同じような貼り紙が店内に何枚もあった。ドイツ語が全くダメなので、これを何と発音すればいいのかさえ分からない。もちろん意味もだ。
しかしブドウらしき絵が描いてあり、1/4Lと表記されているからにはワインっぽい飲み物なのだろう。店のオススメ商品なんだろうか。どっちにしろ、わざわざ貼ってあるからには飲んでみたいじゃないか。
そう思って給仕のおじさんに「アレ」と指差したところ「シュトゥーム?」と問い返された。よく聞き取れないが、うん、まぁそれです。それを下さい。
そして、出てきたのがナゾの飲み物だった。何だこれは。ジュースか?
「これは何ですか?」と聞いてみたくとも、こちとらドイツ語がまるきり聞き取れない。正式なメニューにも載ってないし、辞書などハナから持参していない。なんだろ、これ。
大ぶりのワイングラスになみなみと注がれたナゾの飲み物を、恐る恐る口に運ぶ。ほんの少しだけ発泡していて微かに甘い。これは…ワイン…なのか? それともマスカットのジュースかなんかだろうか。味は、薄めたリンゴジュースに限りなく近い。
試しに同行者(まったくの下戸)に飲ませてみたところ「あ、これお酒だよ。お酒の味がする」と言う。
え? ってことは、やっぱりワイン?
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