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特集


ちしきの金曜日
 
多摩川をひたすら歩く、35,000歩
果たしてどこまでのぼれるのか。

子供の頃、家の前に一本の細い川が流れていて、この川をずっと歩いて川上に上っていけば、どこにたどり着くのだろう、とよく思っていた。ある日友人と川上へ向かって歩き出したが、歩けど歩けど川は続いていて、結局どこまで続いているかは分からなかった。
今、童心に帰ってひたすら川を上流に向かって歩いたらどんな気分になるのだろう。一日ひたすら多摩川を上流へのぼってみることにしました。

梅田カズヒコ



スタート地点は多摩川河口。

いつもより少し早起きして多摩川河口にやってきた。
多摩川下流部はちょうど東京都と神奈川県の県境を流れていて、東京側の河口の先にちょうど羽田空港がある。遠浅の方に管制塔が見える。空港は埋立てられているからどこまでが川なのか海なのか分かりづらい。しかし、工場と空港しかなく人が住んでいる気配はないので海と川の境界線がどこにあるかを気にする人もいないんだろう。川なのにほのかに潮の香りがする。
厳密に言えば河口はもっと先かもしれないけど、ここをスタート地点として、ひたすら上流に歩いていく事にする。どこまで歩けるか、地図を捨て童心に返り歩く。できれば奥多摩湖まで歩きたい。いや、本気で。今日はなんだかストイックなことがやってみたい気分だ。


スタート!
万歩計をつけて歩く。

 

ていうか、ほとんど海だ。

川のほとりのぬめっとした地面をぺたぺたと歩いてると、ざざーっと波が立ている、船は通るしなんだかよくわからないゴミが波打ち際に打ち上げられていてほとんど海だ。


この風景。川とは思えない。
波うちだっている。

 

川辺で見つけた変なもの

川辺にはなんだか怪しげなものが落ちていた。ボールや何かの容器といったものから、なぜかスニーカーやビデオテープといったものまでさまざまなものが落ちている。

スニーカー。ついさっき脱ぎ捨てられたかのようにきれいな状態だった
ビデオテープ。

こうやって捨てられたビデオテープを家に持って帰ってきて何が映っているか調べたら面白いかな、と思ったけど、なんだか汚かったのと、ここで書けないようなものが映っていたらどうしようかと思いこのまま置いておくことにした。
それにしても、こういうところに落ちているものってなんだか謎めいていて想像力をかきたてる。なんで川に落ちてるビデオテープってタイトルが書いてないんだろう。
でも自分はビデオテープを捨てるとき、誰に見られるでもないのになんとなく恥ずかしくてタイトルのテープをはがして捨てている。そういう事かも知れない。落ちてるテープに「さんまのからくりテレビ」とか「金曜ロードショー」とか書いてあったら、それはそれでいやだ。

 

多摩川沿いに船のりばが点在している。
船に乗ってみたいなー。

羽田は海の町だったんだ。

しばらく多摩川沿いの羽田の町を歩いていると、屋形船、つり船といった看板が目につくようになってきた。羽田って聞くと空の玄関口といった印象があるけど、海の玄関口でもあったんだ。
羽田空港の工事で移動させられた鳥居があって、その立て札には、進駐軍が空港を作るために古くから羽田に住む住民を追い出して、それ以降羽田の町の風景は変わってしまったという町の歴史をが添えられていた。東京の町の歴史をそれほどよく知らない僕は、羽田がそんな歴史を持っていたことをまったく知らずに空港をたまに利用していた。やっぱり歩かなくては分からない事ってあるんだなー。
屋形船、一回乗ってみたい。

屋形船やつり船の事を考えながら歩いていたら、おなかがすいてきた。


首都高湾岸線の下をくぐる。現在2700歩ぐらい。


 

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