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はっけんの水曜日
 
ラードごはん食べ歩き

皆様、お正月はいかがでしたか。ゆっくり出来ましたか。本年もデイリポータルをよろしくお願いいたします!

……でまあ、新年早々、いきなりど〜んと重い気もしますが、ラードごはんのはなしです。
去年、代用肉(菜食)のことを書いておきながらナンなんなのですが……ええと実は、豚の脂身が好きです。
ご存じかとは思いますが、イスラムのかたがたは豚を食べません。欧米には「豚はその油で調理される」なんてことわざもあります。村上龍の小説『コインロッカーベイビーズ』の中にも、豚の脂身だけを食べる、ちょっとグロめのシーンが出て来ます。
無宗教の私でも、豚の脂は不道徳、背徳のイメージをもっています。ああ、ラード・インモラル。

……でも好き。どうしたらいいんでしょう?

そんなことで悩んでいたら、東京で「ラードごはん」を出す居酒屋が増えている、との噂をききまして。
まじで? まじすか? 脂ですよ?
とにかく食べに行きましたよ!

(text by 大塚幸代

まず最初に行ったのは、上野にある『東京豚バザール』。
トンバザールって! 何だその名前、どんな店なんだあ? なんて思いながら行ってみると、駅前のビルの上階にある、小奇麗な居酒屋でした。いわゆる和風ダイニング風。
店員さんは豚の絵のついたオリジナルTシャツ、エプロン。でもニットキャップをかぶっている人もいて、上野のジーパン屋のお兄さん風ファッションだったりして、「他のダイニングとは、ちょっと違うんだぜ!」感を出しておりました。
オープン時間にひとりで行ったら一番のりで、店員さんたち全員に「いらっしゃいませー!」と接客されてビビりました……ブックオフ風。

カウンター席にすわり、ビールとキムチと、ラードごはんをオーダー。

ダラダラ〜とビールを飲んでいると、どんどん予約客がやって来ます。店員は若いけれど、予約客は年配が多いようでした。上野という土地柄のせいなんでしょうか?
ほかに若い女性同士の客も来てました。豚肉料理、大人気です。
……ていうか、そもそも、豚料理というのが小粋、というのはどっから来た概念なんでしょう?

豚=沖縄料理に良く使われる=沖縄は長寿の県=豚は健康にいい=沖縄は流行ってる=オレンジレンジ=おしゃれっぽい?

……だからこの店、泡盛も置いてあるのかなあ、なんて勝手に考えてたらラードごはんが来ました。




「こちら、ラードを半分くらい、おこのみで入れてください。そしてネギ、にんにく醤油をかけて、全部混ぜてからお召し上がりください」
店員さんにサクサク説明されて、はい、はいと答えます。

うーん。




ラードだ……。

とりあえずかけてみて、



まぜてみました。




おお、溶けた溶けた。

思いきって食べてみます。
はむ。

………醤油ごはんを、油で炒めてチャーハンにしたような味です。
ラードごはん、という名前のインパクトほどには、変な味はしません。
どこか懐かしいような味。

会計を済ませて、帰りのエレベーターを待ってる間、若い店員さんのひとりがツツツーと寄ってきて、私に耳打ちしてきました。
「あのお、テレビ見ていらっしゃったんですか?」
テレビ? テレビに出たのかー、と思いながら、否定するのもナンなので「はい(笑顔)」と答えておきました。
「今度は友だちと一緒にまた来ますう(笑顔)」……うーん、やっぱ女ひとりでラードごはんって、不審でしょうか?

 

●東京豚バザール
台東区上野7-3-2上野TSDビル5F MAP



 

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