寝たらダメだ
南甲府では残念な富士山であったが、次の沼久保までに天気が回復する事を祈り、しばらく車窓からの景色を堪能する。沼久保まではまだしばらくある。
日詰さんも身延線に乗るのは大学時代以来らしく、新鮮な気持ちで景色を眺めている。本当に風光明媚で、のんびりとしていて、風光明媚で、のんびりとしていて……
まずい。もの凄く眠い。 日詰さんが時刻表を使って色々と説明してくれているが、その声がどんどん遠くなっていく。寝たらダメだ。寝たらダメだ。
と自分に言い聞かせながら、落ちていた。 寝不足な上にポカポカ陽気と電車の揺れ。強烈な睡魔には勝てなかった。
結局、次の富士山スポット、沼久保が近づいて日詰さんに起こされるまで、小一時間は眠ってしまった。何だか幸せな夢を見ていたが、内容は思い出せない。
そして沼久保である。天気は回復していなかったが、南甲府よりも富士山に近づいた分、さっきよりも良く見える。カメラを富士山に向けて連写するが、僕以外にそんな事をしている乗客はいない。なんで撮らないんだろう。富士山なのに。
曇っていて完全ではなかったが、かなり近い距離で車窓からの富士山を見る事が出来た。寝たので頭もスッキリとしている。
西富士宮で途中下車、お昼を食べよう
13時45分、電車は西富士宮駅に到着した。予定通り、途中下車して富士宮名物の焼きそばを食べる事にした。
西富士宮駅から富士宮駅方面に向って10分ほど歩くと、途中の浅間大社周辺に観光客で賑わっている場所があった。焼きそば以外にもおいしそうな物が沢山売っている。屋外のベンチで食べられるようになっていて、みんな楽しそうに食事をしている。まさにジャンクフードの楽園である。
僕たちも焼きそばを注文したが、出来上がるまでに20分かかるという。待っている間、お腹が空いて仕方なかったので、餃子、小龍包、豚肉を買った。
「焼きそばを待ってる間に他のものを売ろうって作戦かな」
と日詰さんが勘ぐっていたが、全部おいしかったので僕的にはプライスレスである。
しかし天気はどんどん崩れていく
僕は餃子が一番おいしかったが、日詰さんは豚肉で奥さんは小龍包だったという。誰も焼きそばと言わなかったのは、焼きそばに至るまでにお腹がふくれていたからだと思う。
食事には満足であったが、問題は天気である。外で焼きそばを食べてる間、ポツンポツンと顔に雨が当たるのを感じた。普段は浅間大社の後ろにどーんとそびえているはずの富士山が全く見えない。