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ひらめきの月曜日
 
「ほっかほっか亭」V.S.「ほっともっと」などほか弁食べ比べ
たもとを分かった『ほっかほっか亭』ののり弁当(写真左)と『ほっともっと』ののり弁当(写真右)


熱い。アツいのである。ご存知のかたもたくさんいらっしゃるかと思うが、あのほか弁チェーン『ほっかほっか亭』が内部分裂し、『ほっかほっか亭』と『ほっともっと』に二分したのである。

参考ニュース(MSN産経)

様々なニュースを読むと、ほっかほっか亭チェーンの本部と、最大の店舗数を抱えるフランチャイズのプレナス(現在『ほっともっと』を運営する会社)は、以前から幾度かモメていたらしく、調整がつかずについに分裂することになったという。

一連のニュースを見ているといろいろと大変なようだが、僕としてはお弁当が食べたくなってきたことは確か。この機会に一度ほか弁というものを見直そうではないか。のり弁当でも食べ比べて。

(text by 梅田カズヒコ



僕の思う4強の弁当にご登場いただきました

・ほっともっと
・ほっかほっか亭 (ハークスレイ)
・かまどや 
・オリジン弁当 

 

1.ほっともっと

『ほっともっと』プロフィール

キャッチフレーズ:幸福は、ごはんが炊かれる場所にある
経営母体:プレナス
店舗数:2087店(業界2位)
主な運営地区:首都圏、九州、他
私見1:実は定食屋の『やよい軒』もプレナスがやっている
私見2:ほか弁戦争の仕掛け人


お店には変わったことをアピールするポスターが

 

356g−容器10gで346g。
ストイックなほど何の変哲もない容器。容器にはあまりこだわりがないと言わんばかりだ。

ほっともっとは最もちくわが大きい

鍋中のほっともっとである。ほっかほっか亭から分裂したが、店舗数ではほっかほっか亭を上回る。消費者的には、突如登場した業界2位だ。

ほっともっとの店舗の分布はだいたい首都圏や九州に多いようだが、九州はほっともっとの独壇場であるのに対し、首都圏はほっともっととほっかほっか亭が混在する、まさに熱いほか弁戦争の舞台となっている。

そんなほっともっとののり弁当はというと、オーソドックスなフライ、ちくわ、きんぴら、漬物を据えたオーソドックスなスタイル。

これは4つの弁当を食べ終わったあとの感想だが、一番平均的な味がした。けなす点もなければ褒める点もない。ライター泣かせの弁当である。フライの重さも4社中2位。とてもほか弁戦争の主役とは思えない。もっと個性的なのり弁を出してほしかった気もする。

ただ、そんな平均的なほっともっとだが、唯一他社とぬきんでていたのはちくわの重さ31g。文句なく1位。ちくわのてんぷらっておいしいですよね。それをたくさん食べたい人はほっともっとで決まり! ということで。

ほっともっとデータ 

商品名:のり弁当
お弁当のサイズ:縦18.5cm×横12.0cm
重さ346g
値段290円

具:魚のフライ/ちくわ/きんぴら/たくあん
のり下:かつおぶし/コンブの佃煮
付属調味料:お弁当ソース

白身フライ(ほき)59g/ちくわ31g/たくあん10g/きんぴら9g

その他:パッケージがやや無骨かも。

 

2.ほっかほっか亭

『ほっかほっか亭』プロフィール

キャッチフレーズ:食べることは生きる喜び。その感動を世界の人々へ。
経営母体:ハークスレイ
店舗数:1422店(業界3位)
主な運営地区:関西、四国地方他
私見1:一番知名度の高い業界第3位。
私見2:ほか弁の草分け


オールドスクールな店内

 

ほっともっととの違いは容器が楕円形なことと、漬物、きんぴらがしきられているところ。このため袋の中で容器がかたむくことも。
ほっともっとの容器と対照的にこちらはピンクの入れ物やカラフルなお箸が着いている。女性票を狙っているのだろうか。

ピンク色の容器が1人暮らしの部屋を少しだけ明るくする

久しぶりにのり弁を食べたのだが、いつからのり弁=白身フライ+ちくわ+漬物やきんぴら的なものになったのだろう。

気になって調べたら1960年頃、ほっかほっか亭が始めたものらしい。現代ののり弁の定義はほっかほっか亭が作ったのだ。さすがほか弁界の草分けだ。のり弁も写真のように華麗にのりがはみ出している。王者の余裕なのか。

しかし、そんな王者も気がつけば、店舗数では業界3位に転落。半分以上の店舗がほっともっとに移行し、かまどやに首位を受け渡し、一気に3位となった。明日は何が起こるか分からない。そんなことをほっかほっか亭は教えてくれている。

さて、味もさることながら、注目はその容器である。ほっともっとと比べると好対照である。薄いピンク色で温かみのある色相だ。

フライもきっちり平行四辺形になっている。全体的にお上品なお弁当だ。

ほっかほっか亭データ 

商品名:のり弁当
お弁当のサイズ:縦19.2cm×横12.7cm
重さ343g
値段290円

具:白身フライ(スケソウダラ)/ちくわ/きんぴら/たくあん
のり下:かつおぶし
付属調味料:ウスターソース

白身フライ51g/ちくわ27g/きんぴら10g/たくあん6g

その他:容器が女性的な色合いだ。

 

3.かまどや

『かまどや』プロフィール

経営母体:本家かまどや
店舗数:2300店(業界1位)
主な運営地区:西日本で強い
私見1:業界2位で安泰の無風地帯からいきなり1位へ


わりばしより。ひそかに全国チェーンであることをアピール

 

重さ346g−容器13g=内容物333g
一番あっさりしていておいしかった魚の白身フライ。確かに内部抗争とかしなさそうな大人の味ですな(てきとうな物言いですみません)

漁夫の利!?の1位はどう出るか?

