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フェティッシュの火曜日
 
色のつく影絵を作る


 

ナイターでスキーやスノーボードをしていると色のついた影ができていることがあります。スキー場の電灯は赤・緑・青の3色の光を重ね合わせて白い光にしているため、うまい角度で影を作ると色のつく影ができるのです。

真夏にスキー場の話をして季節感をぶち壊すのも忍びないのですが、影は黒とは限らない、好きな色をつけることができるというのはなかなか面白いです。

光の原理をよく知って、カラフルな影絵を作ってみたい。

荒原べんぞう



学研のキット

色のつく影絵を作ってみたいなとは以前から思っていたのですが、実際に用具を揃えるのが大変そうだし、用意できたとしてもうまくいくかどうかわからないなと思って今まで実行できずにいました。

しかしこの前、東急ハンズをぶらぶらしていたら「光の三原色実験」という学研のキットを発見しました。これを使えば色のつく影絵ができるかもと思ってついつい即買いしてしまったのが事のはじまりです。

 
実験が盛りだくさん

家に帰って中を改めてみると、分光スリットやプリズムなど、光に関する実験が盛りだくさん。そしてその中に、赤・緑・青のダイオードで影に色をつける実験のキットも入っていました。


左から白青緑赤のダイオード(白は使わない)
影を作ってみる

さっそく付属の解説を読みながら実験をしてみます。白い光は赤・緑・青の3色から構成されていて(光の3原色)、この3色の光を重ね合わせると白い光が出来上がります。この3色のダイオードから放たれる光を壁に映し、そこから特定の色の光だけに影を作ると、壁には色付きの影が投影されます。
 
黄色い影
青い影
 
赤いきつね
なんじゃこりゃー

例えば青い光の前に手をかざして青だけをさえぎると、壁に照らされるのは赤と緑の光の重ね合わせ、つまり黄色い影ができるという寸法で、これがやってみるとなかなか面白い。

赤いきつね、青いうさぎ、だんだん面白くなってきていつのまにか影絵に変な意味を持たせようとしているほど楽しかったのですが、とにかくセロファンも何も使わずに影に色がつくというのは新鮮な気分です。

 

自作セットを準備

いろいろ試してうまくいきそうなことがわかったので、とうとう覚悟を決めて大掛かりな器具を準備することにしました。再び東急ハンズに行って針金やらボール紙やらライトやらを入手します。

   
いろいろ買ってきた
このあと血豆を作った

光源の色を自由に調整できるというメリットも考慮し、白色のライトに色セロファンを貼ることで3原色の光源を作ることにしました。また、光源の位置を自由に調整できるようにライトは針金の先にくっつけます。1時間ほど作業すると自作機材が完成しました。

 
そしてこうなった

自信満々で作り上げたものを改めてみてみると、一体これはなんの装置なんだか、まるで何かのエイリアンかロボットか、じっと見ていると顔のようにも思えてくるし、とりあえずとんでもないものが出来上がったのは間違いなくてがっかりしました。

しかし見た目は無骨でも、色がつく影絵を作る体制がばっちり整ったのは事実です。機材の準備はばっちりで、あと問題なのは影絵の題材を何にするかだけ。童話の影絵を色付きでやってみようかとも思ったんですが、絵心のない僕には到底無理だということで、さてどうしようと考えて思いついたのが・・・いろんなロゴマークを影絵で表現してみてはどうだろう。

 

ロゴマークを影絵に

さっそく街中へ出てロゴマークを集めます。改めて注目してみると意外なほどにたくさんあるロゴマーク。こんなにもたくさんあるのに今まで全く意識できていなかったということに気づいて、いかに普段ぼんやり生きているかということを思い知りました。

 
これを題材に

自分を反省しながら街中でいろいろとロゴマークを収集し、とりあえず手始めということで単純な図形であるTポイントのマークを作ってみることにします。

家に帰るとさっそくT字の形と長方形2つ、計3つのパーツにボール紙を切り抜いてライトの前にかざしてみます。かざすと言っても何かに固定しておいたほうが楽だなと考えていろいろ試した結果、針金と缶ビールを使うことで落ち着きました。

 
ビールを台にするのが都合がよかった

冷蔵庫にストックしてあった缶ビールがこういう形で活用されるとは思いもよりませんでした。ビールを買いだめしてた僕グッジョブ。これからもビールは切らさないように気をつけていきたいと思います。

 
影絵に色がついた
こういうからくり (クリックするとみられます)

いろんな過程を経て、ようやく最初の影絵が完成です。色がついた云々の前に、影絵がこんなに素敵なものだったのかと、改めて影絵の良さを再認識しました。なんだかぼんやりしていますが、なかなか味があって不思議な感じ。

そして肝心の色のほうも、まさかここまできれいに色が出てくれるとは思ってなかったので少しうれしくなりました。ただでさえ風流な影絵に、色が乗ることで新しい扉を開けることができたような、そんな気分です。

 

もっといろんなロゴマークを

それにしてもたかだかT字と短形の組み合わせを影絵にするだけなのにこの労力。連日続く熱帯夜の中で影絵のために風を嫌ってクーラーもつけず、前屈みになった胸を伝う汗。ひっちゃかめっちゃかに汚くなっていく部屋の中。そのおかげでこの幻想的な影絵に辿り着けたのも事実ですが、どうにも割りに合わないような気がします。

もう少し簡単に影絵がセッティングできる環境を作って、もっといろんなロゴマークを作ってみましょう。


 

 
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