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特集


チャレンジの日曜日
 
「おしゃれ染めハウス」を鑑賞する
まさに「おしゃれ染め」と呼ぶにふさわしい色合い

都心回帰で高層のタワー型マンション需要が活況の都市圏住宅市場だが、まだまだ「庭付き一戸建て」へのあこがれは強い。

多少通勤に時間がかかったとしても、定年後までのローンで手に入れたとしても、庭付き一戸建てを自分のものにしたならばその人は勝ち組と言っていいだろう。

そんな人生の勲章、庭付き一戸建て。そしてそれをビビッドに彩ることで、さらなる勝ち組感の昂進を実現している例が多くあることを皆さんご存知だろうか。いわゆる「おしゃれ染めハウス」と呼ばれるものだ。呼ばれるもの、って言ってもいまぼくが名づけたんですけど。

ただ、ほんとに「勝ち組アピール」のためかどうかは知らない。もしかしたら風水かもしれない。

どうして人は自らの家をカラフルにしてしまうのか。今回は郊外に咲く可憐な花、「おしゃれ染めハウス」を収集・分類・分析することで、その深層心理に深く切り込んで行こうと思う。うそです。思いません。

なお、筆者は心底素敵なカラーリングだと思って「おしゃれ染めハウス」と名づけ(筆者がこれらの家々をいかに素敵だと思っているかが遺憾なく伝わるネーミングだと自負している)、レポートする所存だが、それでもあるいは読者のなかには気を悪くする方もいらっしゃるかもしれない。しかしそこは30代にしてパラサイトシングルまっしぐらの負け組の男が言うことだ。どうかご寛容に。

(text by 大山 顕

今回は郊外を中心におしゃれ染めハウスの調査を行った。色で分類した結論を先に言うならば、おしゃれ染めハウスはおおまかに言って4色にまとめることができる。

1.ミントグリーン
2.イエロー
3.ブルー
4.ピンク

だ。だからなんだ、という話ではある。しかし、これが分類・分析というものであり、博物学の基本だ。「だからなんだ」にひるんでいては博物学はやっていられない。というか、博物学なのかこれ。


■おしゃれ染めハウスその1・ミントグリーン


清涼感あふれるミントグリーンのおしゃれ染めハウス。キシリトール配合。


このミントグリーン派の方々が重視しているのは「環境との調和」。エコのシンボルカラーであるグリーンを自邸にまとうことで自らの環境への意識の高さをアピール。「勝ち組」の余裕がうかがえる。

もちろんゴミの分別は完璧。たとえばティーバッグを捨てるときも、糸とバッグをつないでいるホチキス部分はちゃんと取って「金属ゴミ」として捨てています。きっと。たぶん。

ところでこの色、どこかで見たことがある色だ。何の色だっただろうか、と思っていてはたと気がついたのが、「Power Point」の図形の色だった。


「Power Point」ではほっとくとこういう色に。これがビルゲイツの色彩感覚か


世の中に絶対的に「良い色」あるいは「悪い色」というものは無いと思ってきた。色に対する評価はすべてそのコーディネートにおいてなされるはずだ、と。

しかし、そんなぼくもMicrosoft Officeのソフト「Power Point」で図形を描いたときに初期設定で塗られてしまうこの色はどうかと思う。

なぜこの色がデフォルトカラーなのか。「Power Point」といえば、ビジネスの現場ではもはや欠かすことのできないソフトウェアだが、しかしどういうビジネスを営んでいたらあの色を活用できるのか、といつも思う。あれか、敵対買収の企画書とかか。よくわかんないけど。

世界中で日々行われている、この色をまともな色に変更するためにクリックする動作で発電したら、東京都の一日分の電力がまかなえます。うそですけど。

ともあれ、いわば「Microsoft色」とも言えるこのカラーをおしゃれ染めカラーに選択するとは、さすが勝ち組。IT界の巨人を代表する色を、自らの成功の表現として採用。帝王学と色彩学の融合だ。


 

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