●オッサンスパーク・多摩動物公園
続いてやってきたのは、東京都日野市にある多摩動物公園。園内には巡回バスも走るなど、とても広大な面積を誇る動物園だ。
ここでもカンガルーが飼育されている。しかも飼育スペースが「カンガルー園」と名付けられている特別枠ぶり。これは期待が高まる。
この動物園のカンガルーコーナーの特色は、何と言ってもカンガルーとの距離が近いことだ。千葉市動物園ではカンガルーまで10m以上あったが、ここは2〜3m先にいる。頭数も多く、カンガルーファンにはおすすめの動物園だ。
まずはかわいいチームのカンガルーをチェック。うん、かわいい。親子のふれあいもグッとくる。だが、そこで終わらせたくないというのが今回の記事だ。オッサンチームに目を向けよう。
期待以上のオッサン値を弾き出すカンガルー。どこかの家の居間で、テレビをつけっぱなしにしたまま寝そうになっているオッサンの姿そのものだ。
横にビールの缶が転がっていてもおかしくない感じ。スルメでもセットになっていればパーフェクトだ。
自分でもやってみてよくわかる。うん、やるやる、この感じ。
かわいさ部門では勝てないが、オッサン部門ならカンガルーに負けてない。というか、こっちの方が本家だ。
この姿を見て寝ている個体は複数いて、さらにポージングはほとんど同じ。たまたま近くの場所で同じ向きに寝ていると、シンクロしているようにさえ見えるほどだ。
そして、オッサンっぽさを感じていたのは私ばかりではないようだ。他に見に来ていた子供も「おじさんだ!」とでかい声で言っていた。そうだよね、おじさんもそう思うんだよ。
他にも「オッサンだ!」的な発言をする客は複数遭遇。「そうそう!」と、見ず知らずの人と感覚を共有できた気がしてうれしい。
中には「ヌードモデルみたいだな」と言っている人もいた。名画で言うと「オランピア」や「裸のマハ」あたりが思い浮かんだが、よく見るとポーズが違っているなど、やはりオッサンの方がしっくり来ると思う。
上の写真、「中に人がいるだろう」というくらいのオッサン感。それでいて意外とマッチョなので、殴られたりしたら痛そうだ。
おなかを掻いている姿もかなりのオッサン性。目を閉じたままで掻いているあたりがその要素を強めているのだと思う。ボリボリという音が聞こえてくるくらいの勢いで掻いていた。
寝ているポーズは基本的に横向きなのだが、たまに仰向けに転がるのもいい。
案内所でもらった「オーストラリアの動物たち」というガイドパンフレットも熱い。動物たちの生態がイラスト入りで解説されているのだが、ここでもかわいい姿に加えてオッサン的な側面も見ることができた。
腹を掻いてるイチロウ(オス)。「睾丸」と書かれている部分を隣のメスカンガルーがじっと見ている構図になっているのも趣深い。
さらに追い討ちをかけるように「もどす」。食べたものを戻しているのだ。
表情を含めて、終電近くの駅のホームで見かけるオッサンたちと似ているが、カンガルーはぶちまけないでまた飲み込んでいるので偉いと思う。
ご覧いただいたように、かなりいい感じだった多摩動物公園。自分をカンガルー化できる設備もあり、力が入っている。カンガルーとの距離、頭数、そしてパフォーマンスともに、オッサン性を求めてカンガルーを見に行くのなら、おすすめできる動物園だ。