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特集


フェティッシュの火曜日
 

あの旭山動物園に行った

3年前に見た貼り紙

3年前、ある北海道取材の帰りに旭山動物園に行った。

ひとりだったので園内の説明パネルを黙々と読んでいたのだが、そのパネルが手書きで面白かった。当時から話題の動物園だったが、去年は入場者数が東京の上野動物園を抜いたことが話題になった。

上野を抜いた、という話題がひとり歩きしている感のある旭山動物園だけど、あの手書きの雰囲気は健在なのだろうか。(林 雄司

トナカイ舎のまえの説明

動物が死んでしまったことを伝える貼り紙。

飼育員(右)の説明に聞き入るひとたち

奥にいるヒナ。子供のほうが大きいのだ。

この人だかりは「ペンギンの散歩」

結論から言うと

手書きのパネルは健在だった。トナカイの足音やツルの足の構造。目の前にいる動物の見どころが書いてある。

書店やCDショップのPOPのようだ。書いた人の思い入れが伝わってくる。そんなあたりから旭山動物園の山崎さんに聞いてみた。

「もともとお金がない動物園なので。飾らない自分たちの言葉で書いているんですよ。」

 

死んだことも伝える

−−−喪中って書いてあるのもありましたが

「いま動物園に800種いるんですが、そのなかには寿命の短いのもいるのでやはり死んでしまう。最近ドブラというロバの仲間が死んだんですが、35年も生きていたので旭山動物園としては宝ですよ。 『ありがとう』という言葉も伝えたいんです。」

「ドブラ」は、ドンキーとゼブラを掛け合わせた動物だそうだ。見たかった…。

旭山動物園では、飼育員がお客さんの前でしゃべって説明する「ワンポイントガイド」も行っている。

「ペンギンがいるだけだと素通りしちゃうけど、『茶色いのはボスじゃなくてヒナなんです』と説明すればふーんて思うじゃないですか。」

たしかにペンギンのヒナはでかい。そんな試みをはじめたのは1986年ごろだそうだ。

「説明しているとお客さんにいろいろ聞かれるので、それを書いてパネルにはった。そうすると、今度は泳ぐところを見せたい、とか、理想の動物園ってなんだろうって集まって考え出したんです。」

入場者数の少ない「日の当たらない時代(山崎さん談)」に構想を固めていたことがいまに結びついている、と山崎さんは語った。

旭山動物園はユニークな展示方法は、あのパネルの延長線上にあったのだ。

と、気づいたら動物園の取材なのに動物の写真がほとんどないという地味なページになっていた。次のページからは行動展示を見ながらそのひみつを探りますよ。

 

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