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特集


フェティッシュの火曜日
 
オニオオハシの気持ちになってみる

オオハシが好きだ。キョセンのことではなく、鳥のことだ。体に不釣合いなほどに大きなクチバシを持つ、あのトロピカルなルックスの鳥である。

オオハシへの憧れが高じて、私は「掛川花鳥園」をこのサイトでレポートした。ちょうど去年の今頃のことだ。本物のオオハシと戯れて、仕事も忘れて大コーフン。が、それ以来、あることをいつも疑問に感じていた。

「あいつら(オオハシ)は、あんなにでかい自分のクチバシのことを、いったいどう思っているんだろう?」  日常生活に邪魔ではないのか。ただの酔狂か?何かいいことあるのか?

トリ年はもう終わってしまったが、その疑問を晴らしたい。試しに作って、自分で はめてみることにした。

乙幡 啓子

やっぱり邪魔なんじゃないのか

まず、オオハシとはどんな鳥かを思い出していただこう。花鳥園での、ゆかいな一枚だ。


「僕はさー、けっこう幸せなんだよねあははは」

いや、彼が実際そんな能天気なのかどうかはわからない。家庭内の問題とかもあるかもわからぬ。けれども、この滑稽なまでにバカでかいクチバシで「あははは」と笑っている(ように見える)顔を見ていると、こっちまで幸せな気分になるではないか。それが、私がオオハシを特に好いているゆえんである。

しかし幾葉かの写真をさらに見ていくと、おや?こいつもしかして、と思わせるものがある。


「呼んだ?」「オレじゃねえ?」
「呼んだ?」

なんだか、どの写真も「首をかしげている」ように見え、かわいいことはなはだしい。ちくしょうめ。

いや、それはおいといて、なんだか「物を見るときクチバシが邪魔なので首をかしげている」ように、見えてしまうのだ。こいつらもしかして、自分のクチバシのこと、実は「うぜー」と思っているのではないだろうか。

 

鳥の気持ちを知りたいから・・・

いや、別に知らなくてもいいのだが。

でも、あのゆかいなクチバシを一度作ってみたいとは思っていたのだ。そう思ったらむずむずしてきた。文房具屋へお買い物にレッツゴウ。

ライター小野さんが正月に「ひな人間」を作っていた、あのやり方でまずは造形からでしょうか。


工作用紙を細く切って、上あごのカーブをなんとか作る。
こっちは下あごのカーブ。
骨組みは適当に。設計書とかありません。
写真を見ながら、目見当でちゃっちゃと。
「ガイキング」みたいだ(適当に言ってる)。
半紙を切って、ひたすら貼っていく。昔の浪人の内職みたいな仕事が私は大好きだ。
全部貼れたらとりあえず乾かす。けっこう時間がかかるのだ。

「脳内CAD」フル回転で、脳がフリーズする直前になんとか形ができてきた。上あごは、現代宇宙論における「虚時間でのド・ジッター宇宙の時空モデル」、下あごは「実時間」でのそれ、に似た造形だと思った。

何かを言ったような言わないような、適当な例えである。まあ、難しげなことを言ってみたかっただけだ。面目ない。


 

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