■柱が作るぽっかりスペース
ぽっかりスペース生成の秘密を見ると、そこには柱の存在が大きく関与している。
上のぽっかりスペースは個人的にかなり気に入っているぽっかりなのだが、もともとぽっかりとしたこの空間がよりぽっかりスペース感を醸し出すのは、柱によっていると思う。べつにそこへ行こうと思えば行けるが、柱があるだけでなんとなく行きづらい空間になる。柱マジックだ。こういう柱を「ぽっかり柱」と呼んで讃えたい。
柱の上に梁があることから構造上やむをえなかったのだろうと思う。柱の部分で壁を立てずに、ぽっかり空間をあえて作ったことに感謝しつつ敬意を表するものである。
■侮りがたし、ぽっかり柱の威力
上までのぽっかり作品は、もともと壁際にあった準ぽっかりスペースがぽっかり柱の力によってより高度なぽっかりスペースへと高められた例だが、ぽっかり柱の力はこれだけではない。ほんらいぽっかりスペースではなくちゃんとした通路だった空間が、ぽっかり柱によってぽっかりスペースに仕立て上げられた例も多く 見られる。ていうか、この文章「ぽっかり」言い過ぎ。
構造上しょうがなかったんだと思う。古い地下鉄ほど空間の大きさに対して柱が多いので、ぽっかり空間ができやすい気がした。モダニズム以降、建築技術の発達に後押しされ、柱が少ない大空間をつくることが多くなったが、ぽっかりファンとしては余計なことをするな、と言いたい。