特集 2013年9月20日

軽トラのある風景

軽トラほどシブカッコ良い車はないと思うのです
軽トラほどシブカッコ良い車はないと思うのです

私は軽トラが好きである。農業、工業、土木建築業、様々な仕事の場で活躍する、実用車の中の実用車と言うべき存在だ。

普通のトラックよりも小柄で可愛らしく愛嬌があり、荷物を運ぶ事に特化したその車体は機能美の極である。

今回は、そんな軽トラをじっくり眺め倒したいと思う。
1981年神奈川生まれ。テケテケな文化財ライター。古いモノを漁るべく、各地を奔走中。常になんとかなるさと思いながら生きてるが、実際なんとかなってしまっているのがタチ悪い。2011年には30歳の節目として歩き遍路をやりました。2012年には31歳の節目としてサンティアゴ巡礼をやりました。(動画インタビュー)

前の記事:足利氏のお宅訪問、新国宝の鑁阿寺を見にいった

> 個人サイト 閑古鳥旅行社 Twitter

軽トラの“生き様”がカッコ良い

軽トラは様々なメーカーが生産しているようだが、その姿はだいだい同じような印象である。デザイン性より実用性を追求する結果、似たようなデザインになるのだろう。

しかし、軽トラの魅力はデザインに非ず。どのように使用されているか、あるいはどのように使用されてきたか、そのような各々の“生き様”こそが、軽トラの放つ輝きなのだ。
デザイン性はむしろ無い方が良い
デザイン性はむしろ無い方が良い
積み荷、ボディの使用感に現れる“生き様”を汲み取るべし
積み荷、ボディの使用感に現れる“生き様”を汲み取るべし
軽トラによってその“生き様”は様々だ
軽トラによってその“生き様”は様々だ
雑多な感じがたまらない
雑多な感じがたまらない
日々の仕事に用いられ、良い感じに滲み出た使用感。それと積み荷が醸し出す全体的な雰囲気が、軽トラをより素敵に感じさせてくれる。

それは、働くおっさんの後ろ姿のようなカッコ良さと言えるだろう。背負っているモノが魅力を際立たせてくれるのである。

軽トラは可愛いが大型トラックは怖い

使い込まれた感じや積み荷に魅力を感じるなら、普通のトラックでも良いではないかと思われるかもしれないが、それは違う。大型トラックには可愛さが無い。

私は原付の免許しか持っていない。カブで国道をトロトロ走っていると、大型トラックが猛烈な風圧をもって追い越していく。その時に感じる恐怖はまさに死をも連想させるもので、私にとって大型トラックとは死神に等しい存在だ。

私怨のようで恐縮だが、軽トラはそのような恐怖が無い上、むしろその小柄さに可愛さとシンパシーを感じるのである。
大型トラック怖い。超怖い。お願い、近寄らないで
大型トラック怖い。超怖い。お願い、近寄らないで
大きなトラックの横では軽トラの可愛さが引き立つ
大きなトラックの横では軽トラの可愛さが引き立つ
なんだか軽トラが追い立てられているような構図だ
なんだか軽トラが追い立てられているような構図だ
こちらはまるで、親子である
こちらはまるで、親子である
いったん広告です

哀愁ただよう軽トラのたたずまい

路肩や駐車場に停められている軽トラからは、独特の風情が感じられる。若干くたびれたような、そんなアンニュイな感じがたまらなく好きだ。
軽トラといえば、このように傾いて停められているイメージ
軽トラといえば、このように傾いて停められているイメージ
ただ駐車しているだけなのに、なんとなく哀愁が感じられるのだ
ただ駐車しているだけなのに、なんとなく哀愁が感じられるのだ
積み荷のテキトウさがさらにペーソスを高めている
積み荷のテキトウさがさらにペーソスを高めている
互いにそっぽ向いて並ぶ二台の軽トラ
互いにそっぽ向いて並ぶ二台の軽トラ
ビニールシートやロープの具合がまた良い
ビニールシートやロープの具合がまた良い
詰み方もきちっとしてたり、テキトウだったり、所有者の個性が光る
詰み方もきちっとしてたり、テキトウだったり、所有者の個性が光る
積み荷の無い軽トラは、運転席の背中部分が見どころ
積み荷の無い軽トラは、運転席の背中部分が見どころ
ガラスやサッシを運ぶラックもまた魅力的だ
ガラスやサッシを運ぶラックもまた魅力的だ
とまぁ、所有者の業種に合わせ、様々な形で用いられる軽トラたち。どのようにも応用が利く、実用車ならではの懐の深さにも心が惹かれる。

白いボディに映える黄色いナンバープレート。時には企業の名前やマークで彩られ、時にはへこみや錆なども見られる武骨さ。

シンプルが故にバリエーションが多い、無限の可能性を秘めた車と言えよう。
いったん広告です

畑の軽トラこそ至高

軽トラが最もイキイキとして見えるのは、やはり畑の中である。軽トラの中には「農道のベンツ」やら「農道のポルシェ」などと呼ばれる車種もあるそうで、畑こそ軽トラのホームであると言えるだろう。

