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特集


ちしきの金曜日
 
「ラブホテル」を鑑賞する

■様式を超えて

ラブホテル様式の行き着いた先のひとつが、これらの建築だ。何風と言っていいのかよく分からない。「ポストモダン」とか言えば良いんだろうか。そんな適当な言い方で良いのか。

なんとなく有明ビッグサイト風なテイストも感じられるが、全体的にはよく分からない建築様式。


上などは「英国館」を名乗ってはいるがどこにブリティッシュ感を見いだせばよいのか分からない。英国って言うより有明じゃないのか。だいたいラブホテル機能において英国テイストがどういう訴求をするのかも分からない。

造形、ライティングの色遣い、ともに遺憾なくポストモダーン。


「こういうのをほんとうに『ポストモダン』って言うの?」
「…すまん。適当言った」
「ポストモダンさんに怒られるよ!」

すいません。


なんかこういう様式があるんじゃないかと思わせる堂々とした造形だが、たぶんこんな様式無い。


画面一番左の壁面に描かれたフレスコ画風壁画からするとそれとなくイタリアンな主張をしたいんだろうが、どうなんだろうか。

やろうとしていることは分かる。でも建築科の授業でこれ作ったら怒られるのではないか。ゼウスの怒りに触れて星座とかにされやしないか。

 

ラブホテル相手に様式とか言ってるようじゃだめなのだとは思う。右脳で考えればいいのか。だったら、どうせならこれぐらい突き抜けて欲しい、と思うのが下の2つの物件だ。

非日常を地理的な条件ではなく季節に求めた好作。


屋上、エントランス、至る所にサンタ。サンタの海。


クリスマスイブにはラブホテルだけでなくあらゆる種類のホテルが満室になると言うが、ホテル自身が年中クリスマスを主張することで聖夜の浮かれ気分を演出。きけばこのクリスマス仕様のホテル、首都圏近郊にいくつか展開しているようだ。

「このホテル、クリスマスイブはさぞかし人気なんだろうね」
「えー、クリスマスはないでしょ。そう言うものじゃないよ。分かってないなー」

分かってないってさ。


非日常の極致。その名も「UFO」



非日常の演出はついに地球外へ。目黒で始まった、非日常をコンセプトとしたラブホテル様式の冒険。全国にはもっと変わったものがたくさんあると思うが、UFOはひとつの到達点と言って良いと思う。これを前に様式がどうのというのは意味をなさない。

「さすがに、これはちょっと入る気にならない」

その「入る気になれない」ところに入らせてしまうのが本物の男なのかもしれない。いつの日か、ここに女性を連れて入れるぐらいの甲斐性を持ちたいと思う。

このむずむずをバネに

ガラスブロックが綺麗、と携帯電話でラブホテルの撮影を始める彼女。うーん、そういう無邪気さじゃないんだよ、求めているのは。

2人で50件ほどラブホテルをめぐって帰宅したのは午前3時だった。結局ラブホテルには入れなかったが深夜の道すがら何度も「あ!ねえ、あそこにもラブホテルがあるよ!行ってみよう!」っていう言葉を聞けたのはむずむずする良い体験だった。思春期だったらどうにかなっていたと思う。



 

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