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特集


フェティッシュの火曜日
 
QRコードのり弁をつくる

のりを1センチ幅に切ってゆきます。
拡大コピーしたQR コードの通りにのりを並べてゆきます。
だんだんQR コードっぽくなってきた。QRのり弁だ。
小春日和の縁側。ごはんの匂いのなか、のりを並べている。
両親の家は宮崎県にある。まわりはこんな景色だ。

では作るとしますか

あとは地味にのりを敷いてゆくだけだ。拡大コピーしたQR コードを見ながら僕は右端から、母は左端からのりを並べてゆく。

「……………」
「……………」
「あ、まちがえた」
(ぱくぱく←のりを食べている)
「…………」

久しぶりなので親子の会話でもしようかと思ったが全くそんな余裕ない。けっこう疲れる。失敗したのりを次々食べていくので息がだんだんのりくさくなってきた。ゲプ。

ここで会話をしておかないと原稿を書くときに困るのでなにかふってみる。

次男:「どう。なんか最近あった?」
母:「………、ああ、近所の佐藤さんが欽ちゃん球団のキャンプ見に行ったって。」
次男:「へえ。どうだったって?」
母:「いや、テレビ見てたら佐藤さんが欽ちゃんになんか言われて大笑いしているところがうつってたから」
次男:「あ、本人に聞いた訳じゃないんだ」

 

だんだんできてきた

だんだんQRコードっぽくなってきた。ときどきふたりで立ち上がって遠目で見て「おおお!」という。

互いに違う方向から作っていたので、両者まんなかで合流するときにズレが生じた。

「あれ?」
「ここ2個あいてないといけないのに」
「だめかなあ、これ」
「なに言ってんの。ここまでやったんだからさいごまでやりなさいよ」

………怒られてしまった。

縁側でのりでQR コードを作って母に怒られるという、夢だってこんなの見ねえよというぐらいシュールな状況になっている。

このあとも2時間ほど黙々と作業を続けた。母は偽の500玉が欲しいと言っていた。

「1万円だったら悔しいけど、500円だったら話のネタになるかと思って。」

たしかにどんな硬貨よりも流通量が少ないので希少といえば希少なのだが。テレビでみたあの500円玉がこれか!という感慨かもしれない。そんな、モノの見方があるのか、と思いながら手を動かした。

作業開始から3時間。ようやくすべてののりをはりおえた。こののり弁はQR コードたるものになっているのだろうか。

 

 


 

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