編み物アドレナリンがドクドクでるよ
蒲田にある手芸の店、ユザワヤで毛糸を購入。毛糸売り場にはサンプルとして完成品のニットキャップやセーターがかけてある。こんな売ってるみたいなものが作れるなんて。
あら、ちょっとステキじゃなーい
などと、おばさんみたいなセリフも出てきそうになる。やる気はドクドクと出て、気づけば毛糸と道具一式で1万円近くになっていた。
はやく編みたい。
アドレナリン、早くも途切れる
木曜担当ライター、住さんの事務所を借りて編み物大会だ。
編み物マスターとして、角川書店の印田さんに指導いただく。
「親指にかけた毛糸を下からくぐらせて、こうやって……」
「こうですか?」
「逆です、逆」
「?」
「この糸のあいだを通します」
「???」
5分後、なんとかひと目編むことができた。
「そうです!よくできました!パチパチパチ」
「飲み込みが早いです!」
拍手をしてほめてくれる先生。しかしなぜだろう。その気遣いがなんだか申し訳ない気分になってくるのは。
……。(回想シーンに入ります)
「先生はね、林君が寝坊するのは何か原因があると思うの」
(回想シーンおわり)
中学校のとき、大学出たばかりの先生に呼ばれて言われたことを思い出す。いや、いいんです。僕がただ怠け者なだけですから。焦って尻の下がじりじりしてくる。試験終了5分前、もしくは8月31日の夜みたいな気持ちだ。
30分後。ようやく「作り目」という1段目ができた。ニットキャップは50段必要だ。単純計算で25時間。ちなみにこの時点で11月7日16時。あしたの11時にはページをアップしなければならない。
ついに逃げ出す
「僕、ちょっとジュース買ってきますわ」
ジュースを買うコンビニがすごく遠くにあったらいいのに。そんなことを考えるがコンビにはすぐそこだ。
ユザワヤでのやる気はどこに行った?このままニットキャップに縁のない一生でいいのか?自分を追い込むようなことを考えるが、「なにくそ」という気持ちは沸いてこない。
出てくるのは半笑いだけだ。
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