特集 2016年8月23日

富山県は昆布にあふれている

富山県には昆布を使った食べ物がたくさんあるのだ。
富山県には昆布を使った食べ物がたくさんあるのだ。
昆布。基本的にはだしを取るのによく使う食材である。メインではなく、メインの引き立て役として使われることが多いだろう。そして、そんなに使うものではない。しかし、富山県では昆布押しがすごく、たじろいた。今回、昆布にまつわる食べ物をたくさん食べてきた。
1988年神奈川県生まれ。普通の会社員です。運だけで何とか生きてきました。好きな言葉は「半熟卵はトッピングしますか?」です。もちろんトッピングします。(動画インタビュー)

前の記事:酢飯の美味しい食べ方、正解は「たまごをかける」でした


健康になりたいと思う

最近、人から良く言われるのが、「痛風なんじゃない?」という言葉である。食い気味で「痛風じゃないです!」と答えている今日、この頃。症状として歩けないほど痛いと聞くがそんなことはない。お腹いっぱい食べると足の指に違和感が出るぐらいなので、全然大丈夫である。ただ、多くの人から言われると不安だ。

こっちは長寿を目指しているのだ。定年を迎えたら、どこかの島で過ごすつもりである。それを叶えるために健康になりたい。
天丼にカレーをかけて食べてしまっているが、健康にはなりたい。
天丼にカレーをかけて食べてしまっているが、健康にはなりたい。
今回、夏休みに富山に行くことなり、調べてみると、富山県の高岡市では、昆布にまつわる食べ物が多くあるらしい。
昆布は「喜ぶ」にかけて「よろこんぶ」と言われており、とても縁起がいい。これからの将来、縁起良くして生きたいので、高岡に行くことにした。

ただ、お盆休みに行った為、新幹線の全然予約が取れず、予約できた新幹線は家を始発で出ないと乗れず、東京駅では乗り換えを10分で行わなければならないものしかなくて、びっくりしたことも今ではいい思い出である。
乗れたので安心して寝た。
乗れたので安心して寝た。
そして、2時間ほどで富山県の高岡市に到着。ようこそ高岡へ。
そして、2時間ほどで富山県の高岡市に到着。ようこそ高岡へ。
新高岡の駅には、前田利家の長男、利長のかぶとがあった。約4mあるらしい。
新高岡の駅には、前田利家の長男、利長のかぶとがあった。約4mあるらしい。
ちなみに前田利長は高岡に城を構え大変なにぎわいを見せた。現在も名産品である高岡銅器もこの時期に作られたのだという。さきほど、観光案内所で聞いたので間違いない。

ただ、今回のメインは昆布である。利長さんは申し訳ないが昆布の食べ物を探しに、高岡駅に向かった。
高岡駅にある観光案内所で、昆布のことを聞くことにした。
高岡駅にある観光案内所で、昆布のことを聞くことにした。
しかし、昆布のパンフレットが見当たらない…。
しかし、昆布のパンフレットが見当たらない…。
最初に観光案内で、昆布のことを聞こうと思い訪れたのだが先客がいたため、パンフレットを見ていた。あれ、どこにも昆布の文字がない。昆布を打ち出したグルメがあると聞いていたのだが、それがどこにもないのだ。

情報を探るべく観光案内所の方に聞いてみた

――すいません、高岡に昆布を使ったグルメがあると聞いたのですが、

「昆布? あ、高岡昆布飯というのがありますよ。」

――それのパンフレットはありますか? どこにもパンフレットがなくて、

「パンフレットですか?ちょっとお待ちくださいねー」
これが昆布飯である。和食と中華、そして洋食もあるようだ。
これが昆布飯である。和食と中華、そして洋食もあるようだ。
見せてもらったパンフレットには、様々な種類の昆布を使った料理が掲載されており、それらを総称して「高岡昆布飯」と言う。高岡昆布飯を名乗る為には下の5か条を守らなければならない。

1,高岡産のコシヒカリを使っていること
2,昆布を使っていること
3,複数の品数で構成されていること
4,産地地消にこだわっていること
5,価格が1500円以内(税抜)であること

これらを守って昆布飯を初めて名乗れるのだ。でも、なんで昆布なのだろうか。

「元々、富山県は昆布の消費量が日本一なのですが、それをヒントに高岡市全体で新しい名物を作って行こうと3~4年前に立ち上げたのが高岡昆布飯です。」

消費量が日本一なのか。詳しく聞いてみると、元々、江戸時代に富山県の祖先が北海道の羅臼まで北前船(ざっくり言うと北に向かいつつ、商売をしていた。西回り航路とも言う)で向かい、そこで米を売り、昆布を仕入れたことに始まる。
そこから長い間、その土地に根差した食べ物として、今もなお残っているのだ。しかし、昔と違い今では様々な方法で食べられている。


「ご飯だけではなく、スイーツにも昆布を使っているものがあったりと色々とありますよ。」
昆布にスイーツ?これは興味がある。
昆布にスイーツ?これは興味がある。
「でも、最近、あまり地元の人が力を入れてないというか、あまり置いてない店もあるみたいです。観光協会としては、もう少し力を入れて欲しいんですけどね。」

この言葉を後ほど、体感することになる。まずは、道の駅に向かった。

昆布だらけの道の駅

道の駅まで歩くと1時間以上あるらしい。なので、タクシーに乗り向かうことにした。そこで少し色々と聞いてみた。


――富山が昆布の消費量が日本一だと聞いたのですが、家でも食べますか?

「良く食べますよ。昆布で締めたりとか、昆布巻きにしたりして。あと、おにぎりに巻いたりして食べますね。」

――おにぎりに巻くんですか?

「おいしいですよ。海苔よりもおいしいと思いますね。」
ここいら辺にあるお店は高いくせにおいしさが中の中というグチもあった。
ここいら辺にあるお店は高いくせにおいしさが中の中というグチもあった。
「私、大阪の出身ですけど、大阪にいたときよりも昆布を食べてますね。ほぼ毎日食べているかもしれないです。」

土地柄なのか、それとも昆布の持つ魅力がそうさせるのか、食べてみないとわからない。
着いた。高岡の道の駅。ドライバーの憩いの場でもある。
着いた。高岡の道の駅。ドライバーの憩いの場でもある。

昆布のおにぎりがおいしい

着いたのは「道の駅 万葉の里 高岡」である。ここでも高岡昆布飯が置いてあるらしい。早速入ってみよう。
あった。高岡昆布飯。
あった。高岡昆布飯。
食堂の壁に貼ってあった紹介のチラシ。しかし、食券の自販機にどこにも見当たらない。先ほど観光案内所で聞いた「あまり置いてない店もあるみたいです」の言葉。おばちゃん、あなたの言う通りだったよ。置いてないって。

しかし、タクシーの運転手さんが言っていた昆布を巻いたおにぎりがあるらしい。
おぼろ昆布を巻いてあるおにぎり。みそ汁は無料だった。お得!
おぼろ昆布を巻いてあるおにぎり。みそ汁は無料だった。お得!
出てきたおにぎりはこぶし2つ分はある大きいおにぎり。これで値段が150円だから安い。
大きいので食べるのに必死だ。
大きいので食べるのに必死だ。
食べてみると昆布の塩気と風味がお米のおいしさを120%に引き出している。胃が疲れているときに食べたい優しい味である。

また、食事を頼んだ人は飲み放題のみそ汁もおいしい。エビのコクのようなものがすごい。あ、おにぎりとみそ汁…。絶対においしい食べ方を思いついた。
おにぎりをみそ汁に入れてみる。食の挑戦者だから。
おにぎりをみそ汁に入れてみる。食の挑戦者だから。
「やさしさとおいしさの飽和状態」とメモに書いたあった。きっとかなりおいしかったのだろう。たしかに日曜の投稿企画「俺の汁ごはん」に投稿したくなるおいしさだった。
おにぎりを食べ終わったあとに聞いたところ、これの準備をしていた。これもおいしそう。
おにぎりを食べ終わったあとに聞いたところ、これの準備をしていた。これもおいしそう。
ちなみに昆布のおにぎりはコンビニでも手に入る。東京でもたまに見るが、富山ではよく見る。
ちなみに昆布のおにぎりはコンビニでも手に入る。東京でもたまに見るが、富山ではよく見る。

お土産コーナーも昆布

食べ終わったあとにお土産コーナーを見てみることにした。もしかしたら、消費量は多くてもお土産コーナーにはないかもしれないと思っていたが、そんなことなかった。
ブックオフのジャンプコミックスの棚ぐらい昆布が置いてある。
ブックオフのジャンプコミックスの棚ぐらい昆布が置いてある。
ダイエットにもいいらしい。1キロぐらい食べるか。
ダイエットにもいいらしい。1キロぐらい食べるか。
昆布でワンコーナーができている。先ほどのおにぎりに巻いてあったおぼろ昆布やふりかけ用、そのまま食べる用、出汁を取る用など様々な商品が売られている。
右の商品に書いてある「アルカリ賛成!」という素敵なフレーズに心がざわつく。
右の商品に書いてある「アルカリ賛成!」という素敵なフレーズに心がざわつく。
しかし、これぐらいなら他の地域でもあるだろう。高岡の本気はここからだ。
昆布マカロンに、
昆布マカロンに、
昆布パウンドケーキである。高岡、本気だな。
昆布パウンドケーキである。高岡、本気だな。
観光案内所で聞いた「昆布スイーツ」である。マカロンが売り切れていたので、パウンドケーキを食べてみたのだが、上に昆布が乗っており、ケーキの中には黒豆が入っている。昆布の塩気、そして黒豆特有の風味と甘味が合わさった見事なスイーツになっていた。
そのおいしさは写真を撮り忘れるほど。
そのおいしさは写真を撮り忘れるほど。
さらにここでは多くの昆布スイーツを扱っていた。
ここにあるのは全て昆布スイーツである。本気出しまくってきたな。
ここにあるのは全て昆布スイーツである。本気出しまくってきたな。
マカロンやパウンドケーキもここの道の駅でしか購入できないのだが、他にもここでしか手に入らない昆布スイーツがある。
昆布ラスク。青のりっぽいが昆布。
昆布ラスク。青のりっぽいが昆布。
まずは昆布ラスク。見てわかるどおり昆布が乗っている。家へのお土産に買ったが、「見た目はインパクトがあるが、思いのほかおいしい。」と言っていた。私も食べたが、昆布の風味、何でも合うのではと思うぐらいおいしかった。
高岡昆布っせ。中のクリームに昆布が入っている。これもおすすめ。
高岡昆布っせ。中のクリームに昆布が入っている。これもおすすめ。
道の駅だけでも昆布を堪能できるが、まだまだ高岡の昆布グルメはあるのだ。ちゃんとした高岡昆布飯を食べたいので探すことにした。
夏を感じながら。
夏を感じながら。
探しているときに、床屋アピールのすごいお店を見つけた。これで床屋じゃなかったら怖い。
探しているときに、床屋アピールのすごいお店を見つけた。これで床屋じゃなかったら怖い。
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デパートで高岡昆布飯を食べる

高岡駅の近くにダイワデパートという北陸を中心に展開しているデパートがある。そこのレストラン街にも昆布飯があるのだ。
子どもの頃、デパートのレストランで食べることが楽しみで仕方なかった。その時のことを思い出すような懐かしさを感じる。
子どもの頃、デパートのレストランで食べることが楽しみで仕方なかった。その時のことを思い出すような懐かしさを感じる。
これがダイワデパートの昆布飯。高級感がある。
これがダイワデパートの昆布飯。高級感がある。
お店によって出すメニューが違う昆布飯。ここでは滝川豆腐という豆乳を寒天で固めた豆腐に富山県名産の白エビの昆布締め、キスの天ぷらが入った昆布だしのうどん。そして、薄い昆布が乗ったご飯である。私なんかが食べていいのかと思うぐらい高級感がある。
レストランからの景色を見つつ、食べているとお金持ちになったのかと錯覚する。しっかりしろ!
レストランからの景色を見つつ、食べているとお金持ちになったのかと錯覚する。しっかりしろ!
もちろん味はおいしい。普段、濃い味のものばかり食べているので、うす味によって胃がやさしく包み込まれるようである。
ご飯の上に乗っているのはバッテラというしめ鯖の押し寿司に乗っているような薄い昆布。
ご飯の上に乗っているのはバッテラというしめ鯖の押し寿司に乗っているような薄い昆布。
どうだろう。ここまで読んだ人の中では「なんだ、思っていたほどじゃないな。普通だな。」と思う人もいるだろう。わかった。その言葉、飲み込むなよ! とっておきのものを出そう。

昆布パフェを出しますよ

昆布とパフェ。そんなものがあるのかと思うだろう。しかし、高岡にはあるのだ。
観光案内所でもおすすめされた柿の匠(かきのしょう)。
観光案内所でもおすすめされた柿の匠(かきのしょう)。
ここでは昆布飯もあるが、お目当ての昆布パフェもあるのだ。早速、注文してみた。
これが昆布パフェである。
これが昆布パフェである。
注文して出てきたのがこのパフェである。見た目ではどこに昆布があるのかわからない。底にはあんこがしきつめられており、抹茶アイスの上にきな粉がかかっている。普通の和風パフェのように見えるが食べてみると、
チョコにも見えるが昆布だ。
チョコにも見えるが昆布だ。
アイスの中に昆布が入っていた。最初、見たときはきざんだチョコかと思い、口の中に入れると甘くない。これ、昆布だな。昆布の風味よりも食感を楽しむものかもしれない。味はパフェとしておいしい。

ご飯とデザートを食べて満足である。さて、駅に帰ろうとタクシーに乗り、何気なく昆布の話をした。そこで不思議な名前の食べ物が出てきたのた。

「さす」ってなんだ?

その食べ物とは「さす」という名前である。もしかしたら、変わった食べ方をするかもしれないと違う運転手さんにどのように昆布を食べるかを聞いたときに出てきた食べ物だ。聞くと何かの魚の昆布締めらしいが、なんの魚を使っているのかわからないらしい。

スーパーに売っているそうなので、実物を見てきた。
昆布締めだらけ。関東では見ない光景だ。
昆布締めだらけ。関東では見ない光景だ。
その中にさすがあった。上さすと書いてあるので、普通のさすよりか良いものなのだろう。
その中にさすがあった。上さすと書いてあるので、普通のさすよりか良いものなのだろう。
スーパーに行くと、すぐに発見した。「さす」が置いてある。店員さんに聞くとカジキマグロを昆布締めしたものらしい。日本酒のつまみに最適とのこと。どこの居酒屋にも置いてあるらしいので、夜にスーパー銭湯の飲食スペースに行ってみた。
本日のおすすめに「サス昆布〆」があった。
本日のおすすめに「サス昆布〆」があった。
これがさす。
これがさす。
昆布をはがしてみたら、日本酒に合いそうな姿をしている。飲まずにはいられない。
昆布をはがしてみたら、日本酒に合いそうな姿をしている。飲まずにはいられない。
昆布で締めた魚のねっとりとした食感と昆布とカジキのうまみが口の中にひろがって、そこに日本酒を入れたら、最高の気分だ。

居酒屋の店員さんが言うには「カジキは刺身だとそんなにおいしくないけど、昆布で締めたら一級品だよ」と言っていた。その言葉通り、気がついたら食べ終わっていた。

この他にもまだまだ、昆布アイスや、昆布パン、昆布おはぎなど色々とあるが、今はやってないらしい。いつか食べてみたい。
昆布おはぎについて最初、たくさんあると思ったが、小松菜のワッフルだった。昆布おはぎは今年になってから見ていないらしい。
昆布おはぎについて最初、たくさんあると思ったが、小松菜のワッフルだった。昆布おはぎは今年になってから見ていないらしい。
なかったりするのも、昆布が身近にありすぎて、アピールするほどではなくなっているのかもしれない。ずっといると慣れてしまうみたいなことである。

どこに行っても昆布だらけで富山の昆布愛を感じた旅だった。

健康になったかもしれない

歩いたり、昆布を食べまくったおかげが、1週間ぐらい調子が良かった。体が軽い気がする。でも、体重は減っていなかった。地道に昆布を食べつつ、運動していこう。あと、高岡駅にあるお土産コーナーでも昆布を使ったクッキーやバームクーヘンが置いてあるので、道の駅まで行けない人はそちらもどうぞ。普通の昆布も置いてある。
利長さんの指差す方向には青空があった。
利長さんの指差す方向には青空があった。
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