暗くて何も見えません
ゲートから全力疾走し会場らしき所に着いてもやっぱり暗い。街灯もまばらだし周りには明るい建物もない。この場所はどうやらアメリカ軍の駐車スペースのようだった。会場内にはたくさんの車が荷台を開けて駐車していて、商品をその周りに広げている。この一台一台の周りが要するにフリマの出品スペースなのだ。
各車の周りにはたくさんの人が中腰でわらわらと群がっている。暗くて商品がよく見えないのでみんな腰を曲げで目を凝らして品定めしているのだ。あるお店で古いタイプライターを見つけた。
「これ、使えるんですか」
「ドレモコレモ、ミナヒャクエン」
出品者は基地内に住むアメリカ人なので、ほとんど日本語はしゃべらない。買いに来ている人たちは逆にほとんど英語をしゃべらない。それでも売買は成立する。やっぱり商売は心だ。 |