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特集


ひらめきの月曜日
 
3世代肉じゃが、しょっぱさ比べ

エントリーナンバー3
次女・古賀仁子(23)
料理歴 実家住まいのため、ほとんど料理はしない、と思われている。が、一人暮らしの恋人に振る舞うため料理の腕はある程度持っているとの噂も。
肉じゃがの具 肉(絶対、牛)、ジャガイモ、玉ねぎ、きぬさや
味付け 砂糖、みりん、醤油
ポリシー お総菜屋さんで売ってるような、いかにもな料理を作る

小林カツ代さんの調理法を信仰
カレースプーンで計量
次女の肉じゃが、できました

「私、お母さんの“どっかズレてる”料理が子供の頃嫌だったんだよねえ」
という次女。例えば、ジャガイモが皮付きだったり、肉が挽肉だったり、そうゆう王道の肉じゃがを脱線する母の料理が許せなかったそうだ。その反骨精神からか、肉じゃがにかかわらず、お総菜やさんで売っているような料理を作りたいのだという。

ジャガイモは皮をむき、適当な大きさに切って水にさらす。玉ねぎ、肉も食べやすい大きさにカット。

「ジャガイモの皮をむかないなんてありえないよ」
バッサリである。

調理法も極めてクラシック。玉ねぎを炒め、肉を投入。レシピや調理法は小林カツ代さんのレシピブックを熟読して学んだらしい。小林カツ代さんを“カツ代”と読んで信仰する次女に言わせれば
「本の通りに作るのが一番だよ」
だそうだ。私としてはなぜだか、裏切り者を見る思い。

味付けは砂糖大さじ1、みりん大さじ1、醤油大さじ2。しっかり計る。
「調味料は肉めがけて入れる! これもカツ代の教えなんだー」
得意げに言う次女だが、使った大さじは計量用の大さじではなく、普通のカレー用スプーンだった。

後はジャガイモを加えて水は少な目にして強火で一気に煮立てる。最後に絹さやを軽く湯がいて、上に乗せる。

絹さやに、既成の肉じゃがへの憧れがにじみ出た一品です。

長女と次女の肉じゃがは全く違う場所に着地した。さて、三女はどうか。


エントリーナンバー4
三女・古賀方恵(19)
料理歴 実家を出て半年の専門学校生。引っ越しをして最初の3ヶ月は料理をしていたものの、その後企業研修で働き初めてからは外食が多くなってしまっている。
肉じゃがの具 肉(あるものを使う)、ジャガイモ、玉ねぎ、白滝
味付け めんつゆ
ポリシー 短時間で作る。人参は嫌いだから入れない

水、どんぶりで。男の料理が始まる予感
煮上がるのを待ちながら白滝を食べる
三女の肉じゃが、できました

「申し訳ないんだけど、私の肉じゃが、多分肉じゃがの味しないと思うんだよねえ」
--……? は?
「めんつゆだけで作るから」
--え、砂糖とか酒も入れないの?
「入れない。めんつゆの味が好きなんだよね」

自宅への帰りが遅いため、ちゃっちゃと作って早く食べたい。そのためだけにカスタマイズされた肉じゃがだそう。

一人暮らしだけあって、料理にはとにかくワンマンが効く。肉じゃがというと、家庭の味というイメージだが、一人用として作ることで、どんどん理想の“肉じゃが”像から離れていくということが私や三女の作り方から分かる。

それにしても白滝だ。切っている時点で量が多いのでは? と思っていたのだが、鍋に入れてみるとやはり多い。

--ちょっと白滝多すぎない? 調節しなくてよかったの?
「あ、これね。煮てる間に白滝だけつゆをからめて食べるの」

なんと、“途中で白滝をつまみぐいする”ということも想定済みの調理なのだった。それだけお腹をすかせて家に帰ってくるということは、痛いほどよく分かった。

できあがった肉じゃが、そのままめんつゆの味である。たしかにマズい訳ではないが。

3姉妹の肉じゃがを眺めると「実家の母の味」を全く追い求めない料理姿勢があらわになっている。肉じゃが的には一家離散だ。

続いてはいよいよ問題の祖母に肉じゃがを作ってもらいます。


各肉じゃがはタッパーに入れ、祖母の元へ


 

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