おでん×うずらの卵
おでんには卵が欠かせない。好きな具の上位3つに確実に入る。不満といえば、一度にそうたくさん量が食べられないことだ。
この問題を、普通の卵の代わりにうずら卵を使うことで解決しようと思う。さて、今度こそ嫌いになることが出来るだろうか。
もう、大量のうずら卵を見ても「うわあ!」と気持ちが湧き立たないのが少しだけ寂しい。さらに、食べる前からいささかウンザリしているのが自分でもわかった。これは期待が持てる。
最初の3〜4個までは普通に食べられたが、すぐに油揚げを食いちぎり、中の白滝を食べてしまった。助けを求めたといっていい。
ああ…。ものすごくツライ。物を食べてこんな気持ちになるなんて。 もう食べたくない。でも食べないと…。
このおでん、「ピッチャーで、しかも4番バッターの高校球児ばかりを集めた野球チームのよう」と言えばニュアンスが伝わるだろうか。まったくどうしようもないクドさだ。 ショートを手堅く守る1番バッターの白滝という存在のおかげで何とか食べられるものの、それがなかったら試合放棄だ。ゲームオーバーだ。監督交代だ。
うずらの卵って、もしかしたら私が思っている以上に主役級の食べ物なのかもしれない。確かにこんなもの、10個も20個も料理に入れたら、味自体がオカシくなる。
いま、嫌いな食べ物は何かと聞かれたら、迷うことなく「うずら卵!」と答える。もう顔も見たくない。ついに私にも嫌いな食べ物が出来たのだろうか。
甘かった
おでんにウンザリしてから数時間後、小腹が減って台所に行き、つい残っていた卵を1つツマんでしまった。冷めて味が染みた卵。う、うまい。というか、全然キライになれてない…。
さっきあれほど「嫌いだ」と思ったのに、もう「好きだ」に戻ってしまった。持続力ゼロの「キライ」なんて、ホンモノじゃない。
…さらに強力な実験が必要なのかもしれない。今度こそ生涯に渡って「キライ」と言えるような、強力な実験が。