徹夜して始発で帰った日、古紙収集の日だったりすると、ゴミ収集所にてんてんと、雑誌や本がしばって置いてある。 ……思わず、何が捨ててあるのか見てしまう。私が雑誌や本が好きなせいもあるのだが、「捨てられる本」って……何かとてもせつない、と思う。
今回、早起きして、ジャージのマラソンスタイルで、ウォーキングするふりをしながら、ご近所中の「捨てられた本」をチェックしてみた。
2004年12月、東京の路上に捨てられた本たちとは……?
(text by 大塚幸代)
●いきなり見つけたのはアレなビデオ
大塚: 今回は、私の住んでいる東京都N区を2時間くらい歩いて、調べてみたのですが……。 いちばん最初にみつけたのが、本じゃないんですけどね、「割合ビデオ」。 林: 割合ミステリー!?
大塚:あ、今回はですね、ブツは採取はせず、写真撮るのみで、きちんと元に戻すというルールでやっていますので、持ち帰ったりは一切していません。 なので、中身はわからないんですけど……。 林: 割合ビデオはねえ、わからないですね。 大塚:『ドラえもん』におけるところの、「偉い人のはなし」くらいに位置する、子供への悲しいプレゼントなのかな〜と想像したりしたんですけど。 林: ……あ、調べてみましたよ。これ、進研ゼミの教材みたいです。 大塚: ああ、そうなのか! じゃあ自動的に送られてくるものなんですね。 林: ……このまえスカパー! のドキュメンタリーで「牽引」についてのドキュメントを1時間やってましたが、それぐらい不意をつかた内容ですよね。 大塚:割合ミステリーですからねえ。 林: その言葉がまずミステリーですよ。
大塚:こっちの6年の算数のツボも、どんな内容なのか……。 林: ポーズが浪越徳治郎みたいです。 大塚:これに出てる子役が将来、有名になったら、このビデオもプレミアつくんですかね? 林:すごいつくでしょう。まず、再発されないでしょうからね。 大塚:でもしかし「割合ビデオ」に出てる、っていうの、友達とか親戚にも説明しにくいかもしれませんね。 林: 「わりあいビデオに出てるよ」って、「わりとビデオとかに出てます」って意味に聞こえますね。 大塚:単純に日本語として変ですからね。教材なのに。 林:割合DVDに変わる日も近いでしょう。 でもこれ、爪のところにテープ貼って、再利用すればいいのに。 大塚:ハードディスクレコーディングの時代にそんなことしない……というか、30分しか長さのないビデオだから、使いでがないですよ。 林:「割合ビデオ」は、機会があったら見たいですねえ。 大塚:そうですね。……そういう機会は永遠にやってこない気もしますが。
●やっぱ通販カタログ
大塚:で、やっぱり多かったのは通販カタログですね。 林: 妥当ですね。これは捨てるかなー。 大塚:林さんて通販カタログ、なんかとってます? 林: とってないです……いや、でかいサイズの服屋からきますね。でかいサイズの帽子を買ったら、それ以来来てます。 大塚:あー……頭だけキングサイズ。
(参考:当サイトバックナンバー「大きな帽子をさがして」より)
林:モデルがプロレスラーの橋本真也とかなんですよ。 大塚:へー、すごいですね。 林:おれの頭は、もうこのレベルなのか……と。 大塚:いや、どっちかというと自慢になりませんかねえ。 林: ……そのカタログで買い物とか、ちゃんとしてますからね。 大塚:え、なにを!? 林: だから、ぼうしを。 大塚:役にたってるじゃないですか。 私も服のカタログとか、前に申し込んだやつが送られてはくるんですけど、ネット通販使うようになってからは、ほとんど見ないですねえ。 林:服のカタログ本って、買うんですか? 無料じゃないんですか? 大塚:いや、タダだったり、有料だったり、まちまちですねえ。 やっぱwebをやらない年代層、うちの母とかは熟読してますけどねえ。コタツとかで。 林:このまえ町医者いったら、看護婦向けの通販カタログあって、熟読しました。
