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特集


ひらめきの月曜日
 
静岡「おでん街」へ行く
ここが夜になるとどうなるのか

以前「浜松は餃子の街だった」という特集で静岡を訪れた際、偶然、気になる場所を通った。

その名も「おでん街」。

まだ陽が高かったので店の周りは閑散としていたが、あのズラリと並ぶ赤ちょうちんに灯が点るところを見てみたい。そして、ほんの一瞬でも、おでんの街の住人になりたい。

そんな気持ちで静岡を再訪したのですが、静岡とおでんの間には、私が考えていた以上に密接な関係があったのでした。

高瀬 克子


10月に訪れた時のおでん街の内部。化粧前の顔を見てしまったかのような気まずさ
今回は新幹線であっというまに到着。ホームには缶詰のポスターが

おでんの噂

「おでん」という言葉から何を連想するかは人それぞれだろうが、私にとっては「屋台」という言葉がしっくりくる。

そんな、屋台のような小さな店が軒を連ねた「おでん街」への再訪が決まり、ウキウキしないわけがない。

久々に会った友人に「今度、静岡におでんを食べに行くんだー」と自慢気に語ったところ、こんなことを言われた。

「静岡って駄菓子屋でおでんが食べられるんだってね」。

…駄菓子屋でおでん? 初耳だ。駄菓子屋でもんじゃ焼き、というのは聞いたことがあるが、おでんか。駄菓子を買いに来た子どもがおでんを食べるのか。

頭の中に、おでんの刺さった串を持つチビ太の姿が浮かんだ。これは是非、おでん街の前に行って確認せねば。チビ太を。じゃなくておでんを。

静岡駅前は3カ月前と同様、工事中でした
いきなり迷う

今回も、餃子の旅の時と同様、取材に同行してくれたのはIさんだ。

「おでん街の前に駄菓子屋へ行きたい」と申し出ると、Iさんも「駄菓子屋? おでん?」と驚いた様子。無理もない。

駄菓子屋のある場所を地図で確かめながら商店街を進むのだが、なかなか目的地に辿り着かない。さては迷ったか。でも知らない土地を歩くのは、どんな状況にいても楽しいものだ。


さすが茶どころ
さすが鰻どころ(にちまんれん、と読むそうです)
謎のオブジェもあちこちに
恍惚とした表情

駄菓子屋だけに、込み入った路地にあるのかと思ったが、目指す駄菓子屋は大きなバス通りに面したところにあるらしい。

「この辺なんだけどなぁ」と歩いていると、いきなり大きな看板がどどーんと現れた。「菓子・おでん・ジュース」と書かれている。

間違いない。ここだ。


アーケードにかかる昔ながらの看板
暖簾からしてコレだもの

外に面したガラス越しに、お菓子が売られているのが見えた。おでんと書かれた暖簾がなければ、いたって普通の駄菓子屋に思える。

お店に着いたことを喜びながらも、「ここは、ただの観光客がフラリと入ってもいい店なのか。地元のお客さんの雰囲気を壊さないか」と、不安な気持ちもある。でもまぁ、入らなければ来た意味がない。

思い切ってドアを開けたところ、目の前に、鍋があった。


まさしく、おでん。

 

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