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特集


ちしきの金曜日
 
宮崎すごい石めぐり

●内なる自分との出会い

 続いて紹介するのは小林市にある陰陽石(いんよういし)。名前からしていわくありげな感じのする石だが、お乳岩と違ってはっきりとその全貌がわからない名づけ方である。


歓迎ムードが素直にうれしい

手のイラストのリアルさが気になる

 清武町の乳岩がひっそりと山奥にあったのに対し、はっきりとした歓迎ムード。大きく案内看板も出ているのだが、どうしてこういうときに示される手の絵は妙にリアルなのだろう。

 無駄とも言える描き込み具合が気になりつつ、案内に従って歩を進める。


あ、見えてきた
はい、陰陽石でーす

 石を見て何を思うかは自由だ。陰気に沈むもよし、陽気にはしゃぐもよし。見る者それぞれの心に浮かぶものに正直であればいい。

 案内板によると、高さ17.5m、茎頭回り(そう書いてある)18.8mとのこと。かなり巨大であるということがおわかりいただけると思うが、何かと比べたりすることなく、単なる事実としてとらえていただきたい。


いろんな角度から
お楽しみください

 火山活動による溶岩とされるこの石だが、竜が美女に見惚れて降りてきて、そのまま化石になったという伝説もあるらしい。伝説なので真偽はともかく、石になるにしてももう少し考えたらどうなのか、とは思う。

 なんでこんな形に。何を考えてるんだ。


でかけりゃいいってもんじゃない
な、そうだろう!

 
 やはりここでも聞こえてくるのはセミの声。2005年、ぼくの夏休みはこんな感じです。

 

●陰陽クライマックス

 石を前にしてさまざまな思いが胸に去来する中、さらに気になる看板が目に入った。


そう言われても

 大きく書かれた陰陽石というのはいい。それはもうわかった。その下、少し塗料がはげて読みづらい部分もあるのだが、「女石 たて割れ」と書いてある。

 なんだこれ。声に出して読んじゃいけない。そんな気がする。

 そう言われてもなあ。リアクションに困る。それでも看板の指し示す方にふらふらと行ってみると、それなのかなというのが見えてきた。


心の目で見てください

 うーん。岩が斜めになっているあたり、よく見ると言いたいことがわからないでもない。まあそういうことなんでしょう。

そのうつろっぷりがうらやましい
そ、そうですか…

 石を見ている私の背後にあったのは、地蔵さまや埴輪が置かれているお堂のような建物。ハードな石を見つめてさまざまなものが渦巻く私だったが、その穏やかなたたずまいに少しほっとする。

 そう思っていると目に入ってきたのは、お堂の上のところに張ってあった「自業自得とは」のはり紙。

 そうなのか、自業自得って自分だけの問題じゃないんだ。石ばかり見ている自分に喝を入れられたような気持ちになる。でも石を見るというのは別に悪じゃないよね。

 こういう警句を読んで怒られたような気持ちになるのはやめにしたい。石めぐりはさらに続きます。


 

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