(参考:当サイトバックナンバー「夏風邪ライブ中継」より)
「大塚:あー、前に書いてましたね。でもなんで待合室に……なんの医者でしたっけ? 林:近所の内科医。白衣とかちょっとしたアクセサリーとか載ってます。 大塚:医者に行くたびに、毎回みてるんですね……。捨てられると困る本ですね。 しかしまあ、専門誌は楽しいですよね。 そうそう、専門誌もけっこう捨ててありました。
●見たこと無い専門雑誌
大塚:『アイアムオリーブ』……調べたらハマナカの雑誌でした。 林: アンデミルミルの会社ですね。 大塚:アンデミルミルの会社ですよ。
大塚:これ、せっかく冬の編み物シーズンになったのに、なんで捨てちゃったんですかね。新しい本買い込んだんですかね。 林: ハマナカ友の会とかに入ると、送ってくるのかなあ。 大塚:……あみものの雑誌にふれてる人生、って自分から遠い感じがしてしまいます。 林:僕はわりと近い気がします。 大塚:あー、お好きそうですよね。 林: 編むの楽しかったし、うっかり友の会とか入りそうだし。 大塚:でもこうやって、専門誌がごっそりと捨てられてるの見ると、自分の知らない雑誌世界がたくさんあるのだなあと思います。 自分は同年代としかあんまり喋らないし、そうすると共通して読んでる雑誌も限定されちゃって。 「今月号のアイアムオリーブみた!? あれありえないよねー」とかいう会話が、どこかで行われてるんですかねえ。 林:いや、専門誌のほうが、そういう会話が多いんじゃないかなあ。「ポパイ見た!?」のほうが少ないような気がする。 大塚:そういわれればそんな気もしますが。 林さんは何か専門誌買ってます? 林:きのう『商業界』って雑誌買いました。「POPの書き方特集」がおもしろくて。 大塚:へ、へえ……。 林: 大阪のハッピー薬店という店のPOPがすごい!と、カラー4ページぐらい特集されてました。 大塚:そんなにすごいんですか? 林: 印刷だとメーカーのタイアップと思われて、ここまでの訴求力はないだろう、とか解説されていて、ふむふむ、と。 大塚:手書きなんですね 林: 手作りです。すべて。 それに影響されて、僕は今、POP作りたいんですよ。すごく。 大塚:どこかの書店さんを借りて、「100本ポップ」とかやるのどうですか。 林:いいですね。協力してくれるお店が欲しい。 大塚:ちなみに100本ノックにひっかけています。 ……林さんはどうせ、綿谷りささんとかのに書くんでしょうねえ。 林: そうですね。「失禁レベルの感動作!」とか、セカチューにつけますね。 大塚:……。 林:「村上君もがんばってるよね」とか『アフターダーク』に付けます。 大塚:……まあ、要するに専門誌はすごいなと。
大塚:これ、専門誌かどうか分からないんですけど、「てんとう虫」って何の雑誌ですかね? 林: でもどこかで見たことあるような気が……医者の待合室で見た気がします。 む、分かりました。カード会社の雑誌ですよ。 大塚:ああ、なるほど。 カード会社の冊子って、読まれないで捨てられる率、高そうですけどね。せつない媒体です。 林: 僕は熟読しますけどね。……ああいうのって、カラーでお金かかってそうですよね。 大塚:加盟店と、ゴールド会員とかがもらえるんですよね、ああいう冊子は。 林: 無料の読みものというと、僕、松屋で配ってる小さい新聞をよく読みます。 大塚:ああ、小さいフリーペーパー。 林: そうそう。あれはいい。 大塚:いいですね。でも、貰ってきたフリーペーパーって、捨てるの、躊躇しないですけどね。がんがん捨てます。