都電が部屋になってゆく
がらがらと台車にのせてスピーカー2台、パソコンとアンプ、ケーブルなどが運び込まれた。積むなりテキパキ配線していく。
そうして徐々にセッティングも進むうちに運転手さんが乗り込んできた。「よろしくお願いしますー」「あ、お願いしまーす」挨拶も準備をする手を休めてきわめて簡潔に行われ、イベント開始まであと15分。電車は発車した。
「発車した」って、え? まだ準備終わってないのに発車しちゃったよ?
「大丈夫です。到着までに完了しますから」
車両は荒川車庫から大塚駅前へ向かい、そこでイベントの参加者たちを拾うことになっている。毎回、基本的に準備は動く車内で行っているそうだ。
貸切とはいえ、信号で止まったりするためノンストップで走るわけではない。止まるたびにあたりの皆さんはこの貸切車両の中の様子を不思議そうに眺めていた。
「車内に一生懸命パソコンを組み立ててる人がいる」確かに字面だけ見ると何が何やらです。
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