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特集


土曜ワイド工場
 
高架下の風景を鑑賞する
こういう風景。すてき。

人が好むものは美しいものばかりとは限らない。特にぼくはそうだ、と自覚している。

ぼくは小学生の頃、よく鉄道の高架下で遊んでいた。そのせいかどうか分からないが、高架下の風景が好きだ。無機質に立ち並ぶコンクリートの構造柱。使い道もなく打ち捨てられたような空間。どう考えても好ましい風景ではないが、どうしようもなく惹かれる。

毎回のことながらニーズがあるのかどうかも分からないテーマだが、今回はこの高架下の風景を取材・鑑賞していこうと思う。どうか「自分も好き」という人がいますように。

(text by 大山 顕

■高架下風景の日本代表


日本代表、日本橋


まず上の写真を見ていただきたい。家康が征夷大将軍となった年に架けられ、以来江戸・東京の交通と商業の中心として名高い日本橋だ。現在の橋は明治に建造されたルネッサン式と呼ばれる石造りのもの。その優美な姿は東京の代表的な建造物のひとつとして語られ、ファンも多い。休日ともなればライカとか持ったおじさま方がたくさんいる。

完全に首都高の下
しかし一方でこの日本橋の架かる風景は、東京における都市計画のまずさを象徴的に表したものとしてしばしば語られるのだ。この橋は江戸城の外堀である神田川に架かっているのだが、写真でも分かるように、その上を首都高速道路が覆うように走っている。結果として日本橋は首都高の高架の下に暗く沈んでしまい、その全貌を眺めることが難しくなっている。


欄干の上のすてきな獅子や麒麟の青銅像。そして高架。


日本橋だけではない。外堀には歴史的な橋がいくつも架かっているのだが、その多くが首都高の下になっている。そしてなによりお堀自体が日の光を浴びることなく、忘れられたような状態。水の都として栄えた江戸の面影もいまや形無し、というわけだ。

日本橋の真ん中から上を見上げる
というように、一般的には否定的に語られる、この「お堀の上の首都高」。しごくもっともだが、それでもぼくはこの陰鬱な光景に惹かれてしまう。高架下の風景は日本に数あれど、今回はこの「首都高とお堀の間空間」を高架下風景の代表と位置づけ、その是非は置いておいて、これを鑑賞していこう。

■すてきじゃない?


日本橋から高架下を鑑賞。かっこいい。(画像をクリックするとさらに大きな画像を見ることができます)


ということで、この日本橋から鑑賞スタート。上の写真、どうだろうか。湾曲した首都高、暗い水面、無骨な柱。すてきだ。一日中でも眺めていたい。さすが征夷大将軍、よっ、大統領!といったところだ。

ぜひ大きな写真でもごらんいただきたいと思って用意したが、必要ないですかね。すでに読者のみなさん置いてけぼりですかね。もし、この写真見て「どこがすてきなんだかさっぱり分からん」とお感じになられた方におかれましては、大変申し訳ないのですが本日のデイリーポータルはコネタを中心にお楽しみください。すいません。この後ずっとこんな感じの写真しか出てきませんので。

■鑑賞ルート



外堀の上を首都高が走っているのは、ここ日本橋より南東にちょっと行ったあたりを起点に、北西へ6キロほど行った江戸川橋まで。このルートをなめるようにして高架とお堀の織り成す素敵空間を鑑賞していく。日本橋は5つの街道の出発地点として定められたが、今日からこの「高架下街道」が6つ目の街道だ。たった6キロで終わっちゃうけど。

庶民的な橋
日本橋から100メートルあまり西に行ったところで小さな橋を発見。つぎはここから高架下空間を鑑賞だ。江戸時代からある、というような橋ではなくな生活密着型の庶民的な橋だ。日本橋のような由緒正しい橋もよいが、こういうなんてことないただの橋もすてきだ。それが高架下鑑賞の場として機能するとなれば、その素敵さも倍増。


たった100メートルちょっと移動しただけだが、だいぶ表情が変わる


高速道路が「建築」でなく「土木」なんだということが良く分かるのは、こういう裏側の無骨さだと思う。高架であれば人の目に触れるのはその裏側なのに、この配慮のなさ。カブトムシの裏側みたいだ。まったくもってすてきだと思う。いや、皮肉じゃなくてほんとに。こういうの大好き。

さあ、どんどん西に進もう。ニーズはなくとも。ぼくは独りでも行く。

 

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