世の中「よせばいいのに」と言いたくなることがたくさんある。さしずめぼくの人生なんかは「よせばいいのに」の集合体みたいなものだが、そんなぼくでもそう言いたくなるのが「屋外における赤ペンキ使い」だ。
みなさんも見たことがあるだろう、赤いペンキで書いた文字だけが消えちゃってる看板などを。強調したいばかりに使った赤が裏目に。
今回は街で見かけたそんな「よせばいいのに」という「消えかかった赤」を紹介する。よせばいいのに。
(text by 大山 顕)
ほんとによせばいいのに
一般的に色素は波長の短い光に弱い。つまり紫外線とか。塗られた色が赤く見えると言うことはおおざっぱに言って赤い光(波長が長い)を反射していて、それ以外の波長の光を吸収していると言うことだ。つまり赤い色素は波長の短い光を吸収する傾向にあって、したがって色あせやすい。
そのメカニズムなど知らなくても、ぼくらは赤い文字が消えちゃってる現場を良く目にしていて、経験的に「屋外では赤いペンキは使っちゃダメだな」と知っているはずだ。相互理解にはほど遠い世界情勢にあって、この事実は数少ない人類の共通了解事項だと思うのだが。
なのに21世紀にもなってまだ赤使いはなくならない。こうやってこの文章を読んでいる間にも、世界では駐車禁止を呼びかける看板が赤い文字でもって生み出されているのだろう。嘆かわしい。