暑い暑い夏が来る。
現在そんな夏を控えて私の住む東京は梅雨真っ只中。外に出られないので、家でできるアクティビティを実行した。編み物である。夏にぴったりの、マフラーを作ったのだ。
マフラーといえばいわずもがな防寒具であるが、今回私が作ったのはかつてなく夏仕様なのである! ばーん!
(text by 古賀及子)
どこが夏?
と、まずは今回こしらえた夏のマフラーをごらんいただいた。
鮮やかなブルーのウール100%の毛糸で作ったマフラー。「まあ、色的に夏っぽいけど、まさかそれだけ?!」と思った方もいらっしゃるかと思いますが、ちょっと辛抱してもう少しおつきあいください。
キモは、毛糸を手染めしたところにあります。
ざざっと、その作業を見て参りましょう。
というわけで、ラムネの匂いにかこまれながら毛糸を染め上げた。
染まりあがった毛糸はベタベタするかと心配だったけど、すすぐ前からそれほどべたつきはなかった。
……と、このマフラーの夏にぴったりたるゆえん、バレましたでしょうか。そう、この毛糸、かき氷のブルーハワイのシロップで染めたのです。
以前、ジュースやかき氷シロップなどで着色料のギッチリはいったもので布や毛糸が染められると、子供向けの実験本でみたことがあったのでやってみた。
正直、ここまで鮮やかに? と驚くほど色鮮やかに染め上がった。そりゃかき氷食べた後に舌も真っ青になるわけだ。
梅雨に編み物
そうして、夏にぴったりのマフラーづくり、このブルーハワイ毛糸を使ってあとは黙々と編みの作業である。
「ナンデナツニムケテオマエハまふらーヲアンデイルンダイ?」
蒸し暑く、完全に半そでのこのごろ。手が編み棒を操りながらも、頭は混乱だった。
何度も「なぜ、今私は編み物を?!」 という疑問にさいなまれ、でも手の中にある毛糸は、かき氷の色なのである。ああ、夏にぴったり。
静かな混乱と戦いながら編み続けた。
本気の夏になってしまってから編み続けるのは絶対につらい、今のうちに編み上げねば。その一身で約2晩(不器用人月計算)かけて編み上げたわけである。
6月下旬現在ですでに、マフラーは暑苦しい。夏にぴったりのマフラーには違いなく手染めの軽い色むらも妙にいい風合いだが実用面においては課題が残った。
そして撮影のあと、マフラーはひっそりタンスの「冬物衣料コーナー」にしまわれたのだった。
やや冬に似合わない色ではあるが、寒くなったら巻こうと思う。そうして、寒いシーズンにかき氷のことを連想してヒヤッと体を奮わせるのだろう。