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ひらめきの月曜日
 
靴箱のラブレターは何通であふれ出すのか
あふれろ、ラブレター!

朝、登校して靴箱を開けると、どわーっと手紙が出てくる。

むかし学園ものの少女マンガでそんなシーンがよくあった。主人公が憧れる人気者の男の子キャラだったり、校内一といわれる美人キャラが、大量にラブレターやファンレターをもらうのだ(で、もらう本人はラブレターに興味がないことが多い)。

いわゆる「お約束」の描写で、子どものころはマンガを読んでいても「なるほど、この子は人気者なんだな」という解釈だけして「こんなこと現実にはないよー!」とすら思わなかった気がする。スルーだ。

そして大人になった。子どもじゃなくても、大人になってから無邪気にマンガの描写が気になるということだってあるのだ。さあ、検証しよう。何通でラブレターは靴箱からなだれ出るのか。

(text by 古賀及子

大量のラブレターをねつ造する

靴箱をラブレターで満たしていき、何通からどわーっとあふれるのかを知りたい。あのマンガのキャラクターたちは一体どんだけ手紙をもらっていたのか。それを今回は調べたいと思う。半端な数では靴箱はあふれないはずだ。どうなのさ、どうなのよ、ぐいぐい。

今回は同じような状況を作って検証してみようと思う。大量のラブレターをねつ造して靴箱に突っ込んでみよう。

文房具屋さんでレターセットを物色してきた。レターセットというもの自体に触れるのが久しぶりだったのだが、全体的に過剰ともいえる柄のデザインに驚いた。超かわいい。

若者たちの間で「盛り(※)」というものがもてはやされているとは聞いていたが、レターセットの世界にもその波がきていたとは。ちなみにこれは私が買ったものだけかもしれないけれど、量も多かった。1パックに封筒24枚、便箋48枚とシールがセットされてる。その名もボリュームセットだ。もりもり。

(※ほら、髪の毛を高くセットしたり、携帯にきらきらとかチャームをびっしりつけたりするアレ……のことで合ってますよね?)


カワイイがぎゅうぎゅうに詰め込まれたデザイン たくさん入ってて今回の調査にはおあつらえ向き

検証にはかなり大量の手紙が必要と思われたが、このあまりにもかわいいレターセットには完全にのまれた。びびって2セット+便箋しか買えなかった。がんばって買った便箋も、96枚つづりで24種類もの柄違いが入ってる。過剰×過剰×過剰でもう大変な騒ぎだ。手に負えないぞ。

ぜんぶで252通ぶん買いました

結局、数を稼ぐためにかわいい系のレターセットの他に普通の便箋と封筒を大量に購入。落ち着け、落ち着け。


ああ、落ち着く

そのほか、こういうラブレターありそうだなと、ミニカードと 奇をてらう系でエアメール用封筒を購入

奇をてらって買ったエアメール用封筒は、よくよく考えたら思春期の私がやりそうだなと思って後ですごく恥ずかしくなった。……。

さて、買物するだけですでに色々と物語が始まってしまったレターセットたち。なんとなくこれくらい! と買ってきて数えてみたところ、全部であわせて252通あった。これで靴箱はあふれるだろうか。

252通なんてったら40人ひとクラスが6クラスあったとして、男女問わずその全員とさらに先輩・後輩からもちょっともらえるという数。今は子どもの数も少ないようだから、30人ひとクラス×2クラスなんて人数だと3学年の全員と教職員入れても足りない。えらいこっちゃだ。

ではラブレター、書いてみましょう

買物するだけで準備は終わらない。便箋に思いのたけを書いて封筒に入れなければ。さすがに252通ものラブレターを書くのは難しいが、1通ぐらい書かなくては格好がつかないだろう。


えーと あぶー

だめだ!

そういえばラブレターなんて書いたことない。ないよね、ないだろう普通。いや、あるのか? わからないけど、ニセモノのラブレターを書くってかなり難しい。これを読んでいる方、どうかちょっとそこらの紙に

「あなたのことがずっと好きでした」

とか、愛を告白する文を手で書いてみて欲しい。キーボードで打ち込むのとはちょっと訳が違う手に汗感。あぶーっとなりませんか。ね、あぶーでしょう。

結局、ラブレターを書くのはあきらめた。あきらめて、何も書いていない便箋を2枚、封筒に入れた。

なんだろう歌詞みたいな一文になってますね。


どうしていいかわからず、自分宛にする そもそも、こんなのんきなペンでラブレターはかけまいて(でも仕事はこのペンでしています)

封筒に便箋を詰める作業

とにかくあとはただただ作業だ。252通にぜんぶ白紙の便箋を折っては入れる。

何も入っていない封筒だけを靴箱に入れてもいいのいかもしれないが、厚みなどで靴箱に入る量も変わってくるだろう。ただ、封筒も便箋ももったいないので再利用できるように封はしないことにした。

最初は何も書いていない便箋を封筒に入れることに妙な違和感があったのだが、50通を超えたところで完全に内職スイッチがオン。こうなると早い。


詰めて、詰めて 昼休みにはみんなで一緒にラブレター作り

橋田さんがハートの折り方を覚えていた! ひゃー! そして、252通のラブレター、完成

さあ、準備が整いましたよ

人海戦術でどーんと252通の内容のないラブレターが完成した。さすがに壮観。

そういえば、子供のころ手紙が大好きだった私だ。自分宛に手紙が来るのが楽しみで郵便受けのチェックは日課だった。配達のバイクが家の前に停まるたびに郵便屋さんか新聞屋さんか確認したほどだったからよっぽどだ。

ニセモノとはいえ、便箋が収まった封筒が252通分もあるとさすがにわくわくの動悸がする。やっぱり手紙はいいなあ。

ではいよいよ靴箱に入れていこうじゃないですか。学校にあてがないので、仕方なく会社の更衣室にあるロッカーを使うことに。このロッカーがちょうど靴箱サイズなのだ。


普段は身だしなみ系の小物をみんな入れてます

10通ずつ入れてみます

測ってみたら、ロッカーはだいたい縦33.5cm×横32cm×高さ27cmあった。28,944立法cmと計算したところでどうなのかは全くわからない。ただ、なんとなくものすごくいっぱい入りそうな気がする。

そういえば学校の下駄箱は2段に分かれていて、上の段に上履きを、下の段に靴を入れていた。ロッカーに段がついていないのが少し心残りだが仕方あるまい。

会社で使っている室内履きを入れて、さあ検証です。


おや? どわー! と、いちいち驚く芝居はせずに、たんたんと10通ずつ入れていきますよ

  どんだけ靴箱にラブレターは入るのか?>
 


 
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