東京23区北部の街、足立区。北千住などの代表的なエリアでは、デパートや賑やかな繁華街があったりして、かなり都会的な雰囲気だ。
それでいて、区内を移動しているとわかるが、懐かしいような、そこだけ時が止まったような様子も多々見られる。
子供の頃へ、もしくはさらに過去へとさかのぼったような気持ちにさせられる味わいがある。さらには23区内には珍しい無人駅もあるらしい。
それは気になる。そういうわけで、足立区を巡ってタイムスリップ気分を味わってきました。
(小野法師丸)
新路線の開通もあるなどして、北千住などの駅周辺ではかなりのにぎわいを見せる足立区。買い物などをするにも、なくて困るものはほとんどないのではないか。
しかし、区内をうろうろしていると、そこだけスポッと時間の流れが止まったように見えるところも多々見られる。
今で言えばホームセンターであろうか。日曜大工センターという言い方も気になるし、「日曜」と「大工」の間で改行しているところも気になる。
そしてこのタイムスリップ感は、規模によるところもあるだろう。今のホームセンターと比べて、あまりにも小さい。
看板の古び具合もいい味だ。さらなる深い味わいの看板もいくつか見つけた。
こうしたスポットが点在する。ただ通り過ぎるだけのはずだった通りで、なんとなく足が止まる。それでいてただ寂れているというわけではなく、店自体には活気がある。
古び具合という部分とはまた少しずれた意味で気になる物件もあった。
天ぷら専門店、と言えばいいのだろうか。それにしてもシンプル。
ちんまりとした小屋っぽさ。軒に「天ぷら」と書かれているのは、店の名前として解釈していいのだろうか。意匠がないところが逆に意匠になっている、などというのは考えすぎにも思える。
続いて訪れたのはコインランドリー。最近よく見かける明るいコインランドリーとは違う風情を醸し出している。
言われなくてはそうだとは気付けなさそうなコインランドリー。自販機が並んで見えるが、建物の奥のほうには確かにコインランドリーとして必要な機械はある。
そうなのだが、そこにたどり着くまでにタイムスリップ感があるのだ。
写真の右部分に乾燥機があるのがわかるだろうが、それまでの壁にずらっと並んだ機械たちが気になる。筆者が子供の頃にはよくあった、コインマシンだ。
コインを入れるとランダムに景品が出てくる機械、確かによくあった。
機会自ら「宝ものだヨ」とアピールしている景品たちの様子は、右の写真のようなものたち。今になって見ると微妙な感じがするものばかりだが、あの頃は確かにときめいていた。
スケート靴のキーホルダーとか、今は完全にいらない。でも子供の頃はほしいと思っていた気もする。
今ならほしいのもがあれば確実に車種を選んで買えばいいだろうと思うミニカーも、こんな風に見せつけられてはランダムに買ってしまっていた。
落ち着いて考えればあの頃もちゃんと選んで買える場所はあった気もする。しかしよみがえるのは、そんなことに気付けずランダムに買ってしまっては不本意なのが出てきて気落ちしていた記憶。しっかりしろ、子供の自分。
右の写真のラインナップはピストル・ラジオ・腕時計。個別のものに脈絡はないが、「なんだか男の子がほしがるもの」という意味では、しっかりとくくられていると思う。
残念ながら現状はどれも中止や売り切れの表示があって、実際にコインを入れて楽しむことはできない。ただ、そうでなかったら、きっと無駄なお金を使ってしまっていただろうなとも思う。
さらに、足立区には無人駅があるらしい。東武鉄道の東部大師線、大師前駅だ。
無人駅と聞いて行ったのだが、外観は意外だった。普通に近代的な駅ではないか。ケンタッキーも見える。
おかしい。ほんとにそうなのだろうか。
西新井大師のすぐ目の前にあるこの駅。路線からひょっこりひとつだけ伸びている駅であり、さらにはきっぷを発売していない。
もしこの駅から乗車するばあい、まずはきっぷなしで乗って次の駅で買うことになるらしいのだ。不思議なシステム。
タイムスリップ感を感じさせるのは改札。当然駅員は誰もいないのだが、中に立った駅員がきっぷをきるようになっているのは、都内では久しぶりに見た気がする。
無人駅とは言え、全くさびれた様子はなく、週末の昼間にしては利用客もそこそこいた。駅ビルには本屋なども入っていて、無人駅という言葉のイメージとはかなりかけ離れている。
クリニックもあった。意外性あふれる無人駅だ。
●手軽に懐かしくなれる街
訪れたときは閉まっていた大工センターや天ぷらだが、今でも営業しているのだろうか。まだまだ未確認な部分も残る足立区のタイムスリップスポット。
他にもなんとなくうろうろしているだけでこうした風景はたくさん見つけられる。もし訪れることがあったら、なんとなく過ぎる街並みを注意して見ると楽しめると思います。