これまでほっかほっか亭に水をあけられ、かといって3位とは大きく差をつけ、安泰な2位に居たかまどや。しかし、1位のほっかほっか亭の内部分裂でいきなり1位に浮上。いきなり業界最大手になり注目度が増したかまどや。実社会にもこういうことってありますよね。実はこの日が来るのを虎視眈々と狙っていたのではないか。負けん気の強さは割りばしにさりげなく書いている『全国チェーン』という言葉に出ている。

そんなかまどやののり弁はきれいな四角形スタイル。容器の色はシックな黒。ごはんとおかずを分けて配置した。

味はと言えば、一番素朴。かつおぶし+醤油で味をごまかすこともなく、素材の味を楽しめる弁当だ。のり弁だけで言えば、僕はかまどやの弁当が一番好きかもしれない。このときおなかがすいていたからかもしれないが、弁当っておいしいなーと思った瞬間だった。いきなりの1位から今後とも目が離せない。

本家かまどやデータ 

商品名:のり弁当
お弁当のサイズ:縦19.4cm×横18.0cm
重さ333g 
値段:320円

具:魚のフライ/ちくわ/つけもの/ひじき
のり下:コンブの佃煮/かつおぶし
付属調味料:ソース

白身フライ64g/ちくわ20g/つけもの6g/ひじき5g

その他:容器は黒の長方形

 

4.オリジン弁当


オリジンと言えばお馴染み惣菜コーナー

『オリジン弁当』プロフィール

経営母体:オリジン東秀
店舗数:約600店(業界4位?)
主な運営地区:首都圏、大阪府他
私見1:首都圏ではかまどややほっかほっか亭をしのぐ一大チェーン
私見2:お惣菜が好調。しかし、買いすぎてけっこうお金を使ってしまう。


オリジンはお箸がかわっている。すでに割れているし、丸かったです。

 

もともと惣菜と一緒に買われることを想定しているのか、ひじきなどのような副菜が皆無だ。代わりにタルタルソース
ノリをひっぺがしたとこ。鰹節が一番おいしそうでした

かつおぶしの踊り具合は文句なく1位でした

さて、上位の3社を差して、大手メディアは『戦国時代』、『三つ巴』などと形容していたが、忘れちゃいけないのが我らがオリジン弁当である。首都圏ではお馴染みの弁当屋で、弁当屋でありながら惣菜も売るという新機軸を打ち出した弁当屋である。東京都区内西部の1人暮らし密集地帯での店舗数は圧倒的に多いのではないか。

そんな我が道を行く4位、携帯電話業界で言えばウィルコムのようなオリジンであるが、とにかく味が若い。濃い味が疲れた体にちょうどいい気はする。労働のあとに食べたい食事かもしれない。さらにこれでもかと、タルタルソースとしょうゆが弁当に付く。

白身フライの味はどこかで食べたことがある味だと思ったらマクドナルドのフィッシュバーガーと同じ味がした。チクワは青のりが付いていてうまい。これはすべての弁当に言えることなのだが、300円前後でこのボリュームってすごい安いっすね。おなかいっぱい。げっぷ。

オリジン弁当データ 

商品名:のり弁当
お弁当のサイズ:縦19.4cm×横18.0cm
重さ333g 
値段:320円

具:魚のフライ/ちくわ/つけもの/ひじき
のり下:コンブの佃煮/かつおぶし
付属調味料:ソース

白身フライ64g/ちくわ20g/つけもの6g/ひじき5g

その他:容器は黒の長方形

 

最後に4つののり弁を並列で見てもらいましょう


あなたが一番食べたいと思ったのはどののり弁ですか?

ほか弁からはずれるが、セブンイレブンの海苔弁当も食べてみました。420円で一番豪華でした。

のり弁をめぐる仁義なき戦い

ニュースによると『ほっかほっか亭』は従来通り作りたてほかほか、『ほっともっと』は作り置きを進め待ち時間の解消をあげている。両者の戦いの間で揺れる店舗も大変だろうと思う。

背景には、業界1位といえどもコンビニチェーンやスーパーの惣菜・弁当売り場に押されたり、外食産業に脅かされたりして、決して安泰できるような立場になかったことも関係しているのではないか。

でも、消費者の立場としては、競争が激しくなることでサービスがよくなることを望みたい。たった300円前後の弁当に多くを望むのは酷だけど。 


 
 
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