当然立って食べます
「富士そば」は、都内いたるところにある立ち食いそばのチェーン店。24時間営業の店鋪もあるので、飲んだ後でお世話になったことのある人も多いことでしょう。
麺の種類が多いのでついつい目移りしてしまうが、今回はかき揚げを食べることが私の使命だ。
さっき食べたの蕎麦の量が少なかったので連食するのは少しも苦にならないが、いかんせん「もうちょっと味の余韻を楽しんでいたい」という思いが少しだけ邪魔をする。訪問する順番を間違えたか。
店はおばちゃんが一人で切り盛りしていた。
食券を出すと「そば?うどん?」と聞いてくるので「おそばで」と即答して待つ。
コートも脱がず、マフラーも取らず、ただ待つ。当たり前だが立って待つ。
周囲はオジさん、もしくは若い男性でいっぱいだった。新聞を広げるでもなく誰かと会話するでもなく、出された蕎麦をただ黙々とすする男達。ここでは強制的に食べ物と1対1にさせられるせいか、皆が真摯な気持ちで食に対峙しているように見える。
「まぁ気のせいだろうけど」などと思っているうちに、あっというまに蕎麦が出てきた。 |