デイリーポータルZロゴ
このサイトについて

特集


チャレンジの日曜日

 
身近な疑問を解決したい!

疑問3。

テレビのニュースで、海外からの中継のときに日本の音声は向こうにすぐ届くのに、相手の声が少し遅れるのはなぜ?


放送博物館。

東京タワーの先端部分が飾ってありました。実際に使っていたものだそうです。


放送博物館にいってきました。

科学の進歩はすさまじい。地球の裏側にいようと、携帯電話で瞬時にやりとりができる社会に僕らは住んでいる。
なのに! おそらく最高の技術を使っているはずであろうテレビのニュースの外国からのリポート、なぜ遅れるんでしょうか? どこの局の海外中継でもやり取りがだいたい2,3秒(梅田調べ)遅れてる。イラクなどの情勢が不安定な場所からのリポートなんかはわかる気がするんですがニューヨークからでも声が遅れている場合が多い。この疑問を解決するため、NHK主催の放送博物館(こんなとこあるんですね)にいってきました。

さっそく話しを伺おうかと思ったんですが、放送博物館にかなり興味がひかれてしまったので、ひとまず普通に見学することにしました。


こちらは日本で一番最初のテレビの試験放送の映像。イロハの「イ」が最初に映し出されました。 左の画面を真剣に見つめるおじいちゃんたち。ここでは前もって予約しておけば、ガイドさんが館内を案内してくれるそうです。

スタジオで実際に使われていたカメラも鑑賞することができます。すげー。 初期のテレビ(イギリス製)。今復刻版で売り出したら結構売れると思う。

「できるかな」ののっぽさんとゴン太君。懐かしいですね。 のっぽさんの帽子。実物です。

ゴン太君。 ゴン太君、意外にでかい。もう少しで身長負けるところでした。

本題に戻ります。



放送博物館副館長、小林さんに伺う。

Q「テレビのニュースの海外の中継はなぜ遅れるんでしょうか? 携帯電話の進歩なども考えると、遅れるのはちょっと不思議なんですが」

海外からの中継で誤差をなくすことは技術的には可能です。自社回線なら問題ないですが、ニュースの海外からの中継は、電話回線を借りて使う場合がほとんどです。
このとき日本のキャスターの声のデータは一旦圧縮されて向こうに届きます。そしてまたそこで解凍します。(ネットに詳しい方ならわかりますよね)
そして海外の特派員の受け答えが再び圧縮されて回線を通り、日本で解凍されます。

この圧縮→解凍→圧縮→解凍により誤差が生まれるわけです。ここまでは携帯電話で話すのと同じ気にならない程度の遅れです。

しかし、
日本のキャスターの声はほとんど誤差がなく相手に伝わりますが、相手の音声は「音声」+「映像」が必要です。音声に比べ映像はデータの容量が大変重くなります。このため、圧縮・解凍に時間がかかり、向こうの音声、映像だけが遅れているように感じるわけです。

Q「では国内だとなぜ遅れないんですか?」

厳密にいえば国内の中継もわずかに遅れています。おそらく日本国内は解凍・圧縮が一回ずつですが、外国からの声は何度も繰り返し解凍・圧縮されていることが考えられます。

ちなみに今後テレビの地上波がデジタル化しますが、デジタルのテレビとアナログのテレビを同時に目の前においてテレビを見るとデジタルのほうがわずかに遅いことがわかります。このためデジタル放送では「プップップー」という時報の放送をやめようかと思っているんです。秒単位で量ると、デジタル放送には誤差が生じるためです。

Q「じゃあこれからはテレビで時計を合わせないほうがいい時代が来るわけですか?」

ええ、1秒の誤差もなく時計を合わせたいなら今後はテレビよりラジオのほうが正確だと思われます。


結論

テレビのニュースで、海外からの中継のときに日本の音声は向こうにすぐ届くのに、相手の声が少し遅れるのはなぜ?

相手の音声に加え映像もお伝えしなければいけないので、その分データが重くなり、相手の映像、音声だけ遅れているように見えるそうです。また厳密に言えば海外に限らず日本でも中継は少し遅れているそうです。



 

▲トップに戻る 特集記事いちらんへ
 
 



個人情報保護ポリシー
© DailyPortalZ Inc. All Rights Reserved.