小さな巨人、到来
「なにか捕れましたか」
僕らが獲物のみせあいっこをしていると、男の子と、そのおじいさんらしき二人組に声をかけられた。手にはスーパーのビニール袋を持っている。どうやら二人も虫捕りに来ているようだ。僕らの獲物を見せると、男の子はビニール袋から何かを取り出しはじめた。そして姿を現したものは…。
現れたのは、ミヤマクワガタだった。この突起だらけのとんがったフォルムに、焦げ茶色のマットな質感。まるで軍用車だ。マイカーのかっこよさ比べをしていたのに、いきなり軍用の戦車が現れた。今日森に入って見かけた虫の中でいちばんカッコイイ。文句なし。安藤さんも優勝気分をすっかりかっさらわれ、カッコイイ！カッコイイ！と連呼している。自分の優勝を放り出して、「どう見てもこれ（ミヤマクワガタ）が優勝ですよ」とまで。
男の子達は網を持っていなかった。ビニール袋一枚。まるでコンビニ帰りみたいなカジュアルな装備でミヤマクワガタを捕獲していた。クワガタは木の根っこを掘って探すのだそうだ。実は安藤さんのクワガタも同じ方法で見つけたらしい（安藤さんのカゴにはミヤマクワガタのメスもいた）。道具じゃない。最後はノウハウを知っているものが勝つのだ。（ノウハウを調べてきたのに怖くて使えなかった僕は問題外として）
夏休みは虫捕りへ行こう
小学校以来の虫捕り、一喜一憂（というか一喜一恐）しながらも、とてもおもしろかった。森の空気はそれだけで気持ちがいいし、森の探索は冒険心も満たしてくれる。そして何より、自分の知らない虫が潜んでいるかも、という想像は知的好奇心に働きかけてくるのだ。
そして何より虫のかっこよさ。生き物なんだけどどことなくメカっぽい、虫のあのフォルムってインドア派にもアピールする趣味だと思う。そんな非屋外型の人にこそ、この夏は虫捕りがおすすめ！と、絵に描いたようなインドア派の僕が推薦します。虫、おもしろいよ！
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