがとうございました!


結論

おかきのサラダ味ってぜんぜんサラダの味がしない。なんでサラダ味なの?

サラダ味の“サラダ”はサラダ油の『サラダ』です!



 

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