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ちしきの金曜日
 
意図的に股割れ大根を育てる
 


 食品メーカーのサイトを眺めていると、自社製品を使ったレシピのコーナーがあるのを見かけることがある。

 王道の定番メニューに加え、ちょっとしたアレンジや工夫が凝らされているものもあって参考になったりする。献立を考えるのに活用している人も多いと思う。

 そんなメニューの中に、ときどきトリッキーなものが混ざっていることがある。それってどうなの?と思わされる。

 意外性ゆえに味が心配にもなるのだが、製品の生みの親であるメーカーの提案なのだからやっぱり大丈夫かも。そんな疑問を確かめるためにいくつか作ってみました。

 

小野法師丸



●お鍋で有名なあのマロニーを使って

  まず試してみたのはマロニーを使ったレシピだ。マロニー、食べたことのない方に説明するのは難しいが、極太のはるさめのようなものとでも言えばよいだろうか。


一般的なマロニー観とは異なる材料たち

 おそらくマロニーと言えばお鍋に入れるのが定番だろう。上の写真が今回作ろうとしているものの材料たちなのたが、マロニー以外はお鍋と縁のないものばかりだと思う。

 ちゃんとメーカーのページに書いてあるものをそろえたのだ。さて、レシピ通りに作ってできたものはこんな感じ。


 

 「マロニーヨーグルト」(マロニー株式会社)なるメニューである。マロニーを果物やヨーグルトベースのソースと和えて食べるデザートだ。

 これまでマロニーには鍋物のイメージしかなかったので個人的には結構な違和感を覚える。フルーツと一緒に食べたり、甘い味付けをしたりという展開は自分の中になかった。

 さて、おいしいのだろうか……。


これはいけるぞ!

 うん、これはおいしいぞ!

 ヨーグルトにコンデンスミルクとレモン汁を加えて作ったソースの味がそもそもおいしい。そしてまた、もともと味はあまりないマロニーがその味に染まっておいしい。ツルツルとした食感も意外なデザート感覚にあふれている。

 さすがにメーカー提案。意外性はあってもそれだけにとどまらず、味もおすすめできるものだった。

 

●なんとなく地味なあいつが変身

 続いてのメイン食材はかまぼこ。個人的にはなんとなく朝食の一品として食べるものというイメージが強い。まあ、パンチや華には欠けるが着実にうまいという感じだろうか。


他の材料たちも地味目

 そんなかまぼこを使ったアレンジメニューなのだが、かまぼこ以外の材料もしょうゆや砂糖といった基本的な調味料がメイン。手前にある黒いものはゴマだ。

 これらを使い、調べたレシピを見て調理したものがこれだ。


 

 先ほど「地味なあいつが変身」と書いてしまったが、もしかしたらあんまり変身してないかもしれない。参考にしたレシピは「かまぼこ大学」(全国かまぼこ連合会)である。

 大学イモを元にしたレシピなのだろう。うーん、見た目的にはあまり大学イモっぽくならなかったか…。


調理中は結構いい感じに思えたのだが

 味の方は……うん、かまぼこに甘じょっぱいタレとゴマが絡んだ味だ。

 そのまんまである。もちろんそれがおいしくないわけではない。そういう味付けを施した、かまぼこのちょっとした一皿、という感じだ。ネーミングの楽しさも味のうちという一品だ。

 

●うまく紛れ込もうとするナス

 続いての食材はナス。炒めても揚げても焼いてもおいしく、個人的には好物のひとつでもある。ただ、見つけたレシピの通りに材料を並べてみると、どうもおかしな感じになる。


そこはお前のいる場所じゃないだろう

 フルーツ缶とゼラチン、そしてナス。おかしいだろう、話が違うだろう。ナスとしても戸惑っていると思う。ここは俺の居場所じゃないと憤っているかもしれない。

 レシピを確かめてもこれで材料に間違いはない。できあがったのはこれだ。


 

 「なすdeココゼリー」(JAみなみ筑後瀬高なす部会)である。リンク先では博多なすを用いているが、今回は入手できず高知産のナスを使った。

 一見、ナスがどこに使われているかわからないようにも見える。特徴的な色をもった皮を剥いてあることもあり、ゼリーの中でフルーツに紛れてナスがナスであることがわかりにくくなっている。

 しかしじっくりよく見てほしい。確かにそこにはナスがある。


確かにきみはナスじゃないか

 目を凝らしてみるとナスがある。逃げも隠れもしてないのに、存在感のないナス。

 その印象は、最初に食べたときも同じだった。良くも悪くも、ナスであることに大きな意味を感じられなかった。違和感も意義も見いだせなかった。

 ただ、食べているうちになんとなくナスの風味が感じられてもきて、そしてそれが不思議と他の食材ともマッチした。不思議感は残るものの、トータルではおいしい。

●さすがにどれもアリの味わい

  ネットで見かけた気になるレシピ。その食材を知り尽くしているメーカーが提案するものだけあって、どれも意外性がありつつもしっかりとおいしいものだった。

 メーカー側としては販売・消費の促進という意味もあるのだろう。今後もさまざまな角度から自社製品の魅力を引き出していって欲しいと思う。


 
 
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