コラム私とネコ:その2
「ネコの出産」
アパートでネコが出産したこともあった。
「なんか最近おなか大きいなぁ。」
と思っていたら、ある日、布団が血で濡れていた。
驚いて見ると、すでに2匹ほど布団の上で産んでいた。
「あっあっ!!ここで産むな!」
と、慌てて母猫と産まれたての子猫2匹を家の前に放り出した。(この行動、今思うとかなり酷かったと思う。が、私に限らず若い男の出産に対する理解なんて、案外そんなものかもしれない。)
その後、母猫はどうしたかというと、家の前に積んであったゴミの山の中に子猫を隠し、どこかにいなくなってしまった。
そして2時間が経過。
その間、私は置き去りにされた子猫が心配になり、家の中にダンボールの箱を用意して入れ
「どうしよう〜…」
とオロオロしていた。
すると突然、夜中の12時頃、母猫が帰って来た。
母猫は帰って来るとすぐ子猫に乳を与え始めた。
が、一段落するとまた外に出て行ってしまった。
「おいおい、どこに行くんだ?」
と、その不思議な行動に困惑していると、30分ほどして再び母親が戻ってきた。しかも、口に子猫を一匹くわえて!
どうやら、出産の途中で私に追い出された母猫は、その続きをどこか(第2の隠れ家)で産んでいたらしい。しばらくするとまた外に出て行って、30分くらいしたらもう一匹口にくわえて戻ってきた。それを計3回繰り返し、子猫は合計5匹になった。
これにはものすごく感動してしまった。
メシ食ってただゴロゴロ寝てるだけだと思っていたネコに、こんな叡智が備わっていたとは。誰からも教わってないのに、こんな行動がとれる。本能というやつの凄さを思い知らされた。
その後、母猫は5匹の子猫をうちで育てた。が、途中で一番元気が良かったやつと、一番元気が無いやつの2匹が死んでしまった。一番元気がいいやつは、母猫のおっぱいを爪で引っ掻くので母猫が乳をやるのを嫌がるようになってしまったのだ。残りの3匹は順調に大きくなり、ひとり立ちした。
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