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特集


はっけんの水曜日
 
ある日、森の中でフリマに出会った

暗くて何も見えません

ゲートから全力疾走し会場らしき所に着いてもやっぱり暗い。街灯もまばらだし周りには明るい建物もない。この場所はどうやらアメリカ軍の駐車スペースのようだった。会場内にはたくさんの車が荷台を開けて駐車していて、商品をその周りに広げている。この一台一台の周りが要するにフリマの出品スペースなのだ。

各車の周りにはたくさんの人が中腰でわらわらと群がっている。暗くて商品がよく見えないのでみんな腰を曲げで目を凝らして品定めしているのだ。あるお店で古いタイプライターを見つけた。

「これ、使えるんですか」
「ドレモコレモ、ミナヒャクエン」

出品者は基地内に住むアメリカ人なので、ほとんど日本語はしゃべらない。買いに来ている人たちは逆にほとんど英語をしゃべらない。それでも売買は成立する。やっぱり商売は心だ。


見えないのでみんな中腰で手探りです。
便乗して薄闇の中で野菜を売るおばちゃん。日本人だと思います。
触った感じとかで商品を選びます。
懐中電灯を手に商品を見定める人。
値段を聞くとゴッジュドル($50)といわれました。
自転車なんかもたくさん売られていた。雰囲気からしてこのフリマはかなりまともなものが売られているように見えるので関係ないとは思うのだが、こんな話を聞いたことがある。

沖縄はプロ野球のキャンプ地になっていて、たくさんの選手や球団関係者が宿泊する。ある選手がマウンテンバイクを持ってきて沖縄での移動に使っていたらしい。そうしたらなくなった。高価なものだったのでちゃんと警察に届けたらしいのだがもちろん出てこない。しかしある日ふらっとフリマに寄ると売られていた。

ロボット。歩きながらしゃべるのだが、英語で話すので何を言っているのか理解不能。だけど欲しかった。
兵どもが夢の跡

7時半をまわり空がうっすらと明るくなるにつれて、会場の雰囲気もあの殺伐とした感じから徐々に落ち着きを取り戻してくる。暗闇の中で必死に目を凝らしていた人たちも一通りめぼしいものを手に入れ終えたのだろう。

8時ごろになると徐々に店じまいをはじめている出品者が目立つようになる。フリマのゲートが開けられてからまだ1時間くらいしか経っていないのに、すでに良い物はすべて買いつくされてしまったようだ。後には出品者も客もいらないものばかりが残されている。

「ゴッジュエン(もう50円でいいよ)」
ちらかすだけちらかされた残り物は、出品者も持って帰るのが面倒くさいのだろう。我々もそろそろ疲れたので帰路に付くことにした。

だけど沖縄フリマの本当に深いところはここからだった。



 

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