遅刻は命取りだ
遅刻はぜったいに許されない。参加者らは許してくれても私が私を許さない。なにしろ『オーダーは最初の一回のみ』これを逃したらもう二度と頼めないのだ。私のアワビが。
なので神田ぱんさんに家まで迎えに来てもらい、無事この危機を乗り越えることができた。ありがとう、神田ぱんさん。でも多分、私にブーブー文句を言われるのがいやなだけだろう。
タラバガニバーに歓迎をうける
店先は思ったよりもせまい印象だった。1階のカウンターにはドドーンドドーンとデカ級タラバガニが列をなしている。デザイナー家具としてアート界で話題になりそうなタラバガニバーだ。超クール。
超クールではない私たちは2階へ通された。すでに3人の同志が待ちかまえていた。よくある居酒屋のお座敷だが、今からこの平凡なシーンに、めったにない光景が展開されるはずだ。
商売っけなしのウエイトレスこと
おばちゃん。
ウワサには聞いていた。アレもコレもと注文すると「そろそろこのへんでやめといたほうがいいわよ」と、初心者にもうれしい接客だという。食えそう(な人)食えなさそう(な人)も、長年の直感で瞬時に見極めるのだろう。私たちはほかのテーブル席よりも大目に注文したようだ。「まあこの辺でちょうどいいんじゃない?」と実にてきぱきとしている。安心して任せられた。 |