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ちしきの金曜日
 
セレブレティに会える店?

と、前ページで煽るだけ煽ってしまったが、店内は普通の居酒屋といった感じだ。だが、いきなり入り口にキラー・カン(以下カンちゃんと表記)がいたため、 一気にボルテージが高まる。本人であることを確認すると、「一応そうですけど」なんて控えめでかわいい返事が返ってきた。

カンちゃんに席まで案内してもらい、とりあえず飲み物とこの店の名物であるちゃんこ鍋を注文する。他のつまみを決めかねていると、「だしまき玉 子がおいしいから頼むといい」、「人数的に豚串がちょうど良いよ」と、有無をいわさずカンちゃんがどんどん注文を決めていく。

といってもそこに悪意があるようには見えず、むしろ本当にお勧めだから食べさせたいといった様子で、 実際に出てきた豚串もだしまき玉子も、思わず「うまい!」と声を挙げたくなるほどだった。

ぼったくりの件も単なる噂に過ぎず、会計をしてみたらむしろ安いと感じるほどだった。伝説のプロレスラーに真心のこもった接客をしてもらえる、とても良いお店だ。
ぜひ機会があれば、皆さんも足を運んでみてください。

ちゃんこ居酒屋 カンちゃん
新宿区歌舞伎町2-27-12 5 階
https://kilakan.at.infoseek.co.jp/

 


ダシの味がとてもしっかりとしていて、とても美味しかった。林氏いわく「家庭の味だ!」との声もあがった。

豚串。思わず自分の語彙の脆弱さを反省したくなるほど美味しい。


看板商品のちゃんこ鍋。一人前で優に3人はいけるボリュームで、味は海鮮チゲに近い。


と、ここで本来ならばレポートを終えるべきなのだろうが、そうはいかない事情がある。この後、前ページで軽く触れたとおり、まさにこのお店ならではのとんでもない事態に突入したのであった。

カンちゃんはとなりの常連さんと談笑していたのだが、その内容によると、4月27日にクラウンレコードから歌手としてデビューするらしい。(タイトルは「ふるさと真っ赤っか」)そこで、となりの常連さんが歌ってと頼むと、カセットテープのオケにあわせて、その新曲を披露してくれたのだ!

気持ちよさそうに新曲を熱唱するカンちゃん。演歌には疎い僕だが、歌手デビューもうなずけるほどコブシの利いた歌いっぷりだ。


しかし、歌の途中でウェイトレスさんが注文した料理を持ってくると、間奏のあいまにその料理の説明をしてくれる(やさしいぜカンちゃん!!)。

新曲を歌い終わった後もまだ物足りないのか、この後も布施明の「愛の終わりに」や、石原裕次郎の「粋な別 れ」などを熱唱。 また、生前親しかったという尾崎豊の「I LOVE YOU」でしんみりさせてくれたり、郷ひろみの「よろしく哀愁」を微妙に声色を変えて歌って場を盛り上げてくれるなど、いつのまにか「キラー・カン リサイタル」に突入し、エンターテイナーとして僕らを楽しませてくれた(本人はカラオケが好きなだけだと謙遜していたが)。


キラー・カン リサイタル@ちゃんこ居酒屋 カンちゃん。

また、カンちゃんはとてもフレンドリーな人物で、いちげんさんである僕らが色々質問を浴びせかけても快く答えてくれ、普段から持ち歩いているというお子さんの写 真まで見せてくれた。

カンちゃんのご子息の写真。カンちゃんに似て体格が良く、さらには男前です。

他にもいろいろと話をしてくれ、だんだんインタビューの体をなしてきた(もちろん取材だということはこの時点では伏せてあった)。
つくづくテレコを持ってこなかったのが悔やまれるが、以下にメモ書きしたものを箇条書きにしてみよう。

・カンちゃんは本当の恋をまだ知らないらしい(布施明の歌を歌うとき、「本当に恋したらこんな感じかなあ?」とお茶目につぶやいていた)。

・プロレスラーでカラオケに行ったことがあるが、猪木はあまり上手ではなかった。アニマル浜口は味のある歌を歌うらしい。

・昨年の一年間、老人ホームの慰安のため、全国を歌って回ったそうだ。中には泣いてしまう人もいて、その噂が徐々に広まったらしい。

・ デビューの直接のきっかけはお店でカラオケを歌っていた時にスカウトされたのだという。現在は週に5日はボーカルレッスンに通 っている。

・ちなみにレスラー時代にも歌手デビューの話はきたことがあったが、全て断っていたらしい。理由はプロレスに専念する為だそうで、そういうところもいちいち格好いい。

・ アニメソングで名高い歌手、水木一郎氏にもその歌声は評価されたことがある。

・お子さんはみな身長が大きく、長女は197cmもあるのだとか(ちなみにご自身は190cmくらいとのこと)。

・歌手という新たな道に踏み出した心境を尋ねると、「58歳にもなって、第二のリングにあがるとは思わなかった。とにかくもうやるしかないね」と、一切迷いのないような口振りだった。

・新宿に移転する前までは、よく尾崎豊がお店に遊びにきていて「自分の家にいるみたいだ」と言っていたらしい(その辺のことは、カンちゃんの中でも触れられたくない大切な思い出のような気がして、敢えて深く訊くのはやめておいた)。

尾崎豊が好きだったというカレーセット。


他にも細かい発言があるのだが、全て拾っていったらキリがないので、この辺までに留めておくことにしよう。

常連のお客さんにもいちげんのお客さんにも、分け隔てなくフレンドリーに接客してくれたカンちゃん。
だが、歌手デビュー後は巡業に出てしまうためこのお店にはたまにしか出られないらしい。ファンの方はもちろんのこと、そうでない皆さんも、4月27日のXデーまでにはぜひ一度足を運んでもらいたい。
行けば絶対に、カンちゃんの素敵な人柄にノックアウトされることは間違いないのだから。

記念写真。この体格の差は相当すごいが、そんなことを忘れさせてくれるくらい本当にカンちゃんはいい人でした。

さて、今回のこの企画。気がつけば当初のコンセプトとは全然違うところに着地してしまったような気がする。

木久蔵には会えなかったし(良いお店でしたが)、仲本工事のお店に至ってはダジャレみたいなオチまでついてしまったが、 最後は実際に有名人の経営するお店で有名人にあうことができたのでヨシとしよう。

さて、最後になにかまとめの言葉でも書くべきなのだが、言いたいことはもうすでに全て言ってしまった(要は「居酒屋カンちゃん」には絶対に行った方がいいということだ)。

それでは秘蔵の画像を貼ることにして、お茶を濁して〆に代えさせて頂くとしよう。

お昼寝カンちゃん。いったいどんな素敵な夢をみてるのでしょうね。

おわり


熱いシャウトだぜカンちゃん!! ということで本当に終わります。拝読していただき誠にありがとうございました。ニンニン。


 

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