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フェティッシュの火曜日
 
プチプチに絵の具詰めてドット絵を描く


こういうことです。

 ほとんど毎週この欄で記事を書かせてもらって、もう5年以上にもなるが、ネタの案出はいまだにおおごとだ。どうにも何もネタが思いつかないときがあってほとほと嫌になる。この1週間が、まさにその状態でした。

こんなときは、優先順位は低いがずっとずっとやりたかったことを、コツコツと記事にするのがいいだろう。ずっとずっとやりたかったこと、それは、「プチプチのあの1個1個に色水を注入して絵を描く」ことだ。本当か。

乙幡 啓子



自分で言い出しといてびっくり

実は、ネタ出しに困るたびにWebマスター林氏が勧めてくるのが「いろいろな色の水を作る」企画。会議でネタが思いつかないとき、すぐさまその企画を勧めてくる林氏に、日頃は閉口していたのだ。まさか色水フィーチャーした記事を自然と書くことになるとは思わなかった。びっくりである。


緩衝材、いわゆるプチプチ。これが今日のキャンバスだ!

どういうことかというと、このプチプチのクッション1つ1つに穴を開け、絵の具で色をつけた水を注入し、ドット絵を描こうというのである。「メディアアートっぽい!」と思って暖めていた案であるが、「ドット」が「メディアアート」「っぽい」だけである。のんきな思考回路だ。

さてさらっと簡単に「1つ1つに穴を開け絵の具で満たす」と書いたが、各自黙読して手順をイメージしてみてほしい。さあどうする。どうやって「1つ1つ」「穴を開け」「いろいろな色の絵の具を」「注入」できるというのか。まっさきに思いつくのは注射器だ。


うちにある「注射器っぽいもの」ベスト1。
で、でかいなこれは。

プリンタのインクカートリッジにインクを詰める「詰め替えインク」、それに付属している工具セットに注射器っぽいもの(正確には吸引器)があったのだが、これではあのちいさなプチプチ1個1個を破壊しつくしてしまう。

他に何かいいものはないか・・・と探したら、アクリル板用接着剤のアタッチメントにいいものがあった!


接着剤用具とは思えない。

アクリル板は、毛細管現象を利用して、接合面にこのような器具でちゅーっと接着剤を注入するのである。どうだ、今後も使うあてのない、タンス知識が増えただろう。

これなら、先っちょも注射器ほど尖りすぎていないし、プチプチなら1撃で突き通せるしでいいことずくめだ。先ほどのピストンに付け替えて、絵の具をどんどん入れていこう。


ビーズ入れのフタかき集めて皿とする。
蚊になった気分。

ちゅちゅっと注入。

変な感触。ふだん容赦なく指先でつぶし倒しているプチプチも、注射針で丹念に絵の具注入、となると非常に気を遣わねばならないことに気づく。非常に頼りないのだ、1粒1粒が。


プーッと注入すると、だいたいこれくらいでパンパンに。もう入らないので抜こうとすると・・・
もれる。

力の入れ加減、入れる空気・絵の具の量、抜くときのタイミングなど、ここで書いてもしょうがないコツばかりだが、そんな試行錯誤の末にだいたいうまくできるようになってきた。1個につき30秒くらいかかっていたのが、1個5秒くらいまで短縮したと思う。アスリートなら、特番が3週連続でできるくらいのドラマだったはずだ。しかし実際たどりついたメソッドはというとこんなだ。


入れる絵の具は少なめに。
抜くときは、細くしたティッシュを添えて。

何せ「プチプチに絵の具を入れる」だからな。

練習として何色かでパターンを作ってみたが、ここまでで1時間以上かかってしまった。


日食の説明図みたいになった。

裏から見るときれい。

うん、今はまったく想像できないけど、カラフルな大作を目指せば面白そうな予感がする。何と言っても「プチプチの1つ1つに色が埋まってる」ドット絵である。それだけでもなんだか達成した気分なのだ。

さあ大きな作品に挑戦して、日に透かしてみようじゃないか。


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