特集 2011年11月28日

ランタンが夜空を舞い、星になる祭り~タイのロイカートンを見てきた

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光を放つ無数のランタンが宙を舞い、空に昇っては星のように輝く…。

説明だけでもう、どうだ!といわんばかりのロマンチック。そんな光景が繰り広げられる行事が、タイにあるのだ。
インターネットユーザー。電子工作でオリジナルの処刑器具を作ったり、辺境の国の変わった音楽を集めたりしています。「技術力の低い人限定ロボコン(通称:ヘボコン)」主催者。1980年岐阜県生まれ。
『雑に作る ―電子工作で好きなものを作る近道集』(共著)がオライリーから出ました!

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満月の祭り

その行事はロイカートンというお祭りで、毎年11月の最初の満月の日(とその前後)に行われる。今年は11月の10日が満月だ。

タイ全国で行われるのだが、特に大規模で有名なのが、タイ北部の街スコータイ、そして同じく北部の街チェンマイ。僕は今年、幸運にもチェンマイのロイカートンに居合わせることができた。
こんなふうにみんなでランタンを揚げて
こんなふうにみんなでランタンを揚げて
それがどんどん空に溜まっていくのです
それがどんどん空に溜まっていくのです

初めてのひとり旅

長い休暇が取れたので、単身チェンマイに行くことにしたのだ。本当はバンコクと2都市滞在の予定だったのが、例の洪水の影響でチェンマイのみになった。

現地では約1週間滞在。初めての海外ひとり旅ということもあって、その旅程は書こうと思えば記事が100ページは書けるくらいの、濃密な体験だった。でもさすがにそれじゃちょっと長いので、この記事ではロイカートンに的を絞って約50ページでお送りします。(うそうそ、4ページで。)

初日、前夜祭

7日の深夜にチェンマイ入りした。実質初日となる8日が、ちょうどロイカートン祭りの前夜祭的な日。

祭りが始まるのは夜なので、昼間はレンタサイクルを借りて市内散策をしてすごした。
ホテルの近所にあった寺。3~4キロくらい走ると横断できてしまう小さな街なのに、こういう寺が100以上ある
ホテルの近所にあった寺。3~4キロくらい走ると横断できてしまう小さな街なのに、こういう寺が100以上ある
チェンマイは旧ランナータイ王国の首都で、日本でいうと京都みたいな存在感の街だ。広さの面ではコンパクトで、自転車でめぐるのにちょうどいい大きさ。
そんな街中を、目的地も決めずにフラフラしてみる。
ペットショップばかりの市場を発見。道の両端全部ペットショップ。
ペットショップばかりの市場。道の両端全部ペットショップ。
各店にこんなカゴが。子犬もみっしりです
各店にこんなカゴが。子犬もみっしりです
お昼に食べたチェンマイ名物カオソーイ。カレー味の麺料理で、ゆで麺と硬い揚げ麺が両方入ってる。もちろんうまい
お昼に食べたチェンマイ名物カオソーイ。カレー味の麺料理で、ゆで麺と硬い揚げ麺が両方入ってる。もちろんうまい
寺にいたお坊さんに、祭りについて聞き込み調査をする(も、お互い英語がカタコトなのでよくわからず早々にお開きとなった)
寺にいたお坊さんに、祭りについて聞き込み調査をする(も、お互い英語がカタコトなのでよくわからず早々にお開きとなった)
特に下調べもせずいきなり街へ出たのだけど、それでもこの日は街のいたるところで祭りの準備が進められているのが見て取れた。
市場ではロイカートンで飾るちょうちんの大売り出し
市場ではロイカートンで飾るちょうちんの大売り出し
別の市場でも。ちょうちんの下にピラピラをつけて火星人みたいにするのがランナータイ流
別の市場でも。ちょうちんの下にピラピラをつけて火星人みたいにするのがランナータイ流
この白いのが、空に揚げるランタン。コムローイという。
この白いのが、空に揚げるランタン。コムローイという。
花でできたケーキみたいなの。あとで出てきますがこれもランタンの一種だ
花でできたケーキみたいなの。あとで出てきますがこれもランタンの一種だ
道路脇ではパレードの山車を準備中。
道路脇ではパレードの山車を準備中。
アジアで祭りといえばロケット花火と爆竹。ちょっと物騒なレベルで大量に準備完了
アジアで祭りといえばロケット花火と爆竹。ちょっと物騒なレベルで大量に準備完了
いろいろ見て回っているうちにだんだん日も暮れてきた。

