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ひらめきの月曜日
 
寝てる間のカロリー消費量を調べる 〜研究所にご一泊〜

睡眠直前まではごろ寝で本読んでました(ベッドはリクライニングがついている)

起床。トイレをすませて窓を開ける。室内に設備された個室なだけに、窓の外に窓が

ベッドに横になって静かに1時間。ときおり、窓から眠っていないかどうかチェックに来る。寝ちゃうかと思ったけど案外大丈夫でした

終了後、部屋の外(研究室内)で朝ご飯をいただきました。夕食よりボリュームあり

おやすみなさい

基本的に室内では自由、と書いたが就寝時間と起床時間は決まっている。就寝は外部からの合図で照明を消して「眠れなくても眠る努力を」(測定実験参加のしおり参照)しなければならない。

私はといえば、何を疲れているのか知らないが、電気を消したとたんにパタンと寝られた。

夢も覚えていないほどぐっすり眠って翌日。先生からの内線電話で起床。妙なほどの健康優良児ぶりが恥ずかしいが、目覚めよくすぐ起きられた。室内でもどうかというほどリラックスしてるし、自分が思っている以上にどこでも生き延びていけるタイプなんじゃないか。妙な自信の芽生えとともに、先生の指示通りカーテンを開け、トイレをすませた。

あともう一息で終わりです

起きた後は、最後に「基礎代謝量」を調べるためにベッドに横になった状態で1時間すごす。

基礎代謝とは、人間が何もしない状態で使用しているエネルギーのこと。起床後の食事の影響のない状態で測ることで正確な数値が割り出せるのだそうだ。

最近は「基礎代謝の高いからだ」=「太りにくいからだ」として、脂肪を燃やすダイエット以上に基礎代謝を上げるダイエットが注目されており、私もその手の雑誌の記事なんかを熱心に読んでいるわけだが、その話題の基礎代謝がこれで分かるのだ。

ちなみに筋力をつけることで基礎代謝が上がるということが一般的にいわれているが、田中先生によると、筋肉量の差による消費エネルギーの増減は微量にとどまるという研究結果もあったりしてダイエット効果については「まだまだ研究の余地がある」部分なのだそう。へー! へー! へー!

そして退室

12時間10分の滞在時間はこれで終了。例の重い個室の扉をぱかーっと開けると、「おお、出たー!」という感動が。私は12時間だったけど、以前37時間の滞在実験を受けた人たちはその感動もひとしおだったんじゃないかと思う。

いや、何しろ貴重な体験をさせていただきました! 気になる結果は後日お知らせくださるということで、現在朝8:30。今日はこのまま会社に向かいます。


結果、出ました

しばらくたって、田中先生が検査の結果をメールで知らせてくださった。そこには基礎代謝量と睡眠時代謝量の検査結果が! 果たして私は寝てる間にどれだけカロリーを使っているのか 。

基礎代謝量
覚醒時において食事の影響をなくした、ほぼ最小のエネルギー。
起床後15分後〜1時間後に寝ころがった例の検査結果ですな 。
  1,133kcal/日
睡眠時代謝量
睡眠時間8時間の平均。食事の影響を若干含む。(食事の影響をうけると多少代謝は上がる)
 1,047kcal/日
睡眠時代謝量
睡眠時間中における、連続する3時間の最小値。生きていくのに必要なエネルギーにほぼ等しいはずだそう。
  983kcal/日

ほほう……。と、ひげをなでてみるが、この結果はどうなんだろう。普通なんでしょうか? 

先生によると、「日本人の食事摂取基準(2005年版)」に載っている20歳代女性の基礎代謝基準値よりは低い結果になっているものの、そもそもこの標準値が高すぎると再検討中であり、ほぼ標準的と考えられる、とのこと。

標準と聞いて、ホッとした一方、睡眠時(3時間)の方は性別や体型からみると約1,092kcal/日ぐらいあるのが普通で、私の結果はかなり低いらしい。つ、つまり寝ている間においては私は人よりカロリー消費してないってことのようだ。なーぬー。


まとめ

ちょっとショックを隠しきれない結果をうけつつも、貴重な体験をさせていただきました。あのなんともいえない個室の感じ。単純に「変わった場所にお泊まり」って楽しい。

なお、こちらでは身体活動量をきちんと測る方法(加速度計によって動作の種類や強さを評価する方法など)や 食生活の内容が変化した時、例えば食事構成(糖質、脂質、たんぱく質など)が変わった時に生ずるエネルギー代謝の変動などについても研究を進めつつあるそう。いわゆる低インシュリンダイエットよりも科学的で効果的なダイエット食が見つかったりする日も近いのだろうか。ダイエットうんぬん以前に未来の栄養食に興味津々です。

そういえば、測定中テレビをみていたら一瞬地震速報が。ビビるも、異常はありませんでした。よかった……。


取材のご協力ありがとうございました
 独立行政法人 国立健康・栄養研究所
 https://www.nih.go.jp/eiken/


 

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