だがしかし、軽トラをベンツやポルシェに例えるなんて、それは軽トラに対して失礼ではないだろうか。ベンツやポルシェに軽トラの代わりは務まらないのだから。
畑の向こうに見える軽トラ一台
畑の向こうに見える軽トラ一台
まっこと、未舗装路が似合う車である
まっこと、未舗装路が似合う車である
もちろん、舗装道路の景観にもマッチする
もちろん、舗装道路の景観にもマッチする
しかし、農作業をする人々の軽トラ率は異常だ
しかし、農作業をする人々の軽トラ率は異常だ
農業と軽トラは、切っても切れない仲なのだろう
農業と軽トラは、切っても切れない仲なのだろう
荷台の土を落とす為か、ホウキを装備している軽トラも多い
荷台の土を落とす為か、ホウキを装備している軽トラも多い
収穫時だけでなく、耕耘機などを運ぶ手段としても大活躍
収穫時だけでなく、耕耘機などを運ぶ手段としても大活躍
軽トラの横に椅子でも設えれば、立派な作業基地である
軽トラの横に椅子でも設えれば、立派な作業基地である
道祖神が見守る街角の軽トラ。溶け込み具合がやばい
道祖神が見守る街角の軽トラ。溶け込み具合がやばい
工事現場に目をやれば、そこにも軽トラ
工事現場に目をやれば、そこにも軽トラ
ぶっちゃけ、軽トラはどこにもある。特に私が住んでいる地域は畑も多く、また家を建てまくっている新興住宅地も増殖中だ。さらには工業地帯もあったりと、農業、工業、土木建築業、すべての分野で活躍する軽トラが雁首並べて勢揃いである。

もちろん、車道には数多くの軽トラが行き交っている。続いては、それら疾走する軽トラである。
いったん広告です

走れ、軽トラ!

車道を行く軽トラは、なんとなくユーモラスな感じである。特に荷物を積んでいない軽トラはいささか頭でっかちな感じでバランスが悪い。だが、それがまた可愛らしいのだ。
正面から見るのはやや味気ない
正面から見るのはやや味気ない
やはり、軽トラは後ろ姿である
やはり、軽トラは後ろ姿である
束になったロープやその下の板など、使い込み具合が素敵
束になったロープやその下の板など、使い込み具合が素敵
ハシゴやパイプを斜めに積んだ軽トラは正面からでも映える
ハシゴやパイプを斜めに積んだ軽トラは正面からでも映える
運転席の背中にはめられた、錆びたフレームが良い味出てる
運転席の背中にはめられた、錆びたフレームが良い味出てる
テント状に防水シートを張るなど、荷積みの工夫がうかがえる軽トラ
テント状に防水シートを張るなど、荷積みの工夫がうかがえる軽トラ
自分より大きな車体の車に囲まれつつ駆け行く軽トラ。そこには頼もしさと共に、小さじ少々のいじらしさが伺える。

小さい車体ながらもマジメに仕事を頑張っている、そんなけなげな可愛らしさだ。

トラックの内部もカッコ良い

最後に、これは軽トラではないのだが、小型トラックの荷台の下を見る事ができたので紹介したい。エンジン回りがなかなかメカメカしていてカッコ良いのだ。
車の販売業者が荷台を上げてディスプレイしていたのだ
車の販売業者が荷台を上げてディスプレイしていたのだ
エンジン回り。構造は良く分からないが、見ているだけでわくわくしてくる
エンジン回り。構造は良く分からないが、見ているだけでわくわくしてくる
荷台を上げるジャッキ。こんなに小さくて、よくぞまぁ、荷台を上げる力を生み出せるものだ
荷台を上げるジャッキ。こんなに小さくて、よくぞまぁ、荷台を上げる力を生み出せるものだ

実用車は美しい

いやはや、この世に数多の車があれど、軽トラほどシンプルかつ汎用性に優れた車はないのではないだろうか。まさに仕事の為に作られた、実用本位の自動車。そこには機能的な美しさがあり、独特のカッコ良さがある。

いつか普通自動車の免許を得たその日には、ぜひとも軽トラでブイブイ言わせてみたいものである。荷台に乗せる物は特に思いつかないが。
軽トラではないが、荷台の使い方に嘆息した一例
軽トラではないが、荷台の使い方に嘆息した一例
▽デイリーポータルZトップへ

banner.jpg

 

デイリーポータルZのTwitterをフォローすると、あなたのタイムラインに「役には立たないけどなんかいい情報」がとどきます!

→→→  ←←←

 

デイリーポータルZは、Amazonアソシエイト・プログラムに参加しています。

デイリーポータルZを

 

バックナンバー

バックナンバー

▲デイリーポータルZトップへ バックナンバーいちらんへ