現場には無事着いたが、アコムレディはいなかった。
日本橋といえばオフィス街。道行く人は脂ののりきった普通のおじさんの姿が目立つ。女性はちらほら見かけるが、誰もかれも仕事に疲れた雰囲気で、さわやかなアコムレディなんてどこにもいなかった。
ああ、テレビなんて嘘っぱちだ。大人の世界はみんなうそさ。とどこにも向かいようのない無益な怒りがこみ上げてきました。
ひょっとするとアコムのお姉さんは休憩中なのでは。時計を眺めるとお昼時だった。そうだ、アコムのお姉さんはお昼休み中なんだ!
往生際の悪い僕はしばらく待っていたんですが、それでもアコムのお姉さんどころか、女性の姿がほとんど見かけない。どうなってしまったんだ?アコムのお姉さんの身になにかあったのだろうか? ひょっとして……。
アコムのお姉さんの安否を気遣うが一向に見つからない。そこで、意を決してアコムの店内に入ることにした。正直なところ、僕は消費者金融の会社の中に入るのは生まれてはじめてだ。
アコムの店員さんが近づいてくる。間違いない、アコムレディだ。
アコムレディ「こんにちは、アコムへようこそ」
梅田「あの、ちょっとお伺いしてよろしいですか?」
アコム「はい」
梅田「しょうもない質問なんですが、ここはアコムのCMに使われたとうわさを聞いたんですが、本当ですか?」
アコム「ええ、ここですよ。前のCMですね」
梅田「ティッシュ配りのやつですよね」
アコム「ええ、そうです」
梅田「すいません、それだけお伺いしたかったんですよ」
アコム「ああ、なるほど。ご用件はほかにもございますか?」
梅田「いえ、それだけです」
アコム「なんでもお気軽にお問い合わせください」
すごく丁寧な対応だった。CMの中の女性ほどの美人なかたではなかったが、アコムのCMの場所には、確かに素敵なアコムレディが実在しました!
|