タイ観光局のホームページによると、この日はランタンパレードがあるらしい。
パレードが通りそうな場所を探していると、小さな公園に出た。
なんかやってるぞ
なんかやってるぞ

もう揚がってる

あ、あれは
あ、あれは
地元の人が何人か集まって上の方を指さしている。その先を見ると、夜空に輝くひときわ明るい光が。一番星だろうか。でもじっと見てるとなんだかフワフワと動いている。

…コムローイだ!
また揚がった!
また揚がった!
コムローイ揚げは10日がピークと聞いていたが、二日も前にもかかわらず、気の早い人たちがもう揚げ始めていた。
この公園の付近一帯こそ、コムローイ揚げのメイン会場だったのだ。

その後もコムローイを持ったグループがポツポツとやってきては、空に飛ばして満足げに去っていく。
揚げてるところを見せてもらう。まずはコムローイを伸ばして広げ
揚げてるところを見せてもらう。まずはコムローイを伸ばして広げ
中についている燃料に火をつけます
中についている燃料に火をつけます
表面になにか書いてある。願い事かな
表面になにか書いてある。願い事かな
しばらくすると熱気球の要領でコムローイがどんどんふくらんでいく。タイミングを見計らって「(タイ語で)せーの、」で手を放すと…
しばらくすると熱気球の要領でコムローイがどんどんふくらんでいく。タイミングを見計らって「(タイ語で)せーの、」で手を放すと…
飛んだ!
飛んだ!
手から離れたコムローイは、音もなくスーッと空に昇っていく。その姿は、深海にくらすイカやクラゲを思い起こさせる。

家族連れ、友達グループ、観光客のグループなど、いろんな人がやってきてコムローイを飛ばしていくが、空に舞うその姿を見るとみんな一様に満足げ。こっちも見てるだけでウキウキしてしまう。
孫の顔でも見ているように頬がほころぶ
孫の顔でも見ているように頬がほころぶ
揚がったコムローイは空高くどこまでも昇っていく
揚がったコムローイは空高くどこまでも昇っていく
揚げているところを動画で撮らせてもらいました
日本で写真を見たときは、どうやってあんなの飛ばすんだろう?と思ってたんだけど、すごく単純なしくみだった。要はミニ熱気球なのだ。コムローイ本体と、ライター1本があれば簡単に揚げられる。

これはやってみたい…と思ったけどあいにくコムローイが手近に売っておらず、明日以降のお楽しみに回すことにした。今日はパレード、パレード。

街中がピカピカに

大名行列みたいな行進と
大名行列みたいな行進と
輝く山車が交互に続々とやってくる
輝く山車が交互に続々とやってくる
このミノカサゴみたいな衣装は北タイの伝統舞踊だそう
このミノカサゴみたいな衣装は北タイの伝統舞踊だそう
サウンドシステムもすごいぞ。流れているのは北タイの民族音楽
サウンドシステムもすごいぞ。流れているのは北タイの民族音楽
獅子舞みたいなのも登場
獅子舞みたいなのも登場
大きな動物の登場に、はしゃぎまくる子供たち
大きな動物の登場に、はしゃぎまくる子供たち
ここで唐突に、中の人交代。突然目の前に現実が現れ、ひるむ子供
ここで唐突に、中の人交代。突然目の前に現実が現れ、ひるむ子供
交代完了後、さっきのは見なかったことにして再び動物としてじゃれる。大人な対応だ
交代完了後、さっきのは見なかったことにして再び動物としてじゃれる。大人な対応だ
そして街もすっかりお祭り仕様。どこもかしこもピカピカなのだ。
市場で売ってたランタンは、こんなふうにお寺や家の門に飾り付ける
市場で売ってたランタンは、こんなふうにお寺や家の門に飾り付ける
寺の敷地に特別席を作って、お坊さんたちも観覧中
寺の敷地に特別席を作って、お坊さんたちも観覧中
パレードの出発点、ターぺー門はランタンだらけに
パレードの出発点、ターぺー門はランタンだらけに
チェンマイのシンボルは象。もちろんランタンに
チェンマイのシンボルは象。もちろんランタンに
とにかく夜なのに街中に光が溢れていて、華やかで、賑やかで。
初日にして、これはいいところにきた、この旅行は一生の思い出になるぞ!と確信した。この日は興奮してなかなか寝付けず、ホテルにあった日本語フリーペーパーを2冊も読破してしまったほどだ。

