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特集


チャレンジの日曜日
 
あのCMのあの場所に行く

次はお馴染み、キムタクのあのCMです。

イラスト:林 雄司

ウイダーinゼリー、今年の夏ごろ放送されていたバージョンでは、南国でバカンスにいそしむキムタクが実は妄想で、「んなわけないだろ、あと3件まわらなきゃ」というセリフで締めくくるCMやってましたね。覚えてますか?
あの場所に行って、僕も「んなわけないだろ!」と叫びたい。



上野の丸井でハンカチを買いに行く。

これでいいや。ディティールに凝ろうとしたわりにはてきとうだなー。

プレゼント用の包装をされてしまう。
大量の蓮の葉とつり禁止の看板。風流なんてことはまったくない。
これが問題のギザギザのビル。CMの背景にちょこっと写っていたビルと一致する。

ちょっとだけディティールに凝ってみたくなる。

で、あのウイダーinゼリーのCMなんですが、なんと不忍池で撮影されたらしい。不忍池といえば庶民的な町、上野に程近い場所にある池で、都会的なイメージのウイダーinゼリーのロケ地に選ばれたのは意外だ。

CMでキムタクはハンカチを持って汗を拭いていた。ハンカチはCM中重要なアイテムになっていて、妄想中のキムタクが水着の美女に抱きかかえられようとすると水着の派手な模様が次の瞬間現実世界のハンカチの模様にすりかわっているというものだった。

上野に降り立った僕はどうせならキムタクになって記念撮影したいというひとりよがりな願望のもと派手なハンカチを買いに丸井に行く。

丸井のハンカチ売り場はかなり品数が豊富だったが、めぼしいものはなかった。CMで使われたようなものではないが派手なデザインのヴィヴィアン・ウエストウッドのハンカチを購入した。

レジにてプレゼント用ですかと聞かれ、あからさまに女性用のハンカチだったから「自分用です」といい出せずに、「キムタクになるためです」なんてもっといえずに、結局プレゼント用のラッピングをされてしまいました。

不忍池に向かう。

不忍池に行くのは初めてだ。池の中に咲いている蓮の葉の量が尋常ではなくて驚いた。季節柄かもしれないが、もはや風流といえるレベルを通り越している。観光地としても名のある池なのにこんな具合で大丈夫なのだろうか。そして、本当にここがあのウイダーinゼリーのロケ地なのだろうか。かなり不安になりながら、場所を特定していく。

しばらくして独特な形をしたビルを見かける。実はここに来る前に何度もCMを見返したんですが、CMの背景にギザギザのビルが映っていた記憶がある。ギザギザのビルなんて滅多にないからこの場所で間違いない。こうやってCMのわずかな情報を頼りにロケ地を判断する作業ってすごく面白いです。

『CMではあのビルは画面の左に見えたからこっちの方向から撮ったはずだな? ということは……』
なんだか探偵にでもなった気分。

池の中につくられた道を通る。ここは一本道だから、キムタクはここを歩いたんだろうかなどと想像する。もはや、気分はジャニーズのおっかけの女の子だ。いや、おっかけの女の子だって、そんな事までは考えないだろうし、いくらキムタクがすきでも情報を集めてこんな場所まで来ないだろう。いったい僕は東京でなにをやっているんだろうか。お母さん、ごめんなさい。でも、わりと楽しくやってます。


そうこうしている間に、撮影現場と思われる場所に到着。


解説します。まず、カルガモとハトはちょっと頭の中で消してください。で、手前のベンチにスーツ姿のキムタクを座らせます。
汗を拭き、『あと3軒まわらなきゃ』といっているCM、思い出しませんか? 今放送中ではないものなので、なんだか伝わってるかどうかは微妙ですが、このあたりにベンチはここしかないので、あの変な形のビルの位置関係も含め、キムタクが座っていたのはこのベンチに間違いないでしょう。
もし偶然ビデオが残っていたりする方は見てみてください。



現地は大量にハトが発生していて、CMのような雰囲気は皆無でした。

パンくずに群がるハト。キムタクのCMの面影はまったくない。
なんか踏んだな、と思い下を見るとワンカップ大関のカップ。下町には欠かせない光景です。

このベンチのある場所はカルガモとハトが大量に発生している。

それもそのはず、おそらく年中この付近に通い詰めているであろう風情のおっちゃんが、ハトにパンくずをやっているからだ。おっちゃんは夕方だというのに顔を真っ赤にさせ、ろれつが回っていない。よく見ると道端にはワンカップ大関のフタが散乱している。おっちゃんが飲んだものに違いない。
その横では子供がなにやら兄弟げんかを始めている。

本当にこのベンチにキムタクが座ったんだろうか。もはやキムタクのCMのようなスタイリッシュさは残っていない。スタイリッシュという言葉からもっとも遠いベンチだ。ひょっとすると合成かもしれないという疑問が高まってくる。おそらく、合成じゃないにしても、前日からCM撮影スタッフがきれいに掃除したんでしょう。CMを撮るのも大変な作業だということが伺い知れました。

撮影で悪戦苦闘。

さっそくキムタクになりきって撮影することにしました。といいたいところですが、人が多いし、いかんせんこんな感じなので、雰囲気もへったくれもありません。


人が多い。写真中央はハトにえさをやるおっちゃん。
おばちゃん、記念撮影中。しばし待つ。
集まってくるハトに群がる子供。気をよくしてパンくずをまくおじさん、こうなったらもう誰も止められません。
タイマーをセットし、体制をととのえて、カシャッ! 三脚など持ち合わせてないので角度がなかなかあわない。
おっちゃん。邪魔ですよ。ハトなんてそんな珍しいもんじゃないでしょ。
「あちー、あと3件まわらなきゃ」
ってぜんぜん暑そうじゃないですね。僕はかろうじて暑そうかもしれませんが、枯れ葉があるのであきらかに夏じゃありません。

ウイダーinゼリーの撮影場所

台東区上野公園2

不忍池に遊びにいく際は一緒にここがウイダーinゼリーの撮影場所か、と思ってください。ただし、キムタクになりきって撮影しようとするなら前日からロケハンが必要です。



 

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