「ブックキープサービス」とは読んで字の如く本を預かってくれるサービスだ。いつの間にか部屋を占拠してしまう単行本・文庫本・雑誌の数々。これらを預かってくれ、必要なときに郵送してくれるサービスを行っている。
読書家には興味深い話だ。
では預けた本はどんな様子なのか? 大量の本がしまってある書庫の様子をレポートしてきました。
(梅田カズヒコ)
川越市の郊外まで移動。
東京方面から湘南新宿ラインで川越へ。さらにそこからバスで15分。都心から約1時間半かけて田園風景が広がる現地に到着しました。 ブックキープサービスを行っている東京書庫株式会社は川越に2軒の倉庫を持っているらしいんですが、ここはそのうちの1軒です。 今回はどんな場所なのか僕自身もまったく想像がつかないのでかなり楽しみです。
で、ここが現場です。うーん、見た感じ何の変哲もない倉庫ですね。倉庫と呼ぶにはちょっとだけきれいかもしれません。どうやらこの中に大量の本が眠ってるみたいです。それにしても「大量の本」と聞いただけで僕はドキドキしてしまうんですが皆様はどうですか? さっそく中へ入ってみることにしました!
今回案内してくれたのはこのお二人です。
左が東京書庫代表の竹渕さん、右が蔵書係の黒図さん。 本が好きで好きで仕方ないと熱い思いを話してくれた人情深そうな上司、竹渕さんと落ち着いた雰囲気で分かりやすく説明してくれた真面目そうな営業担当の黒図さん。
とっても仲がいい“でこぼこコンビ”といった雰囲気でした。
さっそく中を案内させてください!
どこを見ても段ボールばっか。
梅田「あ、あの、どこ見ても段ボールばっかですね」 竹渕「ええ」 黒図「何か見たいものはありますか?」 梅田「段ボールの中身が見たいんですが」 竹渕「それはできないないんですよ。やはりお客様のプライバシーがありますから。私のでよかったら見てみますか?」
さすがに段ボールばかりの写真で終わらすわけにもいかないのでお言葉に甘え見せていただきました。
どのような方が利用されているんですか? 竹渕「やっぱり本好きで家に置ききれない方ですね。大学の先生や出版社の方なんかは特に重宝にしてくれているみたいです」 黒図「年齢層は幅広いですが30代後半から40代後半の方が多いですね。もちろん、若い方もいますよ」 竹渕「利用される方は一時利用的な使い方(引越しの前後だけ預かってもらう)と書庫的な使い方(預けておいて必要になったら取り寄せる)の二通りの使い方をしているようですね」
ブックキープサービスをはじめたきっかけは? 竹渕「もともと倉庫業を営んでいたんですが、個人向けの書庫サービスを思いついたのは12,3年前に家を引越しまして、本の整理が大変だったんです。処分しようと思ったんですけど一度読んだ本でも10年、20年後にもう一度読んでみたいと思って捨てられなかったんです。そのときに本を一旦預かってくれるような場所があればいいなと思ったのがきっかけです」
ブックキープサービスのほかにサービスはありますか? 竹渕「おもいでのかんづめというものをやっております(写真下)。こちらはタイムカプセルの要領でおもいでの品を預からせていただきます。娘が幼稚園のお絵かきの時間に書いた作品をずっと取っておきたいというお客様の要望ではじめたんです。夢があってほのぼのとしたことをやっていきたいって思っています」 黒図「これはビジネスではなくて、一種の宣伝効果も狙ったサービスですね。倉庫業って薄暗い場所で固い無機質なコンテナに預けられているってイメージがあると思うので、こういう楽しいことをこれからもやっていって、愛される倉庫にしていきたいです」
このお仕事でつらいことってありますか? 黒図「つらくはないですが、台風や地震が来るときは神経を使います。もし地震や台風でお預かりした本を台無しにしたら大変なことになりますからね。」 竹渕「台風のときは泊り込みで倉庫を見張ってます。」
逆によかったことは? 竹渕「お客様の記憶に残ることや長い付き合いができることですかね。1年、2年ぶりに会うお客様とも親しげにしていただきます。あと、はじめてのお客様でも3年前雑誌で見たんですが? といった電話を頂きます。3年も心のどこかで覚えていただいたと思うとうれしくなります。」
他の貸し倉庫サービスと比べての特色はなんですか? 黒図「預かるときに目録を作るんです。ここにタイトルと著者名とISBNコード(本の最後に記載されているバーコードと数字のことです)を控えます。そうすることによって、管理が行き届き、あの本が欲しいと言われるとすぐにお送りすることができるわけです。また、お客様にとってもタイトル、著者名が記載された紙を持っておけば自分がどのような本を預けていたか一目瞭然です。さらに、これをデータ化しまして、ネット上の検索機能と同じ要領で『タイトルに○○ってつく本を全部贈ってくれ』という要望も可能です。必要なときに必要な場所にお送りしますので、家で保管しているよりも数段便利かもしれませんね」
僕は体質上、倉庫に入ると埃の関係でよくくしゃみや咳をしてしまうんですが、まったくそんな風にならなかった事に倉庫を出てから気づきました。写真からもわかりますが、倉庫と呼ぶにはきれいで明るい雰囲気です。本を愛する気持ちが伝わってきました。
東京書庫・ブックキープサービス
0120−283341(フリーダイヤル・携帯電話からも繋がります) https://www.tokyo-shoko.com/ 埼玉県川越市下赤坂大野原752番地
※キャンペーン
12月10日から翌年1月31日までキャンペーンをするそうです。 「期間中に5箱以上の保管をされた方に、もれなく1000円分の図書カードをプレゼント」だそうです。預けるなら今がチャンス。