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特集


ちしきの金曜日
 
自分の姓をさかのぼる

東京の国会図書館にやってきました

文献をあたってみる

国立国会図書館のウェブサイトによると、人の姓や家系について調べたい人は、まず「姓氏家系大辞典」という本を見るべきらしい。

国会図書館というと、ほとんどの本が地下にあって、閲覧不可でコピーのみ可というイメージがあったのだけど、今回必要になる文献はほとんどが「開架」、つまり普通に読むことができる図書室に置いてあるようだ。しめしめ。

 

「三土」の項目があった

さっそく角川書店「姓氏家系大辞典」を探してみると、第三巻に「三土」の項目があった。


三土 ミツチ

地名を負ひしなるべし。常陸に蛟網神社あり。此の氏は中国の名族にして、藝藩通志に見え、又現代、讃岐の人三土忠造は政治家として令名高し。

(出典:角川書店「姓氏家系大辞典」第三巻。太田亮著。)


箇条書きにすると、

  •  この姓は地名に由来する
  •  茨城県の蛟網神社と関係がある
  •  中国地方で名が高かった

ということになりそうだ。

2番目のなんとか神社については分からないけれど、1番目と3番目についてはもしかしてと思うところがある。

じつは以前から、ウェブ上を「三土」で検索すると、「鳥取県日野郡日野町三土」という地名がひっかかることに気がついていた。

→地図

鳥取県といえばまちがいなく中国地方だ。何か関係があるんじゃないだろうか。

 

鳥取県の三土村と関係がありそうだ

同じ図書室に、全国の地名について書かれた本があった。鳥取県日野郡日野町三土について調べてみると、つぎのように書かれていた。


三土村

(一部抜粋)文化13年(1816)当村の次兵衛の妻と娘が四国巡礼に出たが、 阿波国で妻が病死し、娘は幼少で保護されたため、親類が受取りに出かけるようにと、鳥取藩大坂留守居役から伝達があった(在方諸事控)。

(出典:平凡社「日本歴史地名体系」32 鳥取県の地名)


こちらも箇条書きにすると、

  •  1816年に三土村の人が四国に行き
  •  現在の徳島県で一人が亡くなり、一人が保護された
  •  三土村の親類が引き取りにいった

ということになるのだろう。

1816年というのは、さっきの三土助三郎さんの生まれた(と勝手に推測する)1820年ごろと年代が近い。もしかして何か関係があるんじゃないのかと思いたくなる。

 

鳥取県日野郡日野町の三土に行ってみよう

もうこうなったら直接その場所に行くしかない。

思い立ったが吉日、新幹線と特急を乗りついで鳥取まで行ってしまった。


東京から岡山までは新幹線で、

そこから根雨駅までは特急「やくも」を使う。

鳥取県日野郡日野町三土への最寄駅、根雨。出発したのは昼ですが、着いたら夜でした。

 

宿をさがす

来てしまったのはいいけど、宿のことをぜんぜん考えていなかった。駅のまわりを見渡すかぎり、タクシーもとまっていないし、そもそも町の明かりが見えない。

さいわい、駅前に設置された案内図に一件だけ旅館を見つけることができた。近くの電話ボックスで電話番号を調べ、連絡を取る。


よかった、案内図がある。

「朝勝館」。泊めさせてもらえるだろうか。

 

助かりました

電話口の女性に、いまから泊めさせて頂けないでしょうかとお伝えしたところ、だいぶ驚いた声で「今日ですか」とたずねられた。

これはだめかなと思っていたけれど、しばらくして「大丈夫ですよ」とのお返事が。なにか逡巡していらっしゃるような間があったけど、なにしろこちらには他に選択肢がない。朝勝館に投宿させて頂くことした。

着いてみると、風情のあるとても素敵な宿だった。女将さんも親切な方で、本当はお盆で休みだったのだけど、親戚が泊まりに来ているので、ついでだからあなたも泊めてあげることにしたのです、とのことだった。


2階へつづく階段をのぼって、
部屋へ。他のお客さんがいないので、2部屋分使わせてくださった。
お風呂も一人で使える。なんだか旅気分だ。

 

今日はもう寝ます

お風呂に入ってなんだかすっかり幸せな気分になってしまった。今日はこのままもう寝て、明日は朝から三土村について調べることにしよう。



 

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