でも、こんなのまだ序の口にすぎなかったことに気づくのは翌々日のことである。
祭りはまだ前夜祭にすぎない。
パレードの到着点では、翌日まで道ばたに山車が放置されていた。この適当さ、アジアっぽい
パレードの到着点では、翌日まで道ばたに山車が放置されていた。この適当さ、アジアっぽい
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二日目、いよいよ祭り本番…?

明けて9日。この日も日中は市内散策。
電車がなくてタクシーも少ないチェンマイ、主な交通機関はトゥクトゥク。
電車がなくてタクシーも少ないチェンマイ、主な交通機関はトゥクトゥク。
ワット・プラ・シンという寺院に行った。ガイドブックによると、市内で一番格式が高いとされる寺院。
ワット・プラ・シンという寺院に行った。ガイドブックによると、市内で一番格式が高いとされる寺院。
飾りがぜんぶ現金。すごいぞ
飾りがぜんぶ現金。すごいぞ
市内にある昆虫博物館は、館長が蚊の研究者。蚊の標本というのを初めて見た(蚊だけで2000種類近く展示されているけど、違いはよくわかりませんでした…)
市内にある昆虫博物館は、館長が蚊の研究者。蚊の標本というのを初めて見た(蚊だけで2000種類近く展示されているけど、違いはよくわかりませんでした…)
すごく蚊を美化した絵が…
すごく蚊を美化した絵が…
寺でごはん食べてた子猫。頭にごはん粒ついてる
寺でごはん食べてた子猫。頭にごはん粒ついてる
ちなみに昼観光については本題じゃないので詳しく書かないが、市内をウロウロしまくって毎日15キロくらい自転車こいでることを付け加えておきたい。おかげで帰国後の現在、半袖より先の肌色が焦げたトーストのごとく真っ黒である。

そうこうしているうちに日が暮れて、いよいよ祭り本番!と意気込んだところ、なんと…
雨
11月はもう乾期のはずだけど、今日はめずらしく雨。ちょっとがっかりしつつも、だからといってホテルにUターンはもったいない。傘を差してちょっと歩いてみることにした。
やってきたのは花市場
やってきたのは花市場
新市街を流れる川、ピン川。そのほとりの花市場へやってきた。今年のアユタヤやバンコクの洪水は日本でもたくさん報道されたけど、チェンマイでも数ヶ月前にこのピン川が溢れたそうだ。ただし水深はヒザまで程度、しかも水はけのよい土地のため被害は少なかったとのこと。この規模の洪水なら5年に1回くらいの頻度でよくあることらしい。少なくとも僕が到着した時点では、街に洪水の気配はなにひとつ残っていなかった。

ところで、雨の中わざわざ川までやってきたのは理由があって、これを見に来たのだ。
花でできたケーキみたいな
花でできたケーキみたいな
これ全部ランタンです。クラトンとよばれるもの
これ全部ランタンです。クラトンとよばれるもの
このへんは花屋ばかりが密集していて、
このへんは花屋ばかりが密集していて、
それぞれ趣向を凝らしたオリジナルのクラトンが並ぶ
それぞれ趣向を凝らしたオリジナルのクラトンが並ぶ
これが25~50バーツ(65円~125円くらい)で売ってるんだからすごい
これが25~50バーツ(65円~125円くらい)で売ってるんだからすごい
クラトンの中にはなにかの植物の切り株?みたいなのが入っていて、水に浮くようになっている。
こんなの
こんなの
で、これをどうするのかというと…
そう、川に流すのだ。
そう、川に流すのだ。

灯籠流しだ

ここでちょっと解説。いま行われているこの祭り「ロイカートン」というのはロイ(=川に流す)クラトン(=ランタン)が語源で、言葉の定義からいうとこの灯籠流しが本来のロイカートン。前ページで紹介してた空に飛ばすほうは、もともと「イーペン祭り」という別の祭りで行われていたものだ。それがいつからか同時に行われるようになり、いまではどちらの名前も、2つの祭りがくっついたこの大きなイベントのことを指すようになった。(でも現地の人はみんなロイカートンって言っていた。)
川に降りるとクラトンを流すための足場が用意されている。
川に降りるとクラトンを流すための足場が用意されている。
小雨がやまないため人は少なかったけど、みんな続々と流していく
小雨がやまないため人は少なかったけど、みんな続々と流していく
雨でクラトンの火もすぐに消えてしまうため、残念ながらこの日は灯籠流しのきれいな風景を写真に収めることはできなかった。
このまま流れてくれたらかなりきれいなんだろうな…
このまま流れてくれたらかなりきれいなんだろうな…
そしてここでも、コムローイを揚げている人たちが。
さいしょはこんなにフニャフニャなのだ
さいしょはこんなにフニャフニャなのだ
それをふくらませて…
それをふくらませて…
放す!
放す!
嬉しそう
嬉しそう
その後も写真を撮りつつウロウロしていると、後ろから「ユー テイク フォトー?」って声がかかる。
振り向くとさっきコムローイを揚げてた女の子たちが立っていて、僕の顔を見て「あ、日本の人ですか?」と。
この二人
この二人
二人のうち一人が日本人のハーフだそうで、一年ほど前に日本からタイに引っ越してきたらしい。日本語ペラペラなのだ。もうひとりは地元の子。さっき僕が二人の写真を撮っているのを見て、あとで写真を送って欲しい、と声をかけてきたのだ。
もちろん快諾して、そのかわり、というわけではないけど、僕もコムローイを揚げたいので手伝ってほしいとお願いした。

揚げてみよう

この日はすぐ脇でコムローイが買えた。25バーツ(65円くらい)
この日はすぐ脇でコムローイが買えた。25バーツ(65円くらい)
ひとりにカメラ頼んだら人手が足りなくなったので、店の人にも手伝ってもらう
ひとりにカメラ頼んだら人手が足りなくなったので、店の人にも手伝ってもらう
燃料に火をつけて
燃料に火をつけて
ふくらみ待ち
ふくらみ待ち
コムローイ揚げのうち、唯一さじ加減が問われるのがこのふくらみ待ち。早く揚げたくて待ち遠しくなっちゃうんだけど、あんまり早く放すと上昇速度がゆっくりになり、風にながされて木に引っかかっちゃったりする。だからちょっと指先が熱いのを我慢して、熱い空気をたっぷり溜めなきゃいけない。
しかしそこはベテラン地元っ子がついている。指南をうけ、絶妙なタイミングでのリリース
しかしそこはベテラン地元っ子がついている。指南をうけ、絶妙なタイミングでのリリース
飛んだ!
飛んだ!
おおー
おおー
僕たちが揚げたコムローイはみるみる空に昇っていって、夜空に輝く星のひとつとなった。

これは楽しいぞ!!
揚げるのにちょっとコツがあるのも楽しいし、そのあと無事空に昇るのを見届けるまでのハラハラもいい。自分の揚げたコムローイは、すごく可愛いのだ。きのう公園で揚げてた人たちの、孫の顔でも見るようなあの表情。あの気持ちが今ならわかる。

ちなみにコムローイを揚げるときは願い事をするそうなのだが、僕は揚げること自体にテンション上がりすぎて、願い事をすっかり忘れてしまった。
そのあとクラトンの流し方も教えてもらう。買ったクラトンに、線香と花火を差して
そのあとクラトンの流し方も教えてもらう。買ったクラトンに、線香と花火を差して
火をつけます
火をつけます
火が消える前に放流!
火が消える前に放流!
あっ、消えた
あっ、消えた
僕のクラトンの火は、残念ながらすぐ消えてしまった。まだ若干小雨と風が残っていたので、まあ仕方ないか。
しかしただ川に流すだけなのに、これも案外楽しくて、ここでも願い事をするのを忘れてしまった…。
あとはキャンドルに火をつけたり
あとはキャンドルに火をつけたり
花火を撃ちまくったりして遊んだ
花火を撃ちまくったりして遊んだ
ちなみにこの祭り、この日はまだ平和なんだけど、翌日以降は盛り上がれば盛り上がるほど爆竹やロケット花火が飛び交い、その激しさはさながら銃撃戦のようであった。
そして手伝ってくれたみなさんを記念撮影。どうもありがとう!
そして手伝ってくれたみなさんを記念撮影。どうもありがとう!
みんなとはメールアドレスを聞いてお別れ。天気もはっきりしないので、この日はそのままホテルに帰ることに。(といってももう12時過ぎだ。)

明日はいよいよ、満月当日。祭りの盛り上がりもピークを迎えるという11/10だ。
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三日目 いよいよ祭りもピークに

この日も日中は自転車で市内散策。
ワット・チェディ・ルアンという寺院にある古い仏塔。でかい!
ワット・チェディ・ルアンという寺院にある古い仏塔。でかい!
その隣にあるワット・パンタオという寺院には、過去のロイカートン祭りの写真が。すごくきれいなんだけど、残念ながら今年はこのキャンドルサービス(?)は中止だそうです
その隣にあるワット・パンタオという寺院には、過去のロイカートン祭りの写真が。すごくきれいなんだけど、残念ながら今年はこのキャンドルサービス(?)は中止だそうです
これもどこかの寺院にて。垂れ下がった紐は仏像の手のひらに繋がっていて、身体や頭に巻いて祈祷を受ける
これもどこかの寺院にて。垂れ下がった紐は仏像の手のひらに繋がっていて、身体や頭に巻いて祈祷を受ける
お寺に中学生?がたくさん集まってクラトンづくり教室が行われていた
お寺に中学生?がたくさん集まってクラトンづくり教室が行われていた
日中の観光を終えて、シャワーを浴びにいったんホテルに戻る。休憩するうちいつの間に外は暗くなっていて、ホテルを出ると、こんな光景が。
ホテルの入り口がロイカートン仕様になった!
ホテルの入り口がロイカートン仕様になった!
ちょっとしたことだけど、俄然高まるお祭りムード。そして昂ぶった気分のまま空を見上げると…。
揚がってる!
揚がってる!
空にいくつも浮かぶ、どう見ても明るすぎる星。…星じゃない、コムローイだ!
もう居ても立ってもいられなくなって、自転車にまたがって、一昨日の公園付近に向かう。

ランタンで空が埋まる!

みなぎる祭りムード
みなぎる祭りムード
公園の近くに教会がある。ここから50mほど先にあるナワラット橋にかけてが、ロイカートンのメイン会場。昨日まではここには何もなかったのに、今日は屋台、屋台、人、人、人、ライブ、観覧車!
寿司の屋台があった。ネタはあまり見たことのない魚卵など、謎多し
寿司の屋台があった。ネタはあまり見たことのない魚卵など、謎多し
そうきたか、という感じの屋台。ウズラの目玉焼き
そうきたか、という感じの屋台。ウズラの目玉焼き
特設ステージではタイの田舎歌謡のライブも。ほんとダサくてグルーヴィーで最高でした
特設ステージではタイの田舎歌謡のライブも。ほんとダサくて最高でした
移動式観覧車も来てる
移動式観覧車も来てる
そして上を見上げると…
コムローイだ!
コムローイだ!
次から次へと
次から次へと
どんどん揚がる!
どんどん揚がる!
空はコムローイでいっぱい
空はコムローイでいっぱい
これはちょっと…すごい。想像以上の光景だった。

揚がっていくコムローイがきれいなのは予想してたんだけど、驚いたのは、それが空にとどまって無数に輝いていること。それはまるで星のようなんだけど、でもどんなに空気がきれいな場所にいっても、こんなに明るくてきれいで、たくさんの星が見える場所はないだろう。 世界中で見える星は全部ここで作られているのではないか、そんな気さえした。
その光景は本当に壮大で、みなさんには四角く切り取った写真でしかお見せできないのが本当に残念。

あまりの光景に、息をすることさえ忘れてしまうくらいだった。
でも焼きそばは食う
でも焼きそばは食う
川の方にいってみると、昨日はちらほらしか見られなかったクラトンも、今日はたくさん川面に輝いている。
上流からたくさん流れてくるし
上流からたくさん流れてくるし
会場近くでもたくさんの人が流していて、下流にいくにつれてどんどんクラトンは増えていく
会場近くでもたくさんの人が流していて、下流にいくにつれてどんどんクラトンは増えていく
上を見ればコムローイ、下を見ればクラトン、横を見れば街を飾るランタンで、360度すべてが暖かい色の光に包まれていた。
 寝転がって見てる人も。やってみると絶景なんだこれが
寝転がって見てる人も。やってみると絶景なんだこれが
ほら!
ほら!
夜が更ければ更けるほど盛り上がっていく会場
夜が更ければ更けるほど盛り上がっていく会場
つぎつぎ揚がって、息つく暇もない
つぎつぎ揚がって、息つく暇もない
売る方も大忙し
売る方も大忙し
わー
わー
居ても立ってもいられなくなって、また買った
居ても立ってもいられなくなって、また買った
そのへんにいた人に手伝ってもらって揚げる
そのへんにいた人に手伝ってもらって揚げる
ありがとうございます!
ありがとうございます!
自分で揚げたコムローイ、真下から見るとこんな感じ
自分で揚げたコムローイ、真下から見るとこんな感じ
こんなふうに次々あがっていく
みんなが揚げるので、本当に空がいっぱいになってしまう
みんなが揚げるので、本当に空がいっぱいになってしまう
いやもう本当、ただすごい。

ここにこういうこと書いてもさ、「お前の日記かよ」っていう感じではあるんだけど、正直、もうただひたすら、本当に、本当に楽しかったのだ。

もともと、今回の旅はただの個人的な旅行だし、こうして記事にするつもりもなかったんだ。ただこれ見ちゃった以上、これだけは絶対に誰かに伝えねば!と思ってこの記事を書くことにした。それだけ圧倒的な景色だったのだ。僕の稚拙な写真技術ではこの景色のすべてを伝えることはできそうになくてとても歯がゆいのだけど、でも、これを読んでる人がちょっとでも「おっ、楽しそう」と思ってもらえたら、僕はとても嬉しい。
祭りは真夜中まで続く。身体はヘトヘトなのに帰りたくなくて、その場で足マッサージを受けた(絶好のロケーションに野外マッサージがあるのだ)
祭りは真夜中まで続く。身体はヘトヘトなのに帰りたくなくて、その場で足マッサージを受けた(絶好のロケーションに野外マッサージがあるのだ)
本当にすばらしい体験だったけど、もう一生のうちに二度とできない体験かもしれない。この風景を少しでも強く目に焼き付けて絶対に忘れないようにしよう。最後はそんな名残惜しい気持ちでいっぱいだった。
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四日目 あれ、まだ続くのか

明くる11日。この日はプライベートツアーの日で、郊外の観光地を回った。
エレファントキャンプにて。手をつないで歩く象。
エレファントキャンプにて。手をつないで歩く象。
絵を描く象。適当に筆持って動かすだろうとおもって舐めてかかってたら、普通にうまかった。賢い
絵を描く象。適当に筆持って動かすだろうとおもって舐めてかかってたら、普通にうまかった。賢い
首長族の村へ。後ろ半分がゴムになった輪っかが用意してあって、首長族ごっこができる(右は筆者、女性は本物)
首長族の村へ。後ろ半分がゴムになった輪っかが用意してあって、首長族ごっこができる(右は筆者、女性は本物)
首長族って遠い存在かと思ってたけど、会ってみると案外普通の女の子という感じで親近感。民族衣装も可愛い
首長族って遠い存在かと思ってたけど、会ってみると案外普通の女の子という感じで親近感。民族衣装も可愛い
そして夕方ツアーから戻り、いったんホテルへ。
あれだけ楽しかったロイカートンも、観光局のサイトによれば昨日がピーク。今日はもうちょっとささやかなものだろうし、なんだか寂しいな、と思いつつ外に出ると…。
やってる…
やってる…
昨日よりむしろ盛大に行われているのであった。
しかも今日はパレードつき。初日のより大規模
しかも今日はパレードつき。初日のより大規模
こんなのがどんどんやってくる
こんなのがどんどんやってくる
寺院ではお坊さんたちもコムローイ揚げ
寺院ではお坊さんたちもコムローイ揚げ
橋の上までも広がっての大にぎわい
橋の上までも広がっての大にぎわい
花火まで上がり始めた
花火まで上がり始めた
周囲は爆竹やロケット花火の音がひっきりなしに鳴っていて、もうめでたいもの全部入り状態。すごい盛り上がり!!

そんなわけでもう一晩たっぷりロイカートンを満喫したわけですが、その様子は昨日と同じなので記事ではここまで。ここから先は、気になる祭りの舞台裏?をお見せしたいと思います。

揚げたコムローイはどうなるのか

誰もが気になるこの疑問。あんなにきれいに夜空を飾ったコムローイ、まさかそのまま本当に星になってしまうわけではない。揚げたものはもちろん落ちてくるのだ。それがこれ。
ぐしゃーん
ぐしゃーん
祭り中はこんな光景を道ばたにちょくちょく見かけることになる。内側はススだらけ、くしゃくしゃになったコムローイ。回収され、きれいに折りたたんでゴミに出されているのもよく見かけた。
チェンマイ大学構内のグラウンド。たくさん落ちているのが一望できる。
チェンマイ大学構内のグラウンド。たくさん落ちているのが一望できる。
 前述のツアーで行ったイカダくだりの最中。こんなところまで…。
前述のツアーで行ったイカダくだりの最中。こんなところまで…。
打ち上げ中の風景だけど、よく見ると木にも引っかかっている
打ち上げ中の風景だけど、よく見ると木にも引っかかっている

火事にならないのか

もう一つの疑問。日本でコムローイ揚げたらすごい怒られるような気がするんだけど、それはきっとこの問題のせいだ。
実際には、気球と同じ原理なので、火がついてるうちは基本的には上昇する。落ちてくるのは火が消えたものだけだ。

ただ、ひとつだけ危ないケースがある。飛ばすときに空気が充分暖まる前に焦って手を放しちゃうと、上昇がゆっくりになり、風に流されちゃうのだ。
そうするとこうなる
そうするとこうなる
そしてその後、運が悪いとこんなことに。
メラメラ燃えてる…
メラメラ燃えてる…
といっても街路樹は生木なのでそんなに燃え広がることはないんだけど、見ててけっこうハラハラする光景ではあった…。
お見苦しいところをお見せしたのでもう一度きれいなロイカートンの写真を
お見苦しいところをお見せしたのでもう一度きれいなロイカートンの写真を
ほんとうにきれいだった…

一生の思い出です

ここまでで、僕の1週間の滞在の半分。旅程の後半や、記事では端折った日中の部分にもまだまだいろいろ楽しいことがあったのですが、全部書くと100ページになるので、残りは自分のPCの思い出フォルダにそっとしまっておきます。
いやー、旅行って本当にすばらしいですね!
別テーマとして現地の音楽収集という超重要ミッションもあったのですが、その成果はまた別の場所で…。
別テーマとして現地の音楽収集という超重要ミッションもあったのですが、その成果はまた別の場所で…。

観光情報

チェンマイのロイカートンは毎年11月最初の満月に開催。スコータイでも同日開催ですが、あちらは各々コムローイを自由に揚げるのではなく、一斉に揚げるイベントだそうです。でもそれはそれですごそう…。
さらに、10月の下旬ごろ、僕が行ったロイカートンとは別に、チェンマイでも一斉にコムローイを揚げるイベントがあるとか。
これらのイベントについては、時期が近づくとタイ観光局のページに掲載されるので、興味のある人はぜひ。
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