喜びに変わる!
「おお、ハム!」
何の変哲もないリアクションだが、ハムを前にしたときの喜びが素直に表れているとも思う。
「まさかハムとは…」
しばしハムを見つめ、ハムをもらった喜びにひたる父。デパートの包装紙や大げさ気味の箱も演出としてうまくいったのだと思う。ハムの人の私としても非常に満足だ。
「なにかハムについて思い出ってある?」
「うーん、そうだな、子供の頃初めてハムってのを見て、
肉ってこんなにきれいなのかと思ったな」
「えーと、それは色がってこと?」
「そうそう、昔のハムってのはやたらと色がきれいだっ
たんだ」
ハムについての追憶を語る父。今でも安いハムの中にはそういう色をしているものもあると思う。
「で、あとからそれはわざと色をつけているんだと知っ
たんだ」
「それで何か変わった?」
「あんまり食いたくなくなったな」
「……」
実態を知ることにより、ハムへの気持ちがダウンした父。ハムのダークサイドを垣間見た感じがする。 |