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特集


ちしきの金曜日
 
 
明日の天気を今日知るために
明日は晴れるかな

天気予報は空気のような存在だ。

新聞やテレビのニュース番組、主要なポータルサイトには必ず天気予報のコーナーがある。予報は的中するのが当たり前だと思われていて、たまに外れると文句を言われるほど。

でもよく考えると、明日のことが今日わかるというのはかなりすごいことだ。いったいどうして未来のことが予言できるんだろうか。

天気予報の仕組みを教えてもらいに行ってきました。

(text by 三土たつお

大手町にある気象庁。一般の人でも一階の気象科学館などを自由に見学できる。

気象庁におじゃましました

天気のことならまずは気象庁に聞くべきだろう、というわけで東京大手町の気象庁へ。

お忙しい中、天気予報についていろいろなお話を伺うことができました。本当にありがとうございます。


天気予報のしくみ ― まずは気象データを観測する

天気を予報をするためには、まずは現在の温度や降水量などのあらゆる気象データを集める必要があるらしい。

「まずは、実際に天気が世界各地でどうなっているかということを調べないと予報をすることができません。そのために、日本国内も含め、世界の各地から、気象の実際の状況がどうなっているかについてのデータを集めます。」

そのための観測を全国各地にある気象台やアメダス(地域気象観測システム)などで行っている。実際に気象庁の敷地内にある観測装置を見せていただくことができた。


大手町にある観測装置。柵で覆われていて、もちろん中には入れません。

こちらが温度計。

これは雨量計。正しくは「転倒ます型雨量計」というそうです。

気象観測機器たち

左の写真の、銀色の筒みたいなところの中に温度計が入っている。

温度計や湿度計というと、小学校の中庭などに設置してあった白い百葉箱を連想してしまうのだけど、最新式の観測機器はそんな箱の中には入っていないのだった。

「明治時代に気象観測を始めた当初は百葉箱を使っていましたが、現在ではもちろん使われていません。」

なるほど、それはそうですよね。ちなみに、百葉箱の持つ、直射日光を避けるひさしとしての機能は、銀色の筒でセンサー部分を覆い、ファンで筒の中の空気を入れ換えることによって実現されているらしい。

そして左は雨の降った量をはかる雨量計。

筒の中にたまった水の深さを単純に測っているのかと思いきや、さにあらず。雨が0.5mm溜まるごとに、まるでししおどしのように中のますが左右に倒れ、その回数を測るというデジタルな仕組みになっているらしい。


このような観測施設は全国に1300カ所ほどあり、気温や降水量のほか、風向・風速や日照時間などを計っている。

ただし、アメダスで集められるデータはあくまで日本列島内の地表付近だけで、そのほか海上や上空のデータも集めなければ天気を予報することはできない。

そのために、観測装置をつけた気球を揚げて上空の気温などを観測したり、民間の飛行機や船舶にも観測を協力してもらったり、各地の気象レーダー観測所や気象衛星など、あらゆるところから気象データを集めているとのこと。


これは海の上のデータを観測するためのもの。海を漂わせて気圧や気温などを集める。
一般の商船や客船に観測を協力してもらうこともある。上の天気図の中で、海のまんなかに突然書いてある風向や温度のデータがそれ。
これは「気象レーダー観測所」。これ1つで半径数百kmの雨や雪を観測できる。国内を覆うように各地に設置されている。
都内にある気象衛星センター。運輸多目的衛星「ひまわり6号」からの観測データを中継する。
ひまわり6号では、雲や霧などが観測できる。


実は、こうやって集めた日本周辺のデータだけではまだ足りなくて、たとえば明日の東京付近の天気を推測するためであっても、地球全体についての気象データを集める必要があるのだという。

とはいえ全世界についての気象データを日本だけで観測するのは無理というものだし、その事情は他の国にとっても同じだ。そこで、世界気象機関というところに所属する180カ国以上の国は、たがいに自分たちの観測したデータを融通しあっていて、日本も世界中のデータを受け取ることができるようになっている。

 

集まったデータをスーパーコンピュータに送る

こうやって集めたデータは、気象庁の持つ数値解析予報システムに送られる。

そこにあるスーパーコンピュータで、将来の天気などを計算するのだという。ふむふむ。どんなふうなんでしょうか。


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