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特集


土曜ワイド工場
 
理想の地下歩道を求めて
こういうやつ

多くの人に「子供の頃は苦手だったがいまは大好き」というものがあるのではないかと思う。ぼくの場合、おでんの大根がそれだ。こどものころはなんだか苦くておいしくない、と思っていたがいまでは好きだ。こういう変化を世間では「大人になった」と言う。ぼくもりっぱな大人というわけだ。

大根のほかにもうひとつ大人になってその良さが分かるようになったものがある。「地下歩道」だ。近所に線路を横断するための地下歩道があるのだが、子供の頃はこれが苦手だった。薄暗くてじめじめしてて、なんだか怖かった。しかし、いまでは大好きだ。大人になったものだ。実に立派な大人だ。

今回は、大人になってその苦味を堪能できるようになったぼくが、理想の地下歩道を見つける旅に出ます。

(text by 大山 顕

■近所の地下道

子供の頃苦手だと思っていた近所の地下歩道がこれだ。


夜になるとほとんど人が通らない。


コンクリートむき出しのそっけない壁、消して明るくはない照明、なぜか頭の高さまでだけ塗ってあるペンキ、襲われたら逃げ場がない感じの閉塞感。どれをとっても素敵だ。なんで子供の頃苦手だったのか理解に苦しむ。


たまに向こうから人が来たりするとびっくりする。カメラ構えたぼくを見て向こうはもっとびっくりしてると思うけど。


通路の真ん中から撮ってみる。図像としても魅力的だ。ロールプレイングゲームに出てくるダンジョンってこんな感じなんじゃないかと思う。


外観も無駄のない造形。すすけたテクスチャ。安藤忠雄も脱帽。


外観はこんな感じ。これまた素敵な質感・造形だ。背後に見えるのは線路。両脇から入って階段を下り、線路の下をくぐって向こう側へ出る。そういう地下歩道だ。


左の上に見えるのは頭上注意の看板。注意すべきことはもっとたくさんある気がする。痴漢とか。


入り口の階段もまた素敵。この狭さ。押し寄せる不安感。反響する自分の靴音。上を電車が通過するときなどは大声を出しても外には聞こえない。身が引き締まる。

まあ、一般的には(特に小さい子供をお持ちの親御さんや女性には)好まれないこと請け合いの地下歩道だが、ぼくはその魅力に目覚めてしまった。危険だしバリアフルだし、明らかになくなったほうがいい部類の構造物なのは間違いないが、いまはその是非はおいてその造形を愛でていこうと思う。

■こういう地下歩道はあんまり好みじゃない

今回地下歩道めぐりをしてみて、自分の地下歩道に対する好みの質が明確になった。ぼくの人生は明確にしなくていいことばかりを明確にしていくことの連続だと思う。なんだよ「地下歩道に対する好みの質」て。


決して居心地の良い空間とはいえないが、それでも前述の地下歩道に比べると「ダンジョン度」が低い。


たとえば、上の地下歩道はあまり好みじゃない。壁にタイルが張ってあったり、ペンキがちゃんと塗ってあったりして、荒々しさにかける。いうなれば「ダンジョン度」が低い、といったところだろうか。


ロールプレイングゲームには出てこない感じの地下への入り口。興ざめである。


入り口階段部もちゃんとしちゃってる。階段の勾配も小さく、手すりもついている。こんなのはダンジョンじゃない。この先にモンスターはいない。モンスターがいないところにアイテムとか宝とかは無いものだ。よく知らんが。



前述と同様、通路の真ん中から撮ってみたが、やはりいまひとつ。出口の階段が斜めに走っている点はユニークだが、やはり階段は通路に対して直角に構成していただき、突き当たりでもって閉塞感を演出していただきたい